岡崎琢磨さんの「病弱探偵 謎は彼女の特効薬」を読んでみた 感想
今回紹介するのは岡崎琢磨さんの「病弱探偵 謎は彼女の特効薬」です。病弱でベットの上が特等席の幼なじみのために今日も日常の謎を手見上げにお見舞いへ行く僕。彼女が元気になるのは薬ではなく謎!
病弱探偵 謎は彼女の特効薬
▼マイとゲンキ
大事な行事の前の日には、必ずと言っていいほど病気をする病弱探偵の貫地谷マイ(カンジヤマイ)と幼なじみで彼女とは正反対に病気には無縁の僕こと山名井ゲンキ(ヤマナイゲンキ)が日常の謎に挑んでいく短編集。
《患者》+《病》=《カンジヤ》+《ヤマイ》と縁起が悪い名前が病弱を暗示している。
《病まない》+《元気》=《ヤマナイ》+《ゲンキ》と体は丈夫でいつも健康そのもの。
マイは古今東西の推理小説を読みまくって謎を解くことに生きがいを感じるようになった。僕がお見舞いがてら、ベットで待つ彼女のもとに日常の謎を届けることで病の苦しみを忘れることができる。その姿はまさしく寝台探偵(ベッド・ディテクティブ)という言葉があてはまるだろう。
なんだかんだ言いながらも幼少期からつながっている関係性にも見て取れるようにお互いに信用しているのだろう。 幼なじみという響きに実家のような安心感がありましたね。
▼夏風邪と《消えた万引き》の謎
今日も病気で休んでいるマイのためにマンガを差し入れようと学校帰りに書店へ寄り道した僕。そこで近所に住むひとつ年上の先輩から万引きする現場を目撃してしまったと相談を受けた。彼女の同級生がマンガをバックの中に差し込む姿が写されており、まさしく決定的証拠と言えるだろう。
彼女は幼い頃から可愛がってもらっていた店主のおじいさんに注意を促したが、万引きなんて起きてないと言い切る。いったいなぜ?
▼熱中症と《持ち去られた短冊》の謎
テスト最終日。僕が登校した時、テストからの解放感とは違った騒ぎが待ち受けていた。昨日まで各々の願いを込めた七夕の短冊が教室から一夜にして消えてしまっていたのだ。ところが週末をはさんで月曜日には短冊は戻されていた。
マイはカンニングを疑うが、、、いったいなぜ?
▼IBSと《着替えられた浴衣》の謎
花火大会の日にクラスメイトから相談を受けた。花火大会終了後、会う約束をしている女子のあることが気になって仕方がないので謎を解いてほしいとのこと。
花火大会に浴衣で来ていて、花火を終わったときにはもう私服に着替えていた理由とは何か?
▼偏頭痛と《妨害された応援合戦》の謎
運動会で起きた事件。応援合戦のなかで一文字の演技の最中に数発の破裂音が鳴り響いた。集中力が必要とされる一文字では、よけいな雑音は妨害には効果的だ。犯人の思惑通り、一文字はぐちゃぐちゃになってしまった。
一体犯人は誰で、目的は?
▼インフルエンザと《借りさせられた図書》の謎
高校の先輩からの依頼が舞い込んだ。図書利用カードを無断で拝借してある本を借りている生徒がいる。さらに、その本は途切れることなく現在も借り続けられていることも判明した。カードを利用された生徒たちの共通点は、高校の図書館で本を借りそうにない人たち。
一体犯人は誰で、目的は?
▼健康体と《作られた音痴》の謎
風邪をひいてしまった僕。逆に元気のマイといつもの立場が逆転していた。
さて今回の謎は軽音楽部で起きたメンバー内の不協和音。本番に向けて熱心に練習中だが、ボーカルの生徒がインフルエンザから復帰したのちに音程が取れなくなってしまった。メンバーがわざと音を変えていやがらせしていると人のせいにする始末。そのことで彼女と悪口の応酬で険悪な雰囲気になってしまったのだ。
音痴になった原因と二人の仲を修復することが僕とマイのミッションだ。
感想/まとめ
テンポは良かったが、う~ん、合わなかった。日常の謎に高校生が主役に抜擢して一般的に受け入れやすいし、ライトで読みやすかったし、謎を解明するために病気に例えるなど特徴が出ていて病弱探偵というポイントが上手に押さえられていた。
ただ、個人的に登場人物のマイとゲンキが苦手という致命的な弱点が評価を悪くしてしまった。こればっかりは仕方がないと割り切って次へ行きます。
花火大会の日の二人のやり取りで爆笑
「たーまやー」「まーたや、、、」
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