~読んできた本の足跡~

~のんびりまったり日々読書~アニメや雑談も~

岡崎琢磨さんの「夏を取り戻す」を読んでみた 感想

今回紹介するのは岡崎琢磨さんの「夏を取り戻す」です。子供たちの失踪事件から始まった戦いの物語。子供ながらに信念を貫いての行動に翻弄される大人たち。やがて背後に隠されていた大きな真実が現れる。

 夏を取り戻す

新卒で就職した金融機関を辞め、ウラガワ編集部で働くことになった猿渡守。政治からオカルトまで世間に溢れるさまざまな噂を取り上げるゴシップ雑誌制作している部署である。ある一定の固定ファンが付いており、創刊から八年経過した今でも安定した発行部数を誇っていた。ちなみに守も愛読者だ。

 

コピーや資料集めなど雑用に飽きてきたところ、ある取材の同行をしてほしいと上司から命を受けた。紹介されたフリーの記者佐々木大吾に同行してに取材のノウハウを身につけることで第一歩を踏み出せる。

今回佐々木が調べようとしている件は、ある団地で小学生の連続失踪事件が起きたことに始まる。地域住民は不安になるが、警察は取り合わず。そこで貴誌の力をお借りしたいと読者から匿名の情報提供が送られてきたのだ。

 

S県にある公営団地。アクセスの良さや単身家庭を優遇する取り組みが注目を浴びて需要が高い。二人は到着して取材を開始することにした。聞き込みを始めて若い女性に声をかけられた。なんといきなり雑誌に情報提供した大学生の安田広子に遭遇することができた。失踪に至った状況など詳細を聞き、実際に失踪した子供たちを紹介してくれることになった。

 

そこで出会った5人の小学生。なにか隠しごとをしていることは丸分かりだが大人の対応で付き合っていくことになる。時間が経ち調査することで見えてきた事実。キャンプ中に起きた火災により、一人の少女が巻き込まれて現在も意識不明。さらに団地の内と外の間に生じている亀裂。公立中学へ進むと団地の子はいじめにあう。それが嫌で私立中学を目指すため塾通いしているこも多い。しかし単身家庭が多い団地では厳しい出費になる。こうした問題が背後に存在しており、複雑化していたのだ。

 

そうした問題に立ち上がった勇敢な小学生たち。一人、二人、三人と失踪が続くにつれて大人たちの監視が強まるなかでも煙のように消え去ってしまう。子供対大人の構図が出来つつある。互いの意地のぶつかり合いもやがて意外な展開へと移り始める。団地全体、学校までも巻き込んだ戦いの前に現れた真実とは何か。

 

感想/まとめ

面白かった。同著者の珈琲店タレーランの事件簿の方が僕は好きですが。

とにかく懐かしい気分になりましたね。半ドンポケモン、うんうんありましたね。

取材と言っても子供たちに許可なく話していたら今なら通報されてしまう。昔は良かったと感じてしまうようになったことで歳とった現実が見えてしまって悲しい。

子供のころは何もかも新鮮で何でもできると思えてしまう。セーブが掛からない思考で無茶と無謀に駆けまわっていたなあ。

佐々木があの子の父親だと途中で感づいており、やはりそうでしたか。

エピローグで皆成長した姿が見えてよかった。ハッピーエンド万歳!