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川澄浩平さんの「探偵は友人ではない」を読んでみた 感想

今回紹介するのは川澄浩平さんの「探偵は友人ではない」です。

探偵は友人ではない

海砂真史(うみすなまふみ)の幼なじみ・鳥飼歩(とりかいあゆむは)自らの意思で中学校に通っておらず、頭は切れるが、自由気儘な性格で、素直ではない。それでも、真史が遭遇する奇妙な謎を解き明かしてくれるのはいつも歩である。甘いものが大好きで、変人だけど、とても頼りになる名探偵なのだ。

そんな日常をつつける中で、ふと真史は疑問感じた。依頼人と探偵として繋がっている二人は、はたして友人と言えるのだろうか。会いたい時に会いたい場合はどうすればいいのだろう。

ささいな日常を通じて揺れ動く、少年少女の機微を描いたシリーズ第二弾!

 

▼第一話 ロール・プレイ

歩が部屋の掃除をしていて偶然見つけた芝居のチラシ。それは小学四年生のときに通っていた塾で講師をしていた水野梨花の一人舞台であり、同塾で一緒だった鹿取一樹と観に行ったことを思い出した。塾内で会話が成立する人間はこの二人しかおらず、かけがえのない存在だった。ところが水野先生の舞台の失敗で二人の意見が対立、言い争いになってしまい最終的に先生と友人を同時に失った。

さてそんな話をバスケット部の先輩である鹿取一樹から聞かされた真史。世間は狭いようで今の二人と真史の間には面識がある。その舞台でいったい何がおきたのか。詳しい話を聞くためにお菓子を持参して歩の家へと向かう真史であった。

 

▼第二話 正解にはほど遠い

急接近で真史に懐き出した後輩の鹿取彩香。バスケット部の先輩で鹿取一樹の妹だということは顔が似ていたのですぐに分かった。人懐こさと明るい性格で先輩、先輩と呼ばれるのも悪い感じがしない真史だったが、なぜ突然懐き出したのか不思議である。

さてもうすぐクリスマスである。洋菓子店をやっている彼女の家では、クリスマス企画として出題されたクイズに正解するとお菓子の家をプレゼントする催しを計画中である。そのクイズを先行して真史に教えるので、その代わりお願いしたいことがあると提案を持ちかけられた。なぜそこまでして真史にこだわるのか。彼女の狙いは一体何だろう。

 

▼第三話 作者不詳

美術準備室に置かれていたデッサンが目に入った真史。モデルになった覚えがないが、どこか自分の手に似ている。後日、美術室に忘れたマフラーを取りに戻った真史は、そのデッサンがなくなっていることに気が付く。

美術室を巡る奇妙な出来事を歩に相談すると意外な答えが返ってきた。

 

▼第四話 for you

謎がなくたって会いたい時に、会いたい場合はどうすればいいのだろう。

お土産を巡り、歩の心境の変化がもたらしたちょっとした矛盾を、いつもと立場が逆転した真史が解き明かす。

 

感想/まとめ

面白かった。

歩と真史。この二人の絶妙な距離感が最高である。謎によって再会を果たした二人は謎によって繋がっている状態である。では友達として会いたい時はどうすればいいのだろう。思春期真っただ中で、もがく描き方は今作も輝いていた。

是非とも続編が読みたいシリーズですね。