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麻耶雄嵩さんの「友達以上探偵未満」を読んでみた 感想

今回紹介するのは麻耶雄嵩さんの「友達以上探偵未満」です。女子高生コンビの伊賀ももと上野あおが名探偵を目指して周囲で起きる事件に挑んでいく青春ミステリー。

 友達以上探偵未満

三重県伊賀市は、伊賀忍者の里として、また松尾芭蕉の生誕地として知られている。そんな悠久の歴史を刻む地に存する県立伊賀野高校に通う女子高生・伊賀ももと上野あお。ももが通う中学校にあおが転入してきたことで知り合い、同じ探偵志望ということで意気投合。名前の〈もも〉と〈あお〉にちなんで桃青コンビとして活躍し始めた。学内だけに留まらず、ももの兄で刑事でもある伊賀空に協力して殺人事件にも絡む本格っぷり。ふたりは名探偵を目指して様々な事件に首を突っ込み、探偵としての経験を積んでいく。

この小説は「伊賀の里殺人事件」「夢うつつ殺人事件」「夏の合宿殺人事件」の三篇からから構成される短編集である。

 

▼伊賀の里殺人事件

ミステリー研が無く、仕方がなく入部した放送部の活動で「伊賀の里ミステリーツアー」の取材を任されたももとあお。このツアーは伊賀の地を盛り上げようと企画されたもので、参加者は芭蕉か忍者の衣装のコスプレで各所に設置されたクイズを解きながら回るラリー形式で行われる。この取材の成果次第では放送部から退部してもらうとの部長からの通告でようやく重い腰を上げる二人であった。

 

さて取材を通して見えてきたのは何やら訳ありの参加者たち。彼らへのインタビューは変に気疲れを起こし苦労するが、部への生存をかけてコンビプレーでなんとかこなしていく。

さて事件は二日目のゲリラ豪雨の後に起きた。俳聖殿で参加者の一人が殺されているのが発見された。現場の状況から芭蕉の俳句『初時雨猿も小簔をほしげなり』の見立ての可能性が浮上。さらに立て続けに『古池や蛙飛び込む水の音』の見立て殺人が、、、

 

▼夢うつつ殺人事件

伊賀野高校にはお堀幽霊という怪談話が存在する。美術室から見える内堀の畔に、日暮れの時間帯に現れるとの噂だ。

美術部員の相生初唯は、うたた寝をしていると同部の愛宕先輩の殺害予告を耳にしてしまう。夢かもしれないと誰にも相談せずに抱えていたが、数日後初唯の学生鞄に赤い手形が残されていた。これは脅迫なのか?

校内でも有名なももとあおは相談された内容を踏まえて調査に乗り出すことになるが、翌週本当に愛宕が殺害されてしまう。

 

▼夏の合宿殺人事件

中学時代のももとあおのお話し。

文芸部の夏合宿で訪ねた合宿先で同じく合宿にきていたバレー部員が殺されてしまう。現実世界で起きた殺人を目の当たりにして探偵としての志がぶれるももに対して、あおは冷静に機転を利かして容疑者を絞り込むことに専念し、まさしく探偵としてふさわしい行動をとっていた。

 

ここまで口数が少ないクールキャラとしてのあおの内面を描き、ももへの気持ちが詰まった章になっている。直感やひらめきを武器にする伊賀ももと冷静に物事を整理し、論理的に事件を俯瞰する上野あお。探偵として発展途上中の二人が親友として、ライバルとして、より強固な関係となった記念すべき事件であった。

 

感想/まとめ

面白かった。

女子高生探偵という役柄のもと、周囲で普通に人が死んでいくのにも関わらず、重さは一切感じない。良くも悪くも軽い印象が最後まで離れませんでしたが、やっぱり読みやすさは大切ですね~

 

▼夏の合宿殺人事件では、二人の心境と関係性が鮮明に明かされて、もっと二人のことが好きになった。慣れ合い方や会話に百合心をくすぐり、思わずドキドキしてしまいました。探偵(主役)ワトソン(脇役)にも言及して、これからの成長も楽しみである。

 

後、まさかアナザーなら死んでたを読めるとは。▼伊賀の里殺人事件は、推理番組のドラマを小説化したものらしく、ゲストで綾辻さんが登場した関係でのサービスなのかな?

 

妹ものが大好きな僕としてはももちゃんのお兄ちゃん呼びで白飯何杯でもいける!

解ったり!とまた読める機会を楽しみに待ちたいです!