笠井潔さんの「オイディプス症候群」を読んでみた 感想
今回紹介するのは笠井潔さんの「オイディプス症候群」です。孤島を舞台としたクローズド・サークル。矢吹駆シリーズ!
オイディプス症候群
物語の発端はアフリカの奥地の村に赴任していたスウェーデン人の女医オーサ・カールストゥルムが、未知の感染症の存在に気づいたことだった。青年医学者フランソウ・デュヴァルと協力してオイディプス症候群と命名された感染症の正体を突き止める研究を開始したが、目標を達しないうちに二人とも病に倒れてしまう。その後の研究は、オーサの妹ソーニャ・ラーソンに引き継がれて続けられた。そんな折、アメリカで流行し始めた別の感染症とオイディプス症候群との間に共通性が発見されたと連絡が入る。両者の情報共有のためにクレタ島に浮かぶ孤島「牛首島(ミノタウロス島)」で研究会議が開かれることなった。もちろん参加予定者の中にフランソウも含まれていたが、病状が悪化してそれどころではない。そこで旧友のナディア・モガールに研究報告書を託し、現地入りしたマドック博士に渡るようお願いしたのであった。
さてナディアは、すんなりとフランソウのお使いを果たせたとはいえない。マドック博士の気まぐれなのか、何度か行き先変更を余儀なくされ、最終的にクレタ島に浮かぶ孤島「牛首島(ミノタウロス島)」でようやく捕まえることができたのだ。
そのマドック博士の研究室が何者かに放火されたり、道中の滞在先のホテルで起きた墜死事件と自動車事故。何も知らされてはいないナディアさえ三つの事件をつなぐ鍵は感染症関連なのではと疑っていた。
ここまではすべて序章に過ぎなかった。
ミノタウロス島の別荘、、、ダイダロス館に招待されて集まった10人の男女は、ギリシャ神話になぞった装飾を施されながら、次々と殺されていく。救助を呼ぼうにも電話線は切られて、本島と往来できる船も、大波で使い物にならない。孤島に潜む殺人鬼と一緒に閉じ込められてしまった。
こうして物語の渦中に巻き込まれることになったナディアと日本人・矢吹駆。彼と因縁のある国際テロリストニコライ・イリイチも背後に絡んでくる。
孤島を舞台とした連続殺人鬼の正体とは?
感想/まとめ
なんじゃこりゃと叫びたい。
読み慣れたクローズド・サークルものとは全然違う。神話に哲学に思想と考えただけで頭が痛くなる要素が詰め込まれており、苦手な人には読むのが大変。また、鈍器ほどのボリュームもありますからね。
そういった要素を除いて純粋に本格ミステリーとして読めたらなぁと思う一方でこの小説の特色を消してしまう恐れもある。まさしく本末転倒である。
評判も良かったので読んでみましたが、おそらく矢吹駆シリーズはここでストップかな。いつかまた読みたくなることを期待して大事に保管しておきます。