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牧薩次さんの「完全恋愛」を読んでみた 感想

今回紹介するのは牧薩次さんの「完全恋愛」です。

完全恋愛

他者にその存在さえ知られない罪を完全犯罪と呼ぶ。では他者にその存在さえ知られない恋は完全恋愛と呼ばれるべきか?ここに一人の男がいた。完全恋愛とは雅号・柳楽糺画伯(なぎらただす)また本名・本庄究(ほんじょうきわむ)の生涯を描いた物語である。

 

第二次大戦末期、東京の大空襲から一人難を逃れ、福島で旅館を経営する伯父の元へ身を寄せていた本庄究少年は、同じく東京からやってきた小仏画家の娘・朋音に恋心を抱いていた。やがて終戦になり、激動の時代を迎える日本だが、この地で進駐軍アメリカ兵が殺害されるという事件が起きる。しかも、現場から凶器が忽然と消えてしまっていた。また殺害されたジェイク大尉は、素行が悪く、悪辣な男でもあり、お気に入りの朋音に何かと絡んで困らせていた。もちろん彼の評判はよくないし、究も気が気ではない。そんな摩訶不思議な事件の決着は、案外あっさりしたもので進駐軍内部の揉め事で処理されてしまう。でも実は、究も事件に絡んでおり、想い人のために犯罪に手を染めていた。その甲斐あってか一人の女性と関係を持つことになり、のちの人生に多大な影響を与えることにもなる。

 

 

雅号・柳楽糺として製作に専念していた究は、36歳を迎えていた。師匠の小仏画家を失くした後も移りゆく時代の波に乗ることに成功した彼は藤堂魅惑(とうどうみわく)という住み込み弟子までいる。一方で真刈夕馬(まかりゆうま)という金持ちと結婚した朋音は一人娘の火菜を儲けた。純粋で無力だった究はいつか力を蓄えて迎えに行こうと勤しんでいたが、そんな彼女も結核であっさりこの世を去ってしまう。その後に夕馬が無精子症だと判明し、思い当たる節がある究は火菜が自分の娘だと確信していたが、父親だと名乗ることはなかった。

 

さて事件は真刈家に因縁のある浅沼宏彦の殺害予告で幕を開ける。

東北地方の山奥にある別荘から2300キロ離れた沖縄の西表島で火菜の心臓をナイフで貫くと宣言したのだ。その予告通りに火菜はナイフで刺し殺されてしまう。凶器は宏彦の母が愛用していたナイフであり、殺害予告中継で彼が見せびらかしていたものだ。その直後に自ら引き起こした雪崩によって自殺した宏彦は、どのようにして火菜の命を奪ったのか?

 

最後は真刈夕馬の溺死事件だ。現場のゲストハウスに究が呼ばれていたという証言と体調を崩して自宅で休んでいたという二つの証言がある。両者の主張が本当ならば究は二人存在することになる。夕馬を殺害する動機がある究は自らの手で犯行に及んだのか。

 

そして、最後に明かされる真実。

こうして、長くて儚い本庄究の生涯を終えた。

 

感想/まとめ

面白かった。

究少年が一度だけ関係を持った女性、この出来事が全ての分岐点だったわけですね。鈍い僕でもその勘違いに薄々は気が付いていました。最後に明かされた秘密にそこに繋がっていたのかと別の驚きも味わえた。

行為後の崖に向かって身を翻していたとの文章から身を投げたのかと勘違いしてたのは恥ずかしいので内緒。

ここまで一途に愛を貫いたおかげで、命尽きる最後は家族に見守られて旅立てたのは幸せだったのではと思います。

このほかにも仕掛け満載の「完全恋愛」を是非読んでみてくださいね。

 

ミステリ好きとしてはいつか『ポートピア連続殺人事件』をプレイしてみたいですね。