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有栖川有栖さんの「乱鴉の島」を読んでみた ネタバレ/感想

今回紹介するのは有栖川有栖さんの「乱鴉の島」です。息抜きに出かけたのはいいが、手違いで目的地とは違う島に連れてこられた火村とアリス。外部との交通・連絡手段がない孤島で巻き込まれた殺人事件。シリーズ第八弾!

 乱鴉の島

お疲れ気味の火村を心配した下宿先の婆ちゃん・篠宮時絵の勧めで、春休みを利用して旅行にでかけた火村とアリスだったが、目的地である鳥島(とりしま)を烏島(からすじま)と読み間違えてしまい、烏島と呼ばれるほぼ無人島の黒根島にきてしまう。とにかく迎えの船を手配しなければと、島に一軒だけある屋敷を訪ねるとそこは伝説的な詩人・海老原瞬の別荘であった。普段は管理人夫婦が滞在しているだけだが、この日は大勢の滞在客で賑わっていた。一体何故こんな大勢の人間がいるのか違和感を感じた二人だったが、事情を説明して船の手配をお願いした。しかし、何人かに当たってみたものの断られてしまう。あまり歓迎されない様子だったが、船が迎えにこれる明日の正午まではとの約束で一泊させてもらえることになった。

 

海老原瞬:伝説的な象徴詩人、作家、翻訳家、英米文学者

海老原八千代:海老原の妻。二七歳という若さで亡くなった

藤井継介:産科医。不妊治療とクローン技術の研究者

水木妥恵:スクール・カウンセラー

中西美祢:保育士

財津壮:学習塾講師

市ノ瀬拓海:財津の甥。小学五年生

香椎匡明:行政書士

香椎季実子:行政書士。匡明の妻

小山鮎:季実子の姪。小学五年生

木崎信司:管理人。初芝のファン

木崎治美:管理人。信司の妻

初芝真路:起業家、経営者、実業家。ハッシーとの愛称で親しまれている

 

拓海少年と鮎少女に懐かれた火村とアリスはキャッチボールの相手をしているとヘリコプターが島に着陸するのを目撃する。着陸地点に行くとミダス・ジパング社長・初芝真路(ハッシー)が揚々と立っており、藤井先生に会うためにアポイントなしで強引に押し掛けてきたという。もちろん突然の訪問に海老原や藤井は断固拒否するが、初芝は断れるのを見越して無人となった空き家の住人に許可を得てちゃっかりと寝床を確保していた。そして、火村とアリスに向かって部外者同士こちらで親睦を深めませんかと誘ったが、拓海と鮎が寂しがる様子を見た海老原が、あなた方はこちらで滞在していってくださいとさらなる延長を勧められた。

 

夕食会の後、空き家に一人泊っている初芝に会いに行った火村とアリスは談笑の中で藤井が産科医であったこと、またクローン技術の研究の件で大学や病院を追放されたことなどを思い出した。そして、この島に集まっている人達はみんな藤井にクローン人間を造ってもらいたい人間であり、僕もその一人だと初芝は語った。真偽は不明だが、別荘に集まっている人達に不自然さや違和感を感じていたアリスは一理あるなと思うようになっていた。

 

さて翌日の午後まで時間は過ぎ、そろそろ夕食の支度を始めようとしていた治美から信司の姿が見当たらないと言う。ファンである初芝のもとに行っているのではとの話になり、それなら昨夜交流した火村とアリスが様子を見に行くことになった。そして彼の寝床の空き家で頭を鉄アレイで殴られて死んでいる信司を発見した。

電話線が故意に切断されており警察に電話することができない。携帯電話は圏外で繋がらない。初芝の衛星経由で通じる携帯電話が唯一外部との連絡手段になるが、本人の姿が見当たらない。迎えの船がやってくるまで、完全に孤立してしまった。

 

行方をくらましている初芝が犯人とまでは断言できないが、何か事情をしっているのではとの形でまとまった。そこで念のために寝ずの番で朝まで警備することになり火村とアリスが立候補した。しっかり捜査としての役割も忘れずに、朝までに幾つかの情報を得ることができた。

 

さて翌朝、烏が群れて騒いでいることに異常を感じた火村とアリスは様子を見に行くと、崖下の洞窟内で初芝の死体を発見した。死因は無残な姿から崖から落とされた墜落死だとみられ、人為的に動かした後があり、こちらも他殺の疑いが強まった。また、死亡推定時刻により初芝が信司よりも先に殺されていることも判明した。

 

殺人事件のまとめ役を担うことになった火村。これまで部外者の立場であまり強く踏み込まないでいた島に集まった本当の理由を問いただしたものの、返答は望んだものではなかった。人が亡くなったのにも関わらず頑なに秘密を守ろうとする彼らの態度を前にして、火村は二つの殺人事件と秘密の真相を解き明かすべく、最終段階へと進めた。

 

感想/まとめ

面白かった。

孤島ミステリーとしてはお馴染みの展開に、真相解明までの流れは完璧。アリバイや現場の確認、情報収集と捜査してるなと感じ、警察の介入が今作はないからだと読み終えてから気が付いた。

拓海少年と鮎少女の役割が以外と重要だった。大人たちの邪?な考えとは別に、火村とアリスとキャッチボールするシーンなんかはほっこりしにやけてしまう。ただ、クローン興味ない分野だったのでその点は理解できなかったですね。

電話線を切断した理由に脱帽。腕を組んでそうきたか~と唸ってしまった。

 

中古本でシリーズ全刊購入を目指しているので一気に飛んでしまった。携帯電話という文明機器の登場で時の流れを感じる。

アリス、、、部外者なんだからもうちょっと遠慮したらと言いたくなってしまった。