早坂吝さんの「虹の歯ブラシ 上木らいちの発散」を読んでみた 感想
今回紹介するのは早坂吝さんの「虹の歯ブラシ 上木らいちの発散」です。前作よりさらに過激で、斬新なエロワールドでお送りする援交探偵上木らいちシリーズ第二弾!
虹の歯ブラシ 上木らいちの発散
上木らいちは高級マンションの707号室に住む高校生だ。その洗面所には複数の歯ブラシが常備されている。虹の色が一色ずつ揃ったそれらは、らいち自身と、平日の決められた曜日に部屋を訪れる男たち用だ。らいちはそこで固定客相手の援助交際をしている。
▼紫は移ろいゆくものの色(月曜日)
月曜日は日本有数の大企業であるL商事の代表取締役・村崎が固定客である。富、権力、名声と人が欲しがるものは手に入れた彼は何かが足りぬと欠落を感じていた。そんな時に出会ったのが上木らいち。一晩五万で援助交際をしている彼女に一目ぼれした彼はさっそく一晩買うとその魅力にすっかりと取りつかれていた。その後タイミング良く空いていた月曜日のポジションに固定客として収まり、喜びを感じるまでになっていた。
さて事件はL商事本社の社長秘書室で起きた。被害者は秘書の式部京子。上半身がコピー機に、下半身が机に乗る形で発見された。何とも珍妙な現場に捜査を担当する藍川警部補はまるでアダルトビデオの撮影現場のようだと感じていた。
さて第一発見者の村崎に事情聴取をすると愛人の存在が浮上した。アリバイ確認のために彼女が住んでいるマンションを訪ねると、そこにいたのは藍川がよく知る人物である。なぜなら彼もまた毎週火曜日にらいちの部屋へ通う常連客の一人であったからだ。ある殺人事件がきっかけで出会い、いちかの助言でその事件は見事解決に至った。それ以来、藍川は捜査に行き詰まると彼女に相談するようになっていた。
間接的に事件に関わることになった彼女は、お客様にはわたしが引導を渡しますと犯人として村崎の名前を挙げて、藍川に協力を仰いだ。
▼藍は世界中のジーンズを染めている色(火曜日)
火曜日はシリーズレギュラーの藍川が常連客である。ここでは二人が出会うきっかけとなったラブホテル殺人事件が描かれている。ラブホテルの一室で起きた殺人事件。現場の状況から計画的ではなく衝動的に殺害してしまったとみて捜査を開始した。すると仕事中でたまたま居合わせたらいちの画期的な推理により、この考え方が誤りだと気付かされる。
▼青は海とマニキュアの色(水曜日)
一度だけ一緒に『遊んだ』ことがある岬風香が家出したと知り、彼女を追ってある村にやってきたらいち。そこで地元の住人から半年前にこの地を訪れた魔術師が建てた青一色の奇妙な建造物の情報を手に入れることに成功した。村人の前にほとんど現れない正体不明の魔術師の根城「青い館」には複数の女性が出入りしているとの目撃情報もある。また、青い館に入れ浸っている少女によると海のパワーを分けてもらっていると宗教の匂いがぷんぷんとまとわりつく。
そんなことお構いなしにさっそくその館に向かうことになるが、らいちを待ち受けていたのは密室内で切断されて殺された教祖であった。
▼緑は推理小説御用達の色(木曜日)
木曜日は特殊性癖の緑川葉が客である。放置されることに快感を覚える変わったやつで、木曜日になると彼など存在しないように日常生活を続けるらいちの姿を鑑賞しながら自家発電をする究極の放置プレイが開始されるのだ。
▼黄はお金の匂いの色(金曜日)
有名マジシャン相手にさえ手玉に取るらいちであった。
▼橙は???の色と▼赤は上木らいち自身の色
上木らいちの謎に迫る!
感想/まとめ
面白かった。
エロとトリックが融合したミステリーではこの人には敵わない。これぞ待ち望んでいた本領発揮された短編集である。特に水曜日のお話しがお気に入りで、まさかの答えでその考えには至らなかったです。
逆に終盤は僕の理解が追いつけないほどのスピードで様変わりする正体にあっぷあっぷしながら読んでいたので疲れました。正直ほとんど理解できてませんが、すでに上木らいちの魅力に取りつかれている僕は次回作もなんだかんだで読んでしまうことでしょうね!