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東野圭吾さんの「あの頃の誰か」を読んでみた 感想

今回紹介するのは東野圭吾さんの「あの頃の誰か」です。あの頃のあなただったかも知れない誰かを描いた短編集。名作「秘密」の原型となった「さよなら『お父さん』」を含む八篇が収録されています!

 あの頃の誰か

シャレードがいっぱい

津田弥生は高級スポーツクラブのプールサイドで恋人の北沢孝典を待っていた。しかし約束の時間を過ぎても一向に姿を見せないのを不審に思い、彼のマンションを訪ねることにした。ドアを開けて中に入って見ると孝典は死体となってそこに倒れていた。彼の死には、ある大企業の遺産相続が絡んでいることが判明する。そして重要なカギとなる遺言状。

また、彼が死ぬ直前に残したアルファベットの「A」と読みとれるダイイングメッセージ。この文字が意味するものとは何か?

 

▼レイコと玲子

浅野葉子は午前三時にマンションに帰宅してみると若い娘がうずくまっているのを発見した。不審に思いながらも声をかけてみると、どうやら記憶喪失に陥っている様子だった。このまま放っておくと心配なので、とりあえず自宅へと誘い一時的に保護することした。

一方近所では殺人事件が起きていた。葉子は似顔絵を持って捜査している刑事と遭遇する。手元を覗き込んで確認してみると描かれていた似顔絵は昨夜保護した若い娘にそっくりだった。

 

▼再生魔術の女

根岸家に婿養子としてやってきた根岸峰和は妻の千鶴との間になかなか子どもができないで焦っていた。そこで諸事情で実の親と暮らすことができない赤ちゃんを養子として引き取ることにした。そのお世話をしてくれたのは中尾章代という女性だった。しかし彼女にはある狙いがあり、それは峰和の過去に関係していたのだ。

 

▼さよなら『お父さん』

名作「秘密」の原型となったお話し。杉本平介の妻の暢子と娘の加奈江は飛行機事故に遭ってしまった。暢子は亡くなってしまったが、加奈江は一命を取り留めた。その事実をどう受け止めていいのか困惑しながら、病院で眠る加奈江により添っていると目を覚ました。医者を呼びに行こうとする平介を止めて、わたしは暢子なのよと驚きの言葉を発した。

 

▼名探偵退場

名探偵アンソニー・ワイクと助手のヒュー・マーシュは共に過去に解決した事件を振り返っていた。科学の進歩により探偵への捜査依頼はなくなり、今ではひっそりと暮らしている退屈な毎日。ある日のこと久しぶりに依頼人がやってきた。その依頼人に連れられて訪ねたお屋敷で遭遇した事件は、かつてワイクが手がけた事件の中でも群を抜いて困難なものであり、一方刺激的なものでもあった事件を思い起こさせた。

だが、謎を解いたワイクが関係者を集めて推理を披露する寸前で倒れてしまう。これを皮切りに事件は思わぬ方向へと転がっていく。

 

▼女も虎も

殿さまの妾に手をつけてしまい罪人となった真之介。罪人には二つの扉の前に立たされて、どちらか一方を開けることが命じられる。扉の先に待っているのは絶世の美女か人食い虎。さらに今回は第三の扉が用意されていた。妾から第三の扉を選びなさいと言葉をかけられた真之介は、その言葉を信じて飛び込んだその先に待っていたのは何か?

 

▼眠りたい死にたくない

憧れの女性である山崎ユカリに誘われてイタリア料理の店でデート中の筒井。有頂天になっていたが睡眠薬を飲まされて意識がもうろうとしてきた。ぐらぐらする頭でなぜこんなことをするのだろうと考えていると来週会社で監査があることを思い出した。まさか不正行為に彼女が加担しているのか?そのために僕が身代りになる?彼女が考えたシナリオが見えてきたが身動きが取れずにどうすることができない。唯一つ確かなことはここで眠ってしまうと彼女のシナリオ通りに死んでしまうということだ。どうしよう、、、

 

▼二十年目の約束

亜沙子は、交際していた村上照彦から子どもを作らない約束でプロポーズを受けた。子どもがいなくても幸せに暮らしている夫婦がいることを知っている彼女はその約束を受け入れて結婚した。しかし、夫の仕事の都合で日本を離れ、慣れない海外生活の寂しさから子どもを欲するようになり、だんだんとストレスが溜まり、最終的に自殺を図ってしまう。

特別に休暇を取得して一時帰国したが、照彦が友達と会うというので後をつけてみることにした亜沙子。そして見えてきた二十年前に起きたある事件。子どもを作らないという約束は彼なりの償いのためであった。

 

感想/まとめ

訳あり物件というが面白かった。こういう時代があったよ、あったんだ。僕の心境はどっちに近いのか悩む。

 

やっぱり注目は名作「秘密」の原型となった「さよなら『お父さん』」でしょう。今では小説を何百冊と読んできましたが、秘密を手に取ったのは序盤の頃。何も知らないうちにおススメと紹介されていたので読んでみましたが、あのラストに茫然とした記憶を今でも覚えています。しばらく読書欲を根こそぎ持っていかれて復活するまで時間を要しましたね。今なら違った感触を得るだろう「秘密」の感想もいつか書きたいですね。