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近藤史恵さんの「震える教室」を読んでみた 感想

今回紹介するのは近藤史恵さんの「震える教室」です。学園にまつわる怪異の謎を解き明かせ!青春ミステリーホラーの短編集。

 震える教室

第一話 ピアノ室の怪

凰西学園高等部に入学した秋月真矢。音楽教育で有名な女子高であったが、そっちの方面はからっきしダメで普通科に席を置く。不運続きで受験に失敗し、この学園に入学するしか道がなかったのだ。

内部進学組が多数を占める学園で人見知りで馴染めるか心配だった真矢だったが、同じく外部入試組の相原花音とすぐに仲良くなった。怖がりの花音は、小説家の母に頼まれてピアノ練習室に出る幽霊を確認したいから一緒に来てほしいと真矢を誘う。さっそく向かったピアノ練習室で二人は血に汚れた女の人の手を見てしまった。過去に音楽家の生徒が自殺した事件が起きたようだ。ではその娘の手なのか?あることに気がついた真矢は怖がる花音を連れてピアノ練習室に向かった。

どうやら二人が手をつなぐと見えるらしい。推測通りに見えたその手は、一体誰の手なのか?

 

第二話 いざなう手

バレエ科の先輩が駅の階段で気を失って倒れてしまい、下にいた真矢が巻き添えを食らった。数日後に謝罪にきた友成紗代と岸田塔子。最近食欲がなくで、貧血気味だったのが原因だったようだ。迷惑かけましたとお辞儀して帰っていく先輩たちを見ているといきなり花音が手を握ってきた。すると教室を出ていく紗代のスカートをがっちりと掴んだ手が見えてしまった。二人が手をつなぐと現実ではないものが見えてしまう。

こうして二人はまたこの世でないものと関わっていくことになる。

 

第三話 捨てないで

同級生の田渕菫の肩に小さな生き物が乗っていることに気がついた真矢と花音。親しくなった菫の家に遊びに行くと、二人が目撃した白いくまのぬいぐるみがあった。それは菫の姉・楓が大切にしていたぬいぐるみだった。楓はアイドルをやっていたが、自宅のベランダから飛び降り自殺をしていた。楓の恋人を名乗る男性が現れて、楓はアイドルを辞めて同棲する予定でいたことを知る。彼の言葉が本当なら自殺する理由が見当たらない。しかし、二人が秘密裏にネット上でやりとりをしていたといので覗いてみると、ぬいぐるみを捨てるという文字に真矢は全身総毛立つのであった。

 

第四話 屋上の天使

三年生の堀江加奈は、人気の同人誌作家であった。真矢の知らない所で花音もすっかりはまっていた。ある日、副担任の各務先生が同人誌を見たら何かに動揺する姿を見せた。不可抗力でまた手を握ってしまった二人が先生の背後に見えた女の子。先生は高校生の時に急に転校して以来音信不通の親友がいて、同人誌に描かれていた会話がそっくりだったので作者は何か知っているのではと慌ててしまったと話した。

二人が辿りついた真相。そこには悲しい現実が待っていた。

 

第五話 隣のベットで眠るひと

鷺沼未散は保健室で寝ていると首のない女の子の幽霊を見てしまう。そのことが原因で成績が下がっていて困っていた所に真矢と花音が登場。事情を聞いた二人は、さっそく保健室を訪ねた。実は志望する大学に合格するために頑張って勉強していた生徒がお風呂で溺れて亡くなっていたことが判明した。そこに保健室の明石先生が関わっており、あのようなラストを迎えたことは因果応報だと言えるだろう。

 

第六話 水に集う

塔子先輩から相談を受けた真矢。それはプールの補習授業の後から不登校になってしまった村田紅美のことだった。運動神経も良くて、泳ぎもうまかった彼女だが、プールで溺れて怖いと訴えていた。そこで調査に乗り出した真矢と花音が辿りついた真相とは?

 

感想/まとめ

背筋が凍りつくような極端なお話しはなかった印象ですが、全体的にみても面白かったですね。真矢と花音が手を握っている瞬間だけ見えるという設定が特殊的で良かった。女の子がただ手を握るだけなのに心が躍るのはなんでだろう。

 

プロローグとエピローグ。意味深だったが深い意味はないのだろうか?

続編あるのかな~