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米澤穂信さんの「クドリャフカの順番」を読んでみた ネタバレ少々あり/感想

今回紹介するのは米澤穂信さんの「クドリャフカの順番です。待ちに待った神山高校文化祭。古典部も文集「氷菓」を無事完成させて売るつもりでいたが、手違いで予定より大量に作るミスを犯して頭を悩ませていた。一方、学校内で奇妙な盗難事件が発生する。この事件を解決して氷菓完売につなげようと企てる古典部メンバーに後押しされて、奉太郎は動き出す!古典部シリーズ第三弾!

 クドリャフカの順番

待ちに待った神山高校文化祭が始まった。古典部も文集「氷菓」を完成させて、販売するつもりでいた。だが手違いで予定より多く刷ってしまい、大量の在庫を抱えてしまった。悩むだけではだめだ。とにかくこの現状を打破するために、各々役割分担をして動き出した。

 

さて、今作は文化祭を舞台に、奉太郎、千反田、里志、摩耶花の視点が用意されている。奉太郎は地学講義室で店番を、千反田は売り場拡張のために交渉に出かけて、里志は宣伝すると言いながらちゃっかり文化祭を楽しんで、摩耶花は古典部を気にしながらも、所属する漫画研究会に専念する。

視点移動することで読者も文化祭を一緒に楽しめる描写や演出がありがたい。

 

一日目

▼奉太郎

地学講義室で店番をしていた。ちょくちょくお客さんも現れてトータル十三部売れた。

姉から貰った壊れた万年筆がワッペンに変わった。(わらしべ長者進行中)

 

▼千反田

文集「氷菓」の売り場拡張のための交渉に出かけた。気になりますが代名詞の彼女は、あちこちから五感に訴えてくる誘惑に負けそうになるが、自分の役割はしっかりとこなそうと頑張っていた。だが、それがいい方向へと結びつくとは限らない。総務委員会や壁紙新聞にかけ合ってみるが、思うような成果が得られないでいた。

下を向き落胆しながら校内を歩いていると、友人の十文字かほから声をかけられた。そこで占い研究会に所属(部員は彼女一人)している彼女からタロットカードが盗まれたことを知らされた。文化祭が終わったら返しますと書かれたメモと文化祭のしおりが一緒に残されていた。これはわたし、気になりますパターンか?店番している奉太郎がくしゃみしてそうだ。そんな感じで彼女の一日目は終わりを迎えた。

 

▼里志

文集「氷菓」の宣伝担当に立候補した里志には秘策があった。それは、文化祭のあちこちで開催されるであろうコンテストや競技に参加して古典部をアピールすることだという。それは名案ですと千反田は讃えていたが、奉太郎はイベントに参加したい、文化祭を楽しみたいというのが本音なのではと見抜いていた。

落語研究会で笑い頂戴し文化祭を心から楽しむ一方、参加したクイズ大会では古典部の宣伝しっかりとこなしていた。そこで勝手に里志をライバル視する囲碁部の谷から碁石が盗まれたとの情報を手に入れた。

そんな感じで彼の一日目は終わりを迎えた。

 

▼摩耶花

文集「氷菓」の責任を感じながらも、兼任している漫画研究会の方に時間を取られていた。こっちでもちょっとした問題発生で漫研のリーダー的存在の先輩の河内と真っ向対立していた。主観次第でどんな作品でも名作になりうると主張する彼女に対して、自身が衝撃経験した去年この学校の文化祭で販売されていた「夕べには骸に」を持ってくるので、読んでくださいと反論をした。

そんな感じで彼女の一日目は終わりを迎えた。

 

 二日目

▼奉太郎

今日も地学講義室で店番をしていた。今日は十六部売れた。

ワッペンがAK(水鉄砲)に変わった。(わらしべ長者進行中)

AK(水鉄砲)が小麦粉に変わった。(わらしべ長者進行中)

小麦粉がブローチに変わった。(わらしべ長者進行中)

▼千反田

今日こそはと巻き返しを図ろうと意気込んでいた。古典部も関わった自主製作映画『万人の死角』を上映している2年F組に向かっていた。女帝・入須冬美にかけ合って、氷菓を置いてもらうつもりでいた。無事に了解も得ることができて、さらに昨日の反省も踏まえて入須から人に頼み方のレクチャーを受けた。

▼里志

総務部員でもある里志は、田名辺委員長から仕事を命じられていた。そこでアカペラ部でも盗難事件が起きていたことを知らされる。

▼摩耶花

威勢よく啖呵を切ったのはいいが、「夕べには骸に」を見つけることができなかった。土下座も覚悟していた摩耶花だったが、河内はポスターの手伝いを命じただけで興味なさそうに去って行った。

 

お料理研究会主催の料理対決イベント「ワイルドファイア」に出場することにした古典部。三人一組のチーム戦でメンバーは里志、千反田、摩耶花だ。先鋒の里志、中堅の千反田といい流れでバトンタッチしたかに思えたが、遅刻してきた大将の摩耶花に残された食材は僅かしかなかった。そんなピンチから救ったのが地学講義室で店番をしている奉太郎だった。彼から小麦粉(ルール上問題なし)を受け取り、猛スピードで料理を完成させた。優勝することができたのにどこか浮かない表情の面々。その理由は、お料理研究会のおたまが盗難に遭っていたこと判明したことだ。昨日から続く盗難事件に十文字と残されたメッセージから十文字事件と呼ばれ校内に広まっていった。

地学講義室で休憩中の古典部。十文字の次なるターゲットを暴くことで、古典部の宣伝にもつながると犯行の法則性について話し合っていた。奉太郎が気がついたある法則性。その情報を持って壁紙新聞に交渉に出かけた千反田だったが、すでに十文字にカッターナイフを盗まれた後だった。奉太郎の代わりに自ら十文字を捕まえようと奇術部に向かった里志だったが、キャンドル盗まれてしまう。漫画研究会に戻った摩耶花は、部長の湯浅から河内の過去を聞かされた。

そんな感じで文化祭二日目は終わりを迎えた。

 

三日目

それぞれの思いを抱えたまま文化祭最終日を迎えた。

▼奉太郎

今日も地学講義室で店番をしていた。奉太郎は「氷菓」完売を目指して、ある考えを進めていた。ちょっとトイレ休憩に出かけていて帰ってきたらブローチが夕べには骸に変わっていた(わらしべ長者進行中)

そしてその本に書かれていたあとがきクドリャフカの順番とクリスティの有名作(ABC殺人事件)から推理を組み立てていった。

▼千反田

校内ラジオのゲスト出演することになった。ラジオで十文字に対して呼びかけて、挑戦状を叩きつけた。

▼摩耶花

「夕べには骸に」に関わった人間模様を知った。

▼里志

壁紙新聞で十文字事件を大きく扱ったことで注目を浴び、探偵志願が集っていた。里志もその一人だった。十文字の次のターゲットだと張り込んでいたがグローバルアクトクラブが飛ばされて、軽音部がやられてしまった。法則性が乱れてことで冷静に振り返った里志は僕の手には負えないと諦めて奉太郎に任せるのだった。

 

古典部の敗北という結末で十文字事件は幕を閉じた。そして文化祭も終わりの時が近付いていた。里志、千反田、摩耶花がそれぞれの期待に苦みのある整理を付けた。そして、奉太郎は十文字の正体を突き止めて、ある計画を持ちかけていた。

 

そして、文庫「氷菓」は完売することができたのか?

 

感想/まとめ

面白かった。

奉太郎以外に視点が当たることで、それまで漠然としたイメージだった他の古典部の内面を垣間見ることができて良かった。どこかのサイトでみたが、嫉妬の物語。確かにと納得してしまった。

 

河内先輩の『つまらない』を『自分に合わなかった』と言い換えるのは激しい言葉を使いたくないだけだろうに図星をつかれた。個人的に古典部シリーズがまるっきり当てはまってしまうからだ。内容は大好きだけど、登場人物が合わないから苦手だと逃げ道を用意して感想を書いているからね。

 

氷菓のあとがきの答え合わせ、、、、手元に氷菓がないだと。

また後で調べてみますか。