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知念実希人さんの「十字架のカルテ」を読んでみた 感想

今回紹介するのは知念実希人さんの「十字架のカルテ」です。

十字架のカルテ

主人公の弓削凛は新人の精神鑑定医である。精神鑑定の第一人者で院長の影山司の下で日々舞い込んでくる鑑定に助手として携わっていく。

彼女が高校生の時に親友を殺害された過去がある。犯人は、精神鑑定の結果不起訴処分になり、心の整理がつかないまま現在に至っている。何故親友は死ななければいけなかったのか。何が親友の命を奪ったのか、その答えを知りたくて精神鑑定医となった彼女の前に見えてきたものとは。

 

▼第一話 闇を覗く

歌舞伎町無差別通り魔事件の犯人・白松京介の精神鑑定が行われた。精神科への通院で症状が治まって日常生活を送れていたこと、医師の指示に従わず自己判断で薬の内服を止めたことで、ふたたび精神症状が再発したことなどが分かってきた。

典型的な統合失調症の症状を示す彼に対して影山が下した鑑定とは。

 

▼第二話 母の罪

生後五カ月になる自らの子供を手にかけてしまった母親・美里の精神鑑定が行われた。乳児殺害後、自殺を図ったとして殺人の容疑で逮捕されたが、精神疾患の疑いがあると診断されたため影山に精神鑑定の依頼が入った。

典型的な産後うつ病による症状を示す彼女に対して影山が下した鑑定とは。

 

▼第三話 傷の証言

高校中退後、自室に引きこもっている弟・一也にナイフで刺されたと証言する姉・凉香。幸い命に別状はなく、容態も深刻ではない。殺人未遂で一也の訊問を開始するが、会話が成立しない。そのため精神疾患の疑いがあると診断されたため影山に精神鑑定の依頼が入った。

典型的な統合失調症の症状を示す彼に反する言動。どうしても腑に落ちない点に引っかかりを覚えた影山が下した鑑定とは。

 

▼第四話 時の浸蝕

別れ話が拗れて起きてしまった悲劇。一人の人間が亡くなるという悲劇ではあるものの単純な事件のはずだった。ところが容疑者の男から支離滅裂な発言や意味不明な証言が飛び出したことで影山に精神鑑定の依頼が入った。面接をした影山は、詐病と診断を下し、犯行時に完全な責任能力があったと報告した。

満を持して迎えた裁判で思わぬ人物から横やりが入り、状況は一変する。

 

▼第五話 闇の貌

容疑者の桜庭瑠香子と被害者の石井和代は会社の同僚であり、仲の良い友人でもあった。その日は自宅で仲良く酒を酌み交わしていたが、何かのきっかけで諍いが生じた。桜庭は怒りにまかして凶器のアイスピックで和代を何度も刺して殺害。動かなくなった彼女を目の当たりにして我に返った桜庭は警察に通報し、事件は明らかになる。捜査の結果、警察はすぐに送検しようとするが、彼女の記録を調べてみると、単純な事件ではない可能性が浮上する。

9年前、桜庭は今回と同様な事件を起こしていたことが判明する。解離性同一性障害、、、彼女の中に存在する人格が犯行を起こしたという鑑定で、不起訴処分が下されていた。そして、それは弓削凛が精神科医を志すきっかけとなった事件でもあった。

精神科医として、親友を殺害した犯人として、凛はどうように立ち向かっていくのか。

 

感想/まとめ

面白かった。

さまざまな症状の事例が短編集の題材になっており、専門的ながらもの引き付けれる内容になっていましたね。

これ以上ここでは深く掘り下げないで、こういった世界の現状を知れたことが僕にとっての収穫であったとし、終えたいと思います。