月原渉さんの「太陽が死んだ夜」を読んでみた 感想
今回紹介するのは月原渉さんの「太陽が死んだ夜」です。
太陽が死んだ夜
ニュージーランドの小さな街フェザーストン。第一次世界大戦中の同地に存在したフェザーストン捕虜収容所で日本兵・矢神が謎の死を遂げた。現場は密室であり、切腹という名の自傷。それでもこれは自殺ではなく、殺人であることは戦友のコゴロウの目には明らかであった。彼の死を無駄にしないために、また我が子を抱くためにコゴロウは収容所から逃げ出す決意をする。
そして、時は過ぎ41年後の1984年のラザフォード女子学院に舞台は移る。
▼登場人物
ジュリア(ジュリアン)・グレイ :15歳の少女
バーナード(バーニィ)・ロイド :ジュリアンの親友
ベル :日本から来た留学生
キャサリン・マーシャル :真面目な少女
ジェニファ・セドン :プラチナブロンドの美少女
ロティ・シップレイ :良家の子女
イライザ・マンスフィールド :神秘的な雰囲気を持つ少女
シスター・ナシュ :老シスター
グレイス :寮母
ケイト・グレイ :ジュリアンの亡くなった祖母
祖母を崇拝していた母の命で、祖母の出身校である名門ラザフォード女子学院に編入したジュリアン。信仰に対する意欲が薄く、規則正しい生活が苦手な彼女は抵抗を試みるも全て失敗に終わった。唯一救いは幼なじみで良き理解者のバーニィも一緒に編入してくれることだけだが、憂欝な気持ちだけは晴れることはなかった。
それもそのはずジュリアンにはもう一つ心配ごとがあったからだ。新生活に向けて祖母と思いを馳せるつもりで、祖母の部屋を訪ねてみると、彼女の過去が詰まった手記を発見した。好奇心に負けて詠み進めていくと、復讐をにおわせる、不吉な内容の手紙。そして41年前にラザフォードで起きた殺人事件の顛末が綴られていた。密室殺人、クローズド・サークル、いるはずのない日本人。明日からその場所へ向かうジュリアンは立ちつくしたまま動けなくなっていた。
さてラザフォードへ来てから早2週間。珍しい日本人留学生の存在にざわめきつつも一応は平穏な日常を送れていた。しかし、運命の日は待ったなしにやってくる。ラザフォードの教会堂で行われる伝統的なお籠もり。七日間の間、教会堂で寝泊まりして祈りをささげる宗教的な行事に7人の少女が参加することになった。あまり信仰に熱心ではないジュリアンとバーニィも立候補して選ばれたが、彼女たちの目的は41年前の殺人事件の調査。教会堂内部を探索するのにお籠もりは都合のいい隠れ蓑になった。
ところがお籠もり初日の夜。参加者の一人であるイライザが41年前とまったく同じ状況で殺害されてしまう。さらに絶望的な状況は続き、嵐と何者かの作為によって彼女たちは教会堂に閉じ込められてしまった。犯人は内部犯だと警報を鳴らす日本人留学生・ベルを中心に教会堂の探索を開始する。いつの間にか紛失した祖母の手記、奇怪な切腹の見立て、私たちを閉じ込めた理由など犯人の狙いが全くつかめないまま彼女たちは動き続けるしかなかった。しかし、恐れていた第二の犠牲者が出てしまい、、、
ジュリアンの祖母が遺した手記の真相と時をまたぎ、三つの事件を結ぶものとは何か?
そして、偽りの仮面をかぶり、少女たちに紛れ込んだ冷酷な殺人者は誰だ。
感想/まとめ
面白かった。
時代をまたぐ奇怪な事件に密室にクローズド・サークルと聞いたら読むしかありませんよね。意外な繋がりも明らかになり、個人的には好みであった。
未熟な少女と完熟したシスター、こう表現すると果物みたいですね。