~読んできた本の足跡~

~のんびりまったり日々読書~アニメや雑談も~

山口芳宏さんの「妖精島の殺人 上」を読んでみた ネタバレ/感想

今回紹介するのは山口芳宏さんの「妖精島の殺人」です。片思いの美女を追って、大富豪が所有する島に上陸した男が妖精の世界に迷い込んだと訴える。警察は妄想だと断定するが、学生探偵・真野原は真実だと推理。友人の森崎と島に侵入するが、待ち受けていたのは戦慄するような惨劇だった。

 妖精島の殺人

柳沢洋輔は派遣社員として、研究所で開発業務のアシスタントをしている。そんな彼の勤務先に新しいスタッフとして欄間真希が配属されてきた。惚れっぽい性格の柳沢は、優雅で美しい彼女に魅了されていた。妄想癖があり、彼女と結婚したらどんな未来があるのだろうと、夢を膨らませていたが、もちろん仕事以外では声をかけられないでいた。しかし、ふとしたきっかけで食事に誘うことができ、共通の趣味で会話が広がり、夢のような時間を過ごした。勇気を振り絞ってまた誘ってみたものの濁った返事で現実に戻された。何か事情がありそうな表情で、本当に楽しかったです。いい思い出になりましたと言い残し、翌日から彼女は姿を消した。

 

柳沢は真希が残していった私物(妖精の写真)を手がかりに大富豪の郷原潤一郎が所有する竹原島(妖精島)に上陸した。そこは西洋風な建築物が並び立つヨーロッパ古風な城下町のようだった。一瞬でタイムスリップしたような錯覚をして戸惑いを感じたが、気を改めて通りを歩いていると、ガラの悪い用心棒のような男たちと遭遇してしまう。隙をついて逃げ出した柳沢は、森の奥深くにそびえ立つ妖精城に辿りつき助けを求めた。城内には、妖精の研究をしている積木と執事だけしかいなかった。

 

寝静まった深夜に城内を捜索していると、地下への入り口を発見した。慎重に通路を進んだ先の部屋で積木が妖精界への行き方を伝授されている現場を目撃した。積木より先に妖精界の扉を開くと、昼間の景色とは一変し、別世界へ迷い込んでいた。城下町は消失して、アルコールとミルクが流れ出る泉、裸の妖精エルフたち、首なし騎士のデュラハンとファンタジー世界ではお馴染みの光景が溢れていた。そして、王女様からの歓迎を受けた柳沢は、踊り子の中にいる真希を発見した。一緒に帰ろうと真希を説得して逃げ出すが、用心棒に捕まってしまう。ぼこぼこに殴られている柳沢を助けようとして、暴れた勢いで真希にナイフが刺さってしまう。

その後は、意識を失って倒れていた柳沢を執事が発見して病院に搬送してくれた。

 

妖精島という荒唐無稽な話を仕入れた真野原、森崎、菜緒子は当事者の柳沢から病室で上記の話を聞き終えていた。きっと彼の妄想だと言う森崎に対して、真野原は答えを保留して時間が必要だと調査の必要性を訴えていた。ちなみに郷原氏から連絡があり、真希は無事らしいことも分かった。ただ、二週間くらい待ってほしいとも付け加えた。その話を聞いた真野原は、彼女の身に危険が及ぶ可能性を危惧していた。

 

実際に妖精島に赴くことにした三人は、真野原は郷原グループの本拠地・博多へ情報収集に、森崎・菜緒子は竹原島(妖精島)を目指して出発した。現地の漁師さんに断られて島に渡る手段がなく立ち往生していると偶然にも竹原島に向かう親族と会うことができて、同行させてもらえることになった。一方、真野原の方は、関係者のガードが堅く、空振りに終わった。

 

柳沢が言っていたとおり、古きヨーロッパを思わせるような街並みに思わず凄いと呟いてしまう。ただ、村民が誰ひとりいないことが気になった。そして、妖精城に辿りついたが誰も出てくる気配がない。食堂には出来立てほやほやの温かい料理が用意されていた。席に着くと、スピーカーから郷原潤一郎の声でスタッフ不足の侘びとある趣向について一方的に流された。

 

ある趣向のために、潤一郎氏の四人兄弟は地下室に呼ばれて罪の告白をした。翌朝になり用意された朝食を食べた長男・修一が毒により死亡。第二の復讐は成し遂げられたとメッセージが残されていた。第二のというワードに反応して、行方不明になっている長女・美子の身に何かあったのだろうか?

 

とうとう被害者が出てしまい、事件が起きてしまった。

〈下巻に続く〉

 

感想/まとめ

面白かった。

表紙がエロい。胸の描写が素晴らしい。一糸纏わぬ生まれた姿の妖精さん。スケベ心をくすぐるファンタジー世界に孤島、城、密室、連続殺人などミステリーの王道を貫く設定も忘れていない。探偵役の真野原はまだ不在。天候悪化でクローズドサークルと化した島に辿りつくことは出来るのか?森崎は彼の登場までふんばることが出来るのか?下巻が気になりますね。

 

コナン・ドイルも関わった、コティングリーの妖精写真は覚えておこう!