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住野よるさんの「麦本三歩の好きなもの」を読んでみた ネタバレあり/感想

今回紹介するのは住野よるさんの「麦本三歩の好きなもの」です。麦本三歩の愛おしい日常を描いた短編集。特別なことは起きない平凡の毎日だが、共感する面も多々あり、思わず応援したくなることでしょう。

 麦本三歩の好きなもの

麦本三歩は大学の図書館で働いている。麦本三歩がどういう人なのかと説明すると、人よりぼうっとしてたり、人よりよく食べたり、人よりおっちょこちょいで、人より間抜けである。職場では、ミスで怒られ、たまに褒められ、また怒られる日常を送っている。それでも先輩たちからは天然キャラとして扱われ、可愛がられている。刻々と平凡に過ぎる日常をこよなく愛し、三歩の日常は好きなもので溢れていた。

 

大好きな図書館での仕事はまさしく天職だ。しかし、幸せなことばかりではない。今日もミスをして社会の厳しさを味わっていた。そんな嫌な気分もおいしいもを食べればすぐに忘れてしまう。そして、三歩は歩くことも大好きだ。無意味な行動も三歩にとっては好きなもの。オンオフの切り替え上手な彼女は今日も前向きだ。

 

ある日のこと、図書館に来ていた学生から一冊の本を探して欲しいと頼まれた。しかし、その本が現在行方不明であり、要望に応えることができなかった。その日の業務を終えて、再度会った学生が、実はあの本を読んでいる人をいましたよと言い残し去って行った。指摘した場所に行くと確かにあった。ふと三歩が優しい先輩と呼ぶ彼女から貰ったアドバイスを思い出した。そこにも意味があるのだろうと察したが、これ以上踏み込む勇気は三歩にはない。戻ってきた本におかえりと言うのであった。

 

ある日のこと、仕事中に停電に見舞われてしまう。一瞬慌てた三歩だが、冷静に復旧までじっとしておくことにした。停電だ。停電だ。てーへんだ。こんなくだらないギャグで笑ってしまう。しかしいつまでもじっとしていられる彼女ではない。閉じ込められたこの場所から脱出しようと試みようとするが、上手くいかない。徐々に不安が募ってきた三歩でしたが、子どもの頃に体験した暗闇の中の迷路は怖いとは無縁でただ楽しかった記憶しかない。そのことを思い出し、暗闇と和解することで仲直り。三歩がおかしな先輩と呼ぶ彼女に助けられるのであった。

 

三歩は休日を一人で過ごすことが多い。この日はラーメン屋さんに行ったり、たい焼き屋さんに行ったり、趣味のラジオを聴いてお昼寝と、食べて寝てまた食べると、だらけた休日を満喫していた。この間までいた彼氏と別れて身軽になったことで見えてきたものもある。幸せも重労働であると。

 

三歩は感情の伝え方が下手である。特に怒りが苦手である。そんな悩みを抱えていた所に優しい先輩が優しい怒り方で学生を注意をしている現場を目撃して是非とも人への怒り方を教えてくださいと請うのであった。そんな先輩に連れられてやってきたのが公立図書館。子どもたちに紙芝居の読み聞かせのお手伝いをしていた。これは何かの特訓か?と先輩の意図を懸命に考えて、分かった風に見当違いな発言をして笑われたが、三歩みたいな人がいてもいいでしょと認めてもらい、安心するのであった。

 

大学時代の仲の良かった男友達とに誘われて水族館へと出かけた三歩。そんな彼が深刻な表情で打ち明けてきた。死のうとしたが失敗した。今日は巻き込んでしまって悪かったと謝罪と告白。不器用ながら形にして三歩らしさが詰まった正直な気持ちは彼に届いたのか?

 

ミスをするたびに三歩を怒る怖い先輩のお宅にお邪魔した。私生活を覗かせてもらい、職場での怒った先輩とは違った一面を知ることができて、嬉しくなった三歩であった。

 

温泉旅行に親友と来ていた三歩。編集者として担当している先生の扱いが難しいと仕事の愚痴を聞くのを楽しんでいた。お酒も進み、酔いつぶれて眠ってしまった親友。逆に酔いがさめた三歩は彼女との思いに馳せていた。そんな時に彼女のスマートフォンに例の先生から連絡が入った。雰囲気に酔ったのか三歩は、この子のことをお願いしますと語りかけていた。翌日になりエネルギーを補充した二人はまた会おうと別れた。帰宅後、親友から届いたメールで昨晩彼女が起きていたことが判明し、恥ずかしがる三歩であった。

 

仕事をさぼってしまって罪悪感に苛まれていた三歩。偶然にもその秘密を共有したおかしな先輩。実は彼女は三歩のことを嫌っていた。三歩だからで許される、贔屓があると指摘した。先輩だっておかしな人で許されることがあるのではと反撃したが、そうだねと認めた。本音をぶつけ合い少しだけ距離が縮まった二人であった。

 

今日も三歩は好きなものを大切に生きていく!

 

感想/まとめ

面白かった。彼女みたいに切り替えが早く、前向きな性格は見習いたいですね。ただ、好き嫌いがはっきりするタイプであることは確かでしょう。

 

当たり前が当たり前でなくなった今みたいな現状に癒しを求めて読んでみるのも良いかもしれませんね。