この青春は最高峰!川澄浩平さんの「探偵は教室にいない」を読んでみた 感想
今回紹介するのは川澄浩平さんの「探偵は教室にいない」です。北海道を舞台とした中学生の日常の謎を描いた作品。第28回鮎川哲也賞受賞作です。
探偵は教室にいない
第一話 Love letter from...
海砂真史は、バスケ部に所属している長身の少女だ。ある日、机の中に差出人不明のラブレターが入っていた。ドギマギしながらも誰かに相談したくて真っ先に親友の英奈のことが頭に浮かんだが、距離が近すぎて大事になってしまう可能性が高く躊躇してしまう。日常から距離があり、信用することができて、頭が切れる人として相談相手に選んだのが幼なじみの鳥飼歩だった。
鳥飼歩は、変わった子だった。幼稚園のころから大人びていて頭の回転が速く、小学生時代には自由研究の工作を壊した犯人を突き止めてしまった話も母親を通じて聞いた。幼なじみとして語っていたが、別々の小学校に入って以来交流がないので九年ぶりの再会になる。
感想 なんとなくオチは見えていた。バスケは未経験で初心者だが、タイミング良くアニメのあひるの空を見ていたので、フォームの件は想像できた。これも青春のひとつなのかもしれないね。
第二話 ピアニストは蚊帳の外
合唱コンクールの季節がやってきた。真史の友人である岩瀬京介はピアノの伴奏を担当することになっていた。彼の演奏を聴いた真史やエナが感動するくらいの実力の持ち主だった。それなのに伴奏は断ったという。指揮者を担当する望月という生徒とひと悶着があったらしいが、心配になって歩に相談することにしたが、、、
感想 方向性の違いがモロに現れてしまったお話しでしたね。京介君が一線を越えなくてよかった。
第三話 バースデイ
仲良し四人組の一人である田口総士の誕生日がやってきた。彼の提案で急遽海に行くことになり、天気は生憎の雨だったが楽しい人時を過ごすことができた。顔が良くて背も高くもちろん女子にモテて人気者。さらに他校に彼女持ちとハイスペックな人間である。ある日、総士の彼女が真史たちの元に、彼の様子に変化はありませんかと訪ねて来た。最近なかなか会えてないんですと彼女は話出したが、、、
感想 彼女を大切にしていることが伝わってくる。行動もイケメンだったら総士君に欠点ないじゃないですか~
第四話 家出少女
父親と口論の末に家出をした真史。英奈に電話をかけるが、重要なことを話す前に充電が切れてしまう。心配になった英奈は、先の件で功績のある歩に助けを求めることにした。中学生にしてみれば遅い時間に集まった歩、英奈、京介、総士。真史に対する本気度が窺える。わずかな情報を頼りに歩の推理が冴えわたる。
感想 そこでしたか。学校だと思っていた自分が恥ずかしい。友人に愛されていてうらやましいね、真史ちゃん。
感想/まとめ
面白かった。これぞまさしく青春小説だと声に出して言いたい。それでいて、よくある日常の謎とはまた違った読後感に包まれている。ささいな日常の謎なのですが、彼、彼女らにしてみれば一大事なこと。純粋さや不安定さの表現がピカイチ。
また、中学生の描き方が上手い。あの頃はこんな距離感や雰囲気だったんだなと懐かしさを噛みしめながら読んでいました。(こんなに充実してはいなかったけど)登場人物も特徴や性格がバラバラで尖った部分や強烈なクセもありましたが、不思議とみんなのことを好きになっちゃった。
また真史や歩に会えることを願い、続編に期待して待っています!
ちなみに鮎川哲也賞受賞作は好みの物が多いので毎回楽しみにしています!