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伊坂幸太郎さんの「グラスホッパー」を読んでみた ネタバレあり/感想

今回紹介するのは伊坂幸太郎さんの「グラスホッパーです。妻を殺されて復讐を誓った鈴木。自殺専門の殺し屋・鯨。ナイフを扱う殺し屋・蝉。ある一人の男が「押し屋」と呼ばれる殺し屋に殺されたことで三人の交差する物語は動き出す。

 グラスホッパー

▼鈴木編

妻を理不尽に殺された鈴木は、復讐するために犯人の寺原長男の父親が経営する「フロイライン」に契約社員として潜り込んでいた。しかし、鈴木は会社から疑われていた。寺原長男に復讐するために会社に入社する人が多くおり、鈴木もその一人としてマークされていたのだ。幹部である比与子から、疑惑を払拭するために先ほど誘拐した若いカップルを殺すように命じられた。その現場を確認しようと寺原長男が現れますが、誰かに押されて車道に飛び出し車に轢かれてしまう。現場から遠ざかる怪しい人影を鈴木は追いかけることになる。この世界には、押し屋と呼ばれる殺し屋がいることを教えられた。

比与子の命じられて押し屋の後を追い、居場所を突き止めることに成功した鈴木だったが、子どもがいて、そこには家庭があった。戸惑いを感じつつも、押し屋だと確証を得るために家庭教師を雇いませんかと自分を売り込んだ。押し屋の男は槿(むくげ)と名乗り、妻のすみれ、長男の健太郎、次男の孝次郎と順に家族を紹介した。鈴木は家庭教師の営業の芝居を演じつつ、健太郎とサッカーで親睦を深めて、すみれの手料理をごちそうになり、一家に接近していった。しかし、比与子からはその後はどうなった、居場所を教えろと催促の電話が鳴りやまない。ここまで何とか先延ばして時間を稼いでいたが、今の彼女の声には手段を選ばないような切迫感がまじっていた。さらに、あの馬鹿息子が息を吹き返した言う。嘘や罠だと思っていても、監禁されている若いカップルのことも気になる。最低限の注意を払って、喫茶店で待ち合わせをして会うことにした。

槿に駅まで送ってくれたが、とうとうあなたは押し屋なんですか?と聞くことはできなかった。喫茶店で比与子から押し屋のことを聞かれたが、あの人は無関係だと、とぼけようとしたが無駄だった。逆にあれほど注意を払っていたのに睡眠薬を盛られて捕まってしまう。また、寺原長男の生存説は嘘で鈴木をおびき寄せるためだった。

寺原所有のビルで本格的な拷問が始まろうとしていたが、直前の所で蝉に助けられた。彼の目的は押し屋で連れて行けと引っ張られる。家族がいるから見逃してあげないかと提案するも、家族全員皆殺しは得意分野だと張り切っていた。絶望する中で彼の車に乗り込んだが、一瞬のうちに蝉は後部座席に隠れていた鯨に引き摺られて森の中へ消えていった。

状況が把握できていなかったが、逃げるなら今のうちだともがくが焦って失敗する。そんな時、大変そうだなと助手席を開けて現れたのは槿だった。槿により救出された鈴木は、彼の家に向かい、そこで全てが明かされた。初めから家庭教師を演じている鈴木を見破っていたこと。槿、すみれ、健太郎、孝次郎は本当の家族ではなく、劇団の人間であること。さらに捕まっていた若いカップルもスズメバチと呼ばれる殺し屋であり、寺原も始末されたこと。その後比与子も電車に轢かれて死亡していたことが判明する。

結婚指輪を失くしていることに気がついた鈴木は、寺原ビルに舞い戻った。そこで蝉を始末した鯨と対峙してしまう。彼の能力により自殺したい衝動に駆られますが、直前で亡き妻の声が聞こえ、思いとどまった。その直後に鯨は車に轢かれて死んでしまう。

 

数か月、悶々として暗い気持ちで生活を続けていたが、踏ん切りをつける日がやってきた。裏の世界から足を洗い、亡き妻との思い出の地である広島を訪れて、塾講師として再出発を誓った。

 

▼鯨編

自殺専門の殺し屋・鯨は、議員の梶と言う男に依頼された秘書を自殺させる仕事中だった。鯨を前にすると絶望的な気持ちにさせられて、彼の言うままに自殺してしまう。依頼遂行後、寺原長男が押し屋に殺害された現場を目撃する。

梶から連絡が入り、別の秘書も殺して欲しいと再度依頼してきた。さすがに二日連続の依頼に嘘だと勘付いていたが、直接会って説明したいというので鯨は絶対にお前が来いと釘をさしてホテルで会うことで了承した。梶は内心鯨を恐れおり、殺し屋斡旋業者の岩西に鯨殺害を依頼していたのだ。しかし、岩西が斡旋した蝉が約束の時間に遅れたために梶の計画は崩れてしまう。逆に鯨の能力で反撃に遭い、自殺してしまう。

鯨は、梶が連絡を取っていた岩西の元を訪ねた。そこで蝉のことを聞き出して、いつものように自殺させた。蝉が押し屋を追っているという情報を手に入れた鯨もまた追うことになる。

この頃鯨は、自殺に追い込んだ人たちが亡霊となって現れるので悩まされていた。過去に自分の甘さから仕事を押し屋に横取りされて悔しい思いをしていた。過去を清算するために押し屋との対決の道を選ぶことにした。

蝉によって救助された鈴木。二人が乗り込んだ車に隠れていた鯨は蝉を襲い、森の中へと引き摺りだした。二人は戦闘になるが、鯨の勝利。車に戻るが、鈴木の姿はなかった。その後、結婚指輪を探しに来た鈴木を自殺させようと試みますが、直前の所で逃れられて、逆に鯨は車に轢かれて死んでしまう。

 

▼蝉編

ナイフを扱う殺し屋・蝉は、水戸での殺しを終えて雇い主の岩西に報告していた。すぐに次の仕事が回され、議員の梶と言う男から自殺専門の殺し屋・鯨を殺すよう依頼が入ったから行ってこいと命令される。だが約束の時間に遅れ、ホテルに辿りついた蝉を待っていたのは首を吊って死んでいた梶の姿だった。

情報屋から寺原長男のことや業界のこと。さらに、押し屋の居場所を突き止めたもの(鈴木)がいると知った。そこで蝉は鈴木をかっさらって手柄を横取りしようと目論んでいた。

蝉は鈴木が捕まっている寺原所有のビルに到着した。拷問担当の二人をすぐさま始末して、比与子も殴り倒した。救出した鈴木を車に連れ込んで押し屋の所へ案内させようとするが、後部座席に隠れていた鯨に森の中へ引き摺りこまれてしまう。

二人は戦闘になるが、蝉は敗北し、殺された。

 

感想/まとめ

面白かった。非日常の世界を思う存分味わえました。

たびたび回想で描かれる奥さんとのエピソードがまたいいですね。復讐というダークな気持ちを忘れさせてくれた。最後の指輪を発見するシーンが最高。それがまた鈴木を助ける流れでちょっとウルッときてしまった。

 

殺し屋、鯨や蝉。この物語どこかで読んだ気がしていましたが、週刊少年サンデーで連載していた「魔王」だと判明。その原作者は伊坂幸太郎さんでした。はぁ~スッキリした。2007年連載というと、、、13年前ですか。面白い作品は決して忘れないものですね。久しぶりにマンガも読みたくなってきました。

 

続編?シリーズ?つながりがある作品もあるらしいので、そちらも読んでみたい!