~読んできた本の足跡~

~のんびりまったり日々読書~アニメや雑談も~

仁科裕貴さんの「罪色の環 リジャッジメント」を読んでみた 感想

今回紹介するのは仁科裕貴さんの「罪色の環 リジャッジメントです。リゾートに集められた男女六名。無罪判決を下された裁判の再審。死刑か無罪か、究極の二択は彼らの手に委ねられた。高額な報酬と裏に隠されたある真実とは何か?

 罪色の環 リジャッジメント

都内在住の大学生である音羽奏一。一見どこにでもいそうな普通の青年の彼が、お茶の間を震撼させた連続殺人犯だとは思うまい。自首という形で終えた一連の事件の裁判が法廷でまさに今、始まろうとしている。傍聴席から初瀬若菜もその姿を捉えていた。被害者の妹の立場として参加している彼女は何を思っているのか。

裁判長に呼ばれて被告人として証言台へと歩いていく音羽。氏名、生年月日、住所、職業をたずね、順に答えていく。

検察官が起訴状を読み上げ、裁判長が起訴状の中に記載された公訴事実は間違いないかたずねたところ意外な返事が返ってきた。

「いいえ、殺していません」

聴衆からどよめき、裁判所内は動揺の波が押し寄せた。各負担が生じないよう事前に把握されていた流れ、それが破綻したのだ。

彼の言い分はこうだ。偶然にも殺害現場を目撃してしまった音羽は、真犯人に脅されて身代わりとして自首したのだ。警察の捜査を乱して儀式のための12人の命を刈る為の時間稼ぎとしての役割。

予期せぬ発言に中断を余議なくされ、異様な雰囲気に包まれた裁判所。

若菜は被害者立場を忘れ、音羽の存在に惹かれていた。好意ではない別の何かに取りつかれたように、彼のことを知りたいと思った。

 

あれから2年、無罪判決が出た。

無罪が証明されたからと言って元通りの日常になることは永遠にない。大学は休学手続きを取り、家族の元を離れて一人暮らしをしていた。今は、拘留中に何かとお世話になっていた教授からの推薦を受けて自殺防止相談員として働いている。未だに首絞めピエロ(そう呼ばれていた)は捕まっていない。二年前、自由になったらかけておいでと教えられた携帯番号にかけてもつながることはなかった。

今日は仕事帰り顔なじみのルポライター宮古里莉と飲んでべろんべろんに酔っ払って帰宅。電話が鳴り出てみると、先ほど仕事先の相談口で会話した相手からの電話に驚く。なぜ電話番号をしっているのんだ?背後からガチャリとドアが開く音とスピーカ越しではない肉声。何者かが侵入してくる気配。逃げようと咄嗟に対処しようとしたが思うように体が動かない。そのまま意識が遠のいて次に目が覚めた先はリゾート地であった。

 

音羽を含む六名の男女。モニターに現れたのは、どこかで見たことがあるような司会者とアナウンサー。彼等の説明を素直に受け取るなら裁判員に選出されたようだ。担当するのは特殊性の高い事件19年前の強盗殺人事件。冤罪の可能性があるこの事件の判決を死刑か無罪かで決めなければいけない。高額な日当や宣誓が求められて戸惑うメンバー。手元に用意された金に押され、最終的には挑むことになった。

だが、待ち受けていた運命をこの時はまだ知らなかった。

ゲーム感覚で臨んだ裁判で明かされるある真実を。

 

感想/まとめ

面白かった。社会性が強い裁判小説。冤罪、裁判員制度、被害者、加害者、そういった問いを投げかけるメッセージ色が強いのでどう捉えるかで評価が違ってくると思う。僕もどちらかというと苦手なジャンルですが、読み終えることができました。推理バトルが好むので助かりました。元警察官の方のようで、知識も豊富に組み込まれており勉強になる点も多い。

縊死ー一般的な自殺の首つり。

絞死ーひもやロープで水面方向に首を絞める。

扼死ー手を使って首を絞める。

の違い。ミステリー好きなら覚えておいて損はないことでしょう。

 

ナルコレプシーと言う単語に反応。リトルバスターズ懐かしい。

 

あの人の正体が実は、、、のラストもいい。見破る音羽君もたいしたものだ。頭がいいというより口が回るタイプ。さすがディベートチャンピョン。初瀬さんのことはどう対処するのかは想像を膨らませて終わりにしたいと思います。