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倉知淳さんの「皇帝と拳銃と」を読んでみた 感想

今回紹介するのは倉知淳さんの「皇帝と拳銃と」です。死神のような風貌とイケメン刑事コンビが活躍する叙述ミステリー短編集になります。全四編を収録。

 皇帝と拳銃と

探偵役となる警視庁捜査一課の乙姫警部。初対面の際に誰もが死神だとイメージする風貌でこれほど名前と外見のギャップがある人はそうはいないだろう。長身でやせすぎの体型、黒いスーツに黒いネクタイ、全身から黒々した陰鬱な雰囲気を醸し出している。相棒のイケメン鈴木刑事とのアンバランスさも面白さを倍増させている。

 

▼運命の銀輪

小説家の伊庭照彰は、コンビを組んでいる相方・和喜多文彦を鈍器で殴り殺した。ジョギング中の和喜多を待ち伏せして一撃。逃走用には小回りの利く自転車を使用。ホームレスに絡まれるハプニングがあったが、無事マンションへ帰ることができた。階段では幸いなことに住人の誰とも行き合うことはなかった。さらに偶然にも帰宅後すぐに宅配便が届いてアリバイも主張できることに。外では天気予報の通りに雨まで降ってきた。これで、痕跡が洗い流されるだろう。伊庭は、勝利を確信したのだが、、、

 

▼皇帝と拳銃と

皇帝と呼ばれる稲見就任教授は、脅迫してきた事務員の男性を殺害した。執務室に呼びだした皇帝はまず拳銃で一発発砲して脅した。執務室は、防音完備で外部に音が漏れることはない。その後はコピー回収の為に事務室へ行くぞと促して部屋を出た。防犯カメラに映ることを危惧して、屋上を経由して隣の棟へ渡るぞと旨い具合に誘い出した。そして、l改装工事中で手すりが外されている状態の屋上である方法を使って転落死させたのだ。

 

▼恋人たちの灯

演出家の間宮想悟は、恋人を侮辱した叔父を怒りにまかせて殺してしまった。恋人である西条美凪に事情を説明してアリバイ工作の協力を頼んだ。現場から証拠品も持ち帰り、これで大丈夫だと安心しきった間宮だったが、、、

事件のカギとなるのは、叔父の消臭スプレーを異常なほどまき散らす癖である。その点に注目した乙姫警部は着々と追い詰めていくのだった。

 

▼吊られた男と語らぬ女

相内伽也の目の前に、男性の首吊り死体がぶら下がっていた。こうするしかないとある想いから偽装工作を開始した。

遺体が発見されて捜査の結果、首吊りに使われた凶器のロープと、発見時に遺体に吊られていたロープが別物であり、何者かによって取り替えられたことが判明した。本件は、単なる自殺ではない。現場には被害者以外の第三者がいたことになる。

乙姫警部の男性の恋人であった伽也をマークするが、彼女の行動や反応に不自然さを見抜き、驚きの真実を語り出した。

 

感想/まとめ

面白かった。基本的に叙述ミステリーだから死神のような風貌を持つ警部さんが徐々に犯人を追いつめる展開になります。事件の方より、彼の容姿に興味をそそろられた。初対面の相手に死神をイメージさせるなんて、どんなお方なんだろう。イメージとは裏腹に意外とやさしかったりして、など想像してしまいます。