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恩田陸さんの「訪問者」を読んでみた 感想

今回紹介するのは恩田陸さんの「訪問者」です。訪問者とは一体誰だ!

 訪問者

第一幕 せいめいのれきし

雑誌記者の井上とカメラマンの長田は山中にひっそりとたたずむ古い洋館を訪れていた。そして目的は映画監督である峠昌彦の取材だった。世界でも注目され始めていた矢先の事故で、まだ三十九歳という若さでこの世を去った。最新作になるはずだった脚本『象を撫でる』を基本にして記事を書いていくつもりでいた。

ここは、三年前に近くの湖で不審死を遂げた実業家である朝霧千沙子が建てた洋館で、昌彦は千沙子に育てられていた。そして本日は彼の幼少期を知る朝霧家の皆さんに集まってもらっていた。長男の千蔵、次男の千次、三男の千衛、末っ子の千恵子、その夫の協一郎、お手伝いさんの更科裕子、ちょっと訳ありな少女、羽澤愛華と役者はそろった。

それでは伺いますとインタビューが始まった。

昌彦は朝霧家と血のつながりはなく、千沙子が連れてきた。母親の峠晶子は、千沙子の高校の後輩でよく可愛がってあげていた仲であった。晶子は何かトラブルを抱えており、昌彦を育てることが困難で千沙子を頼ってきたのだ。結局、晶子は昌彦を置いて男と逃げてしまい、その先でもトラブルが原因で無残な最期を迎えることになる。

その後もインタビューが続いて、彼の幼少期と彼の撮った映画『像を撫でる』とは大きな関係がわかった。だが勘の鋭い千次の指摘により、職業を偽っていたことがバレてしまった井上は、少し早いが正体を明かすことにした。昌彦とは高校と大学が一緒で親しくしていたこと。弁護士をしており、彼の遺言を預かっていること。そして、昌彦の父親がこの中にいること。

謝罪の意味も込めて丁寧に長々と説明して理解を求めたが、君は訪問者かね?と思いもよらない反撃を受けた。ワープロで『もうすぐ訪問者がやって来る。訪問者には気を付けろ』と差出人不明で届けられた文面。ここを訪問する人を警戒していたと言うので私ではありませんと全力で否定。

仕掛けるつもりが仕掛けられていた?戸惑いを隠せない井上にさらなる展開が待ち受けていた。そう新たな来客がやってきたのだった。

 

第二幕 ももいろのきりん

来客者は愛華の母親である澄子だった。職場に愛華がひどい熱を出したから早くここに来るよう呼ばれたという。誰もそんな電話していないと朝霧家の面々は首をかしげた。昌彦の幼なじみである彼女は表情がポンポンと変わって掴めない不思議な女性であった。

食堂に移動して井上が遺言状を読み上げても父親だとは誰も名乗りでることはなかった。

停滞した空気を切り裂くごとく雷鳴と共に近くに雷が落ちた。すると突然立ち上がり愛華が千沙子を目撃したと窓の外を指さした。大人な達は慌てて外に飛び出して周囲を確認してみると、そこに見知らぬ男が倒れて死んでいた。

 

第三幕 ちいさいおうち

チャイムが鳴り、玄関を確認しに行くと木彫りの象が置いてあった。それは昌彦の私物でお葬式の時に彼と一緒にお棺に入っていたと澄子は証言した。さらに、倒れて死んでいた男は澄子の夫だったことも判明した。二人はタクシーでここまできて、到着前に別行動した。朝霧家から金目の物を盗もうとしいた夫は、二階から侵入しようとして足を滑らして死んでしまった不慮の死として処理された。暴力で支配しようとしていた夫で愛華がここにいるのも避難のためだった。

さて、昌彦の話に戻るが、そうするとどうしても千沙子の不審死について話す必要がある。彼らはそう納得するようにしておもむろに話し始めた。

 

第四幕 かわいそうなぞう

新たな来客者が現れて、青年は小野寺と名乗った。劇団員をしていて、劇団主宰者を通じて、あるアルバイトを紹介されたという。それは、ある女性の役を演じること。そう昨夜見た、千沙子は彼が変装していたのだ。誰がそんな仕事を頼んだのかも、目的も不明で奇妙なアルバイトだったが魅力的は報酬と演じたいという気持ちが上回り引き受けた。

さて本題に入るが、言われたとおりに役割を果たして帰ろうとしたが、崖崩れが起きてしまい道が塞がってしまった。食べるものもないし、携帯電話も圏外、仕方がなく事情を話して朝霧家を頼ることにした次第である。

流れで彼もまた昌彦問題に加わり、ズカズカと遠慮なく深く絡んでくる。以外にも探偵の素質があるのか、頷いてしまう推測も多かった。

そして、訪問者は僕のことだったんだと宣言したのだった。

 

第五幕 ふるやのもり

小野寺は、事件にしようと、事件を作ろうとしているように見える。実際どれも事故として解決できるのに。千沙子の事件も、先代が残した財宝も根拠もないのにいかにもっていう感じで話をしていた。まるでそちらに注意を向けるように誘導しているかのように。

ここで起きた本当の意味での事件は澄子の夫の死だけ。それを隠すために全てが用意されたカモフラージュなのではと朝霧家に向かって発言をした。

 

終幕 おおきなかぶ

ここまで提示されてきた謎が明らかになる。

訪問者とはいったい?

 

感想/まとめ

面白かった。

次々と訪問者と謎がやってきて読者を落ち着かせることはない。

終幕はあれで一応解決したのかもしれませんが、老人たちの嘘かもしれない。肝心の部分は覆い隠された謎のままで終えたように感じたが、これこそが正解なのかな?

各章の「来客を告げるベルが鳴った」で始まります。、その先に見えない展開が待っているから、あれやこれや想像するのもまた楽しみの一つですね。また各幕が絵本のタイトルになっているそうですね。聞いたことがあるような本、ないような本がズラリ。気になった人は調べてみてはいかがでしょうか?