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西澤保彦さんの「夢の迷い路」を読んでみた 感想

今回紹介するのは西澤保彦さんの「夢の迷い路」です。日柳さんと柚木崎くん。またはエミールとユッキーコンビ。変わり同士の活躍をお送りするシリーズ第二弾です!

 夢の迷い路

まずはじめに、この短編集は時系列順に読んだ方がより楽しめるタイプの小説なので、前作『さよならは明日の約束』の復習も兼ねて、整理していきますね。

 

▼恋文            『さよならは明日の約束』

▼男は関係なさすぎる   『さよならは明日の約束』

▼ライフ・コズメティック   『夢の迷い路』

▼アリバイのワイン     『夢の迷い路』

▼埋没のシナリオ      『夢の迷い路』

▼パズルの韜晦      『さよならは明日の約束』

▼夢の迷い路        『夢の迷い路』

▼さよならは明日の約束 『さよならは明日の約束』

 

それでは今作へ行ってみよう!

▼ライフ・コズメティック

映画マニアの柚木崎が最近知り合った〈グレンとグレンダ〉(アクセサリーやビデオ類を扱っているお店)の経営者のヨーミンからダイイングメッセージの謎を出題された。一人では心もとないのでいつものようにエミールに助っ人を頼んだ。

昔の事件で新聞記事の切り抜きで全部で四枚あった。ヨーミンから事件の説明と補足を受けて、それに対してエミールが質問をする。たったこれだけのことで辿りついた真相とは。

それは誰にも打ち明けることができなかった過去の懺悔をちょっとしたことで知り合った高校生二人のおかげで和らぐことが出来たのかもしれない。

 

▼アリバイのワイン

茶店〈ブック・ステアリング〉を開業する以前は書店に勤めていたマスターの梶本。いつものようにお客さんとしていた柚木崎とエミールに昨夜面白いことがあったんだよと悪戯っぽい笑みを浮かべて話しかけてきた。特に親しくもしていなかった同級生から電話が掛かってきて、こちらの都合も考えないで予約したいとの電話だった。断るつもりだったのだが結局根負けして、自慢の料理を振る舞った。梶本の料理で和気あいあい和やか雰囲気になって大円満かと思いきや、何やら同級生の思惑が外れたらしくひとり、むっとしていたらしい。

ここでお話しは終わらない。彼らが帰って後に思いもよらぬ人物がやってきたのだ。その人物とは遠い昔に起きた殺人事件で、容疑者のアリバイ証言をしたことで知り合った当時捜査を担当していた刑事さんだったのだ。

男女三人が殺害された事件。いったい何があったのか。

 

▼埋没のシナリオ

柚木崎のご家族が登場!長女の奈緒、次女の理友、叔父の譲を引き連れて喫茶店〈ブック・ステアリング〉にお邪魔した。マスターの梶本の料理は好評で柚木崎も鼻が高い。お酒も進んで、いつの間にか話題は譲の思い出話へ。それは大学時代に体験したある事件についてのことだった。いつものようにお店に来ていたエミールも議論する輪に加わった。ちょっと後味が悪く、苦い思い出の真相とは?

 

▼夢の迷い路

お目当ての本がエミールの祖母の書庫にあるというのでお邪魔した柚木崎。借りることができたのはいいが、その本の所有者が不明だという。本がいつの間にか紛れ込むわけはないが不思議なこともあるもんだ。

さて、用件を済ませてさよならとはならずにお昼をご一緒になることになった。三人が向かったのはハンバーガー屋さん。そこはエミールの祖母と祖父にとってある意味思い出の場所だった。そして、明かされた柚木崎との縁。

縛ったまま眠った記憶を紐解くと見えてきたシーン。

一冊の本が再び巡り合わせてくれたすばらしいエピソードでしたね。

 

感想/まとめ

面白かった。特に『夢の迷い路』から 『さよならは明日の約束』と流れ届いた物語は最高ですね。エミールの書庫に戻した理由に二コリ。まぁこの二人なら疎遠になるほど離れないと思いますし、切り札のまま終える可能性の方が高いでしょうけどね。

 

ちょっとしたことで記憶の風景が変わることもある。それが良いか悪いかは別としてね。

 

続きが読みたいです(切望)