蘇部健一さんの「六とん2」を読んでみた 感想
今回紹介するのは蘇部健一さんの「六とん2」です。あの「六枚のとんかつ」の続編がパワーアップして帰ってきた。下品でくだらないお話しを期待したい。
六とん2
名探偵古藤が私の前から姿を消して5年の歳月がたつ。推理作家であった彼の作品が売れなかったため、ショックのあまり蒸発してしまったのだ。彼の明晰な頭脳によって事件解決へのアドバイスを受けていた私はそれ以降、保険金詐欺事件の証拠を次々と見逃し会社に莫大な損害を与えてしまった。その結果、長年務めていた保険会社を辞めることになったのだ。
これは保険調査員として最後の一年に関わった事件のうち、印象に残った3つの事件のことを記録したものである。
▼最後の事件
熱狂的な横浜Fマリノスのサポーターが殺された。一億円の生命保険がかけられており、受取人は妻。私は妻が犯人ではないかと疑い、捜査を行った。
スタジアムでの犯行。ピッチのほうを指をさして事切れたダイイング・メッセージの意味とは。
▼三色パンの秘密
古藤が失踪する前に解決してくれた、最後の事件。
3億円の保険金殺人事件。院長が殺され、受取人は3人の息子。息子たちから貰ったカプセルに毒が混入しているのは判明。一つおかしな点がありカプセルの比率からして毒の量が多かった。一体誰が犯人なのか。
▼甘い罠
私が独力で解決できた唯一の事件である。
友人の誕生日を祝うためにマンションを訪れた。そこに友人の奥さんが何者かに襲われ死んだいるのが見つかったと電話が入る。警察署へ行くための準備のため席を外した友人。不謹慎にもテーブルの上の寿司桶に残された大好物イクラに気持ちが傾き、食べてしまった。
すると、、、「おまえが奥さんを殺したのか?」
▼午前一時のシンデレラ
二股をかけられた女性がもう片方を殺害。
訪ねてきた訪問者に慌てて咄嗟にベランダに出て隣のマンションへ飛び移った。しかし片方のハイヒールが脱げて落下してしまう。その靴が意外にも、、、
▼行列のできるパン屋さん
経営不振により妻を失った夫が、死に追いやった借金取りの男を殺害した。商売道具であるパンを使ったアリバイトリックは成功したかに思えたが、、、最後の絵は反則ですよ。
▼姿なき目撃者
妻の浮気相手を殺してしまった。その日から「見たぞ」という幻聴が聞こえるようになり苛立ちが募る。たったひとつの解決策とは、いったい。
▼読めない局面
囲碁のプロ試験合格のため今日の対局、負けてくれと親友に八百長を申し込んだ。断られて我を忘れて殺してしまった。棋士ならではの勘違いとは。
▼誓いのホームラン
手術受けるから試合でホームラン打ってと約束をしてしまった。
ホームランを打つために彼は犠牲を払った。とても後味の悪い犠牲を、、、
▼地球最後の日?
宇宙人が山に降りてきた、、、
どういうこと?
▼叶わぬ想い
殺された娘を救うために過去へ行った主人公。
最後の絵、204号室の名前が、、、
▼きみがくれたメロディ
時空を超えた文通。感動作である。
感想/まとめ
六枚のとんかつを読んでしまったからには物足りないです。攻めたのに守りに入ってしまった戦術みたいな感じ。
前作はいい意味でぶっ飛んでいましたからね。
トータルで見ると中等半端な短編集でしたね。読みたいのはもっと下品でくだらないお話しなんだ~と叫びたい。それでも楽しめましたけどとフォローも忘れない。
あとがきが面白いですね。ヒカルの碁、僕もすぐ頭に浮かびましたよ。
叶わぬ想いのラストは衝撃でした。名前が一緒ということは、、、う~ん、あまり考えないでおこう。