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辻堂ゆめさんの「今、死ぬ夢を見ましたか」を読んでみた 感想

今回紹介するのは辻堂ゆめさんの「今、死ぬ夢を見ましたか」です。電車の中で親友と共に死ぬ夢を見た。同じ境遇の女子高生から電車で見た夢は現実世界で自分の身に起こると言う彼女の言葉通りになり困惑する。夢と現実が交差して辿りつく真相とは?

 今、死ぬ夢を見ましたか

井瀬が乗っていた車両が人身事故により緊急停止して停まった。その日は花火大会の日で駅のホームは混雑していた。お客様がホームから転落したと車内アナウンスが流れ、しばらく時間が掛かりそうな雰囲気が漂ったので目を閉じ眠りの世界へ落ちて行った。

 

その夢は今からちょうど半年後だった。

職場の同僚である五味渕と一緒に、駅のホームで何者かと争い転落して電車に引かれる夢。ふと目が覚めた井瀬の額には冷や汗が伝っていた。具体的で臨場感があり、夢のようで夢ではないような体験だった。

すると、私も最近よく見るんですと女子高生に声をかけられた。ホームから転落して電車と衝突して死んでしまう夢を。ばかげた話につい強い口調が出てしまった。普通の夢ではないことは重々承知しているし、その不気味さが体を支配していた。そんな不安をよそに、どんなに頑張っても変えられない。私たちは夢で見たように死んでしまうんですよと言い残し、女子高生は電車を降りて行った。

 

次に会った電車で女子高生は片岡紗世と名乗った。彼女は長い間夢を見続けていた。過去の夢、未来の夢。すべて現実になることを見をもって知っていた。そして、死後の夢。自分が死んだあとの夢を体験する不思議な現象。その話を聞いた数週間後に井瀬も死後の夢を見るようになっていた。

 

父を殺してしまった罪を償い、やっと社会に出てきた井瀬。高校の友人であった五味渕に誘われて始めた営業の仕事にも慣れてきたのに、夢によって余命半年を告げられた。紗世は夢でみた事実が耐えられなくて無理に曲げようとして、死ぬまでの未来が変わってしまったと話す。憧れの先輩と付き合って結婚する未来は閉ざされてしまったのだ。夢で見た時期に死ぬことを受け入れて、残りの日々を生きていく。それこそが正解なのですと悲痛な面持ちで訴えていた。

 

迷いが生じ始めていた井瀬の前に小学生時代の友人である粕谷拓実が現れたことで物語は加速する。何度も手を差し伸べてくれていた親友と語る粕谷と学生時代の素行の悪さを払しょくしてまっとうに働いている五味渕。どちらの言い分を信じることが正解なのか?

そして、奔走する中で掴んだ父の死の秘密。

あいつと決着をつける時が来た。

もう時間がない。夢の死期が迫っていた。

 

感想/まとめ

面白かった。あまりいい気分がしない内容でしたけどね。

紗世ちゃんが憧れていた先輩ってその人だったのか!

切ないけど美しさも伴う。なんとも夢のようなお話しでしたね。