東野圭吾さんの「ゲームの名は誘拐」を読んでみた ネタバレあり/感想
今回紹介するのは東野圭吾さんの「ゲームの名は誘拐」です。ひょんなことから出会い両者の思惑が一致して狂言誘拐をすることになった。プライドをかけた勝負の行方も気になるが、ラストには意外な結末が待っていた!
ゲームの名は誘拐
広告プランナーの佐久間が手掛けた新車発表会のモーターショーのプランが、新しく副社長に就任した葛城勝俊によって潰されてしまった。葛城はプランを白紙に戻してもう一度チャンスを与えるといい、条件として佐久間をリーダーから外すよう要求してきた。先の先を読める人間に任せたいというのが彼の方針だった。
納得がいかず、プライドをズタズタにされた佐久間は直談判しようと葛城邸に向かった。そこで、彼の娘である樹里と出会った。彼女は愛人との間に生まれた子供で葛城邸には居場所がなかった。とうとう今の生活に耐え切れずに家出しようとしていたところを佐久間に見つかってしまったのだ。その日は、ある程度の金を渡して別れた。
次の日打ち合わせに呼ばれた佐久間は葛城勝俊と対面を果たす。彼は突然の計画変更を迷惑かけたと詫びていたが、運まかせのギャンブルはやらない。我々は商売という名のゲームをしている。だがゲームだからといって舐めてはいけない。常に勝つことが求められると持論を展開した。
佐久間にとっても仕事はゲームのうちだ。彼につぶされたプランも必ず勝利できると今なお信じている。ならばその土俵で戦ってやろうとある考えが浮かんだ。娘である樹里を人質として巻き込んで狂言誘拐で勝負を仕掛けることだった。樹里はこちら側として計画に賛成してくれた。準備と計画を緻密に練り、完璧な誘拐ゲームが始まった。
インターネットの掲示板を駆使して見事、葛城から三億円を奪うことに成功した。後は樹里を葛城のもとへ帰してゲームクリアのはずだった。だが、お金を払ったのになぜ連絡してこないと掲示板に書き込みがあった。何がなんだかわからないまま時間だけが経過した。その後、葛城勝俊の長女樹里が行方不明とニュースが飛び込んできた。さらにテレビに映っていた葛城樹里の顔は佐久間が知っていた樹里ではなく別人であった。
その正体を探ると次女千春であることが判明した。その後の捜査で本物の樹里は死体となって発見された。複雑な人間模様と血のつながり、、、佐久間の頭に一つの仮説が浮かび上がった。
答え合わせの時間はすぐやってきた。樹里、、、いや千春が佐久間の前に現れたからだ。始まりは千春が樹里を殺してしまったことだ。両親が何とかしてくれると期待して家を飛び出したところで佐久間と出会ってしまった。そして佐久間から提案された誘拐ゲームのことを葛城勝俊に話して逆に利用しようと考えたのだ。すべては樹里の死を隠蔽するため。すべてを知っている佐久間は消される運命にある。ワインに薬を盛られて意識が遠のくなか、葛城勝俊にとって窮地に陥るジョーカーの存在を示唆してダウンした。
佐久間の切り札、、、それは樹里と名乗っていた頃の千春が、佐久間のために作った料理を運んでいた写真だった。
感想/まとめ
面白かった。誘拐小説のなかでも一筋縄ではいかないこういったタイプは好きである。
佐久間の切り札の意味が分からなかったのですが、ネット上のネタバレなどを見てスッキリした。佐久間を樹里殺しの犯人に仕立てようと数々の偽装をしていた。何かあったときのために保険として残していたあの写真が世に出回れば二人の関係性を疑い、真実が明らかになる日がくるかもしれないと。
はたして勝負にかったのはどっちなのか?