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石持浅海さんの「扉は閉ざされたまま」を読んでみた 感想

今回紹介するのは石持浅海さんの「扉は閉ざされたまま」です。碓氷優佳シリーズ第一弾。最初から犯人が分かっている状態で進む倒叙ミステリー。優佳対犯人の息詰まる攻防戦をご覧あれ。

 扉は閉ざされたまま

大学の同窓会が開かれた。

集まったメンバーは大学時代軽音楽部に所属しており、お酒を通じて親密になった6名プラス1名。さらに臓器提供意思表示という結びつきもある。

この機会に、伏見亮輔は密室で事故を装い後輩の新山を殺害。いくつもの可能性をつぶし、外部から侵入する経路を塞いだ。

部屋から出てこない新山の安否を気遣う友人たち。その場の空間、領域を巧に操りある目的のため時間を稼いでいく。

扉が開かれないまま時間だけが過ぎ、犯行は計画通り成功したかに見えたが、碓氷優佳だけは疑惑の目を向けていた。

完璧かと思われた犯行。だが優佳の指摘により徐々に綻びを見せ追い詰めていく伏見。

息詰まる究極の頭脳戦が始まった。

 

 

伏見亮輔:今回の事件の犯人。医療関係のベンチャー企業で働く。

安藤章吾:伏見の同級生。同窓会会場としてペンションを提供。

上田五月:伏見の先輩。研究員。

新山和宏:伏見の後輩。公務員。犠牲者。

大倉礼子:伏見の後輩。現在は結婚して専業主婦。酒肴すきである。

石丸孝平:伏見の二学年後輩。研究室の助手。

碓氷優佳:姉(礼子)の紹介で親しくなる。大学院生で火山の研究をしている。状況を     俯瞰し、先を読むことに長けている。

 

やはり伏見亮輔と碓氷優佳の二人に注目してほしいですね。

学生時代本気で好きになりかけていた頃、優佳から告白に舞い上がり後輩たちと結んだ紳士協定を忘れてしまうほど浮かれていた。

二人の顔が近づく。唇を待つ優佳の表情を前に気がついた。それは作為的な表情。理性を失い欲望にまみれた表情の伏見と、この場にふさわしい表情を選択している優佳。同類だと思っていた伏見にはショックな光景だった。

恋愛という油断しやすい局面で隙を見せる、見せないの差を見せつけられた。

逃げるように避けるように別れ、お互い年を重ねての再会。

 

賢くて冷静で熱い面も持ち合わせている伏見。探偵役としても遜色ない彼の上をゆく賢くて冷静で冷たいと分析する優佳。

そんな二人が扉が閉ざされたままの密室を前にして攻防する頭脳戦は手に汗握るミステリーとなり楽しむことができる。

 

緊迫したラストシーン。夜這い来ました、押し倒してくださいと普通ならニヤニヤ出来る場面だが、、、

後に分かるが会話の中にもひとつ注意を喚起していた。

ここまで読んでいた優佳に伏見は笑うしかなかった。

 

感想/まとめ

序章でいきなり犯行、犯人が判明。これが倒叙ミステリーかと感心した。

 

美しい女性に好かれてうらやましいなとさすがイケメンは違うなと単純に思っていたが

読み終えて一言、怖い。弱みを握られて恋人になった先に幸せは待ってくれているのか。計算されない自然な屈託のない笑顔を見せてくれる日が来るのか。

感想を書いていたら一回りしてお似合いのカップルだと思えてきた。

シリーズ物だから二人が恋人となったシーンが登場するのか楽しみが一つ増えましたね。官能的なシーンもあったりして、、、ちょっと期待したい。

 

犯人役として追い詰められる心境を味わうのもたまにはいいですね。

 

乾いた飯粒、最強なディフェンスでした。