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倉知淳さんの「ドッペルゲンガーの銃」を読んでみた 感想

今回紹介するのは倉知淳さんの「ドッペルゲンガーの銃」です。

ドッペルゲンガーの銃

女子高生とミステリ作家の現役二刀流・水折灯里はネタ不足で苦しんでいた。ミステリ作家として将来生計を立てていくつもりでいるのだが、現実は厳しい。どこかにアイデアは転がっていないかと逃避に走るが、突如閃いた。うってつけの存在である警視庁捜査一課の刑事・大介(兄)を頼って、捜査中の現実の事件からアイデアを頂戴しようという魂胆であった。立場的の守秘義務違反も何のこと、言葉巧みに事件を聞き出し、兄妹共々現場まで直行する。

 

密室空間に忽然と出現した他殺死体について(文豪の蔵)

二つの地点で同時に事件を起こす分身した殺人者について(ドッペルゲンガーの銃)

痕跡を一切残さずに空中飛翔した犯人について(翼の生えた殺意)

 

この三つの謎を解き明かすのは、エリート刑事の兄か、女子高生作家の妹か、それとも、、、

 

▼文豪の蔵

歴史的な蔵書が保管されていた蔵から発見された他殺死体。蔵の扉は施錠されており、鍵は所有者の徳山氏が肌身離さず首からぶら下げていた。犯行時刻にも首から下げていたと目撃証言もある。その鍵を使わなければ蔵は開かないし、鍵を複製する機会もなかった。鑑識の捜査でも蔵が殺害現場で間違いないと断言されている。

ならば被害者も犯人もどうやって蔵の中に入ったのだろうか。これでは本当に死体が忽然と出現したとしか考えられない。

まさしく鍵のアリバイを崩すことがこの事件を紐解く鍵なのである。

 

ドッペルゲンガーの銃

東京の両端で、ほぼ同時刻に事件が発生した。一つはコンビニ強盗で、もう一つは射殺事件。直線距離でも数時間はかかるほど遠く離れた現場なのに、その犯人が同一人物としか考えられないという。犯人が分裂したとかドッペルゲンガーが出現したと表現するのも頷ける。

 

さて問題となっているのが線条痕である。銃から発射された弾丸につく傷痕のことを指し、コンビニ強盗が脅しのために打った弾丸と、射殺事件の被害者の体内で発見された弾丸、その両方が同じ銃で撃ったものだと判明したのだ。

 

本当に訳が分からず、ありえないような事件。

不可能を可能にした犯人の正体とは。

 

▼翼の生えた殺意

資産家である兵頭氏が自宅の離れにある茶室で首を吊った状態で死んでいるのが発見された。その日は珍しく雪が積もり、周辺には茶室に向かって歩く一本きりの足跡しか残っていなかった。警察は自殺に寄りに傾いているし、状況からしてその可能性が高い。ただ一点だけ不審な点があり、被害者の手首に縛られた跡のようなものが気になった。

 

殺人だと仮定すると容疑者候補は、兵頭氏の息子三人である。

しかし、長男は車いす生活、次男は右手を骨折中、三男は極端に背が低く、単独での犯行は否定される。雪の足跡も問題となり、犯人は背中から翼でも生えているような人間なのか。

 

いかにして犯人は足跡を残さず、犯行に及んだのか。

 

感想/まとめ

面白かった。

ネタバレになりそうなので暈しますが、そういうパターンで犯人を突き止めるんですね。

らしさ満点の面白さは今回も健在です。

 

兄の事を容赦なくポンコツ呼ばわりする妹だが、愛情の裏返しだとポジティブに捉えてます。僕が兄妹ものが好きだと公言していますし、こういった絡みは大好きです。表紙と裏表紙の絵も可愛くて読後だと事件の特徴がよく表現されているのが伝わってくる。陽だまりのタンポポですか、、、気持ちよさそう。