井上真偽さんの「探偵が早すぎる(上)」を読んでみた 感想
今回紹介するのは井上真偽さんの「探偵が早すぎる」です。事件が起こる前にトリックを暴いて防いで犯人まで特定してしまう究極な探偵が登場する!最速の手際をご覧あれ
探偵が早すぎる(上)
▼簡単なあらすじ
父の死により莫大な遺産(五兆円)を相続した女子高生の一華。その遺産を狙って事故を装い殺害を企てている親族。唯一信頼できるのは使用人の橋田のみ。彼女からの助言で相手の攻撃を恐れて部屋に籠りビクビク生活するだけではだめだ。せっかく相手もヤル気満々なのだからこちらも積極的に策を講じるべきだ。相手の仕掛けを読み、罠を張り、証拠を掴み、最終的に裁判に持ち込めば今より安心できる生活を送ることができる。そのようなことを得意とする古い友人がいると紹介された探偵を雇い、巨大な敵(親族)を相手に戦いを挑む物語である。
▼家系図
第一子長男:亜謄蛇(65)
長男:亮司(35)
長女:紗霧(29)
第二子長女:朱鳥(59)
長女:麻百合(31)
長男:壬流古(28)
次男:牟太(26)
次女:芽瑠璃(20)
隠し子 :瑛(48)
長女:一華(17)
第三子次男:六強(46)
第四子次女:陣香(42)
第五子三男:竜精(40)
第六子四男:貴人(35)
第七子三女:天后(28)
第一話 ヘビースモーカー
麻百合が一華を事故に見せかけて殺害するためのアドバイスを求めたのは元カレの鏑木秀英だった。もうすぐ結婚する秀英には何のメリットもなく断ろうと電話を切ろうとしたが、一千万という声に思わず動きを止めてしまった。アドバイス料だけで一千万という破格な報酬。それだけあればいま直面している難局を乗り切れることができる。悩んだ末に麻百合が推理小説を書く、そのトリックのネタが浮かばず相談してきたという筋書きで話を進めることで同意することにした。
▼殺害方法
秀英はアレルギーを誘発させてことを思いついた。現在一華は足を骨折してギブスをしている。ギプスしている人間は蒸れなどのかゆみで悩みを抱えていることが予想される。そこでかゆみを抑えることができる薬があると彼女本人に自然に伝わるようにし、副作用を持つ薬とすり替えれば長期的になるがアレルギーが原因で死に至る。
▼結果
探偵に計画を未然に防がれて失敗。トリック返しで秀英はアレルギー症状を引き起こし倒れてしまった。これにより麻百合も遺産争いから脱落してしまった。
第二話 毒蜘蛛
六強は飲み屋で知り合ったフリーター若竹友成に一華殺害の計画を買うため接待の席を設けた。製薬会社の営業職をリストラされ自暴自棄になっていたところ手を差し伸べた。若竹の知識に価値を見出し、計画だけで百万、実行で五百万を提示した。その金額は今の彼には魅力的だった。娘と同じ年頃の一華を殺すことに多少の罪悪感は感じたが、何もかも社会が悪い、これは私なりの復讐だと思い込もうとした。
▼殺害方法
毒蜘蛛を使った殺害方法。血清が日本に無い蜘蛛を一華に咬ませる。バイト先の一つの居酒屋でマニアの店員から盗み出し、もう一つのバイト先のコンビニで一華がハマっているアニメくじの箱に仕込んでおけば完了だ。
▼結果
探偵に計画を未然に防がれ失敗。トリック返しで若竹は別の蜘蛛に咬まれて病院送り。六強も同じく病院送り、遺産争いから脱落した。
第三話 カボチャと魔女
児童養護施設から逃げ出した幼い兄妹、透と乃亜。偶然知り合った芽瑠璃は、ハロウィンイベントでおもちゃの短剣で一華を刺すといった悪戯を二人にお願いした。一華も友人を連れてイベントに参加して何故かボス役を演じることになった。透と乃亜もスタンプラリーで一華の元に辿りつこうと奮闘する。
▼殺害方法
おもちゃの短剣で一華を刺すつもりが実は本物だった、パターンではなく透と乃亜諸共処分する計画を練っていた。
▼結果
探偵に計画を未然に防がれ失敗。トリック返しで芽瑠璃は大けがを負い病院送り。遺産争いから脱落した。
第3.5話 決戦前夜
骨折はほぼ完治してリハビリ段階になっていた。車いす生活を脱して歩き回れるようになりつつある。そして近づく四十九日。法要の場所は相手の懐。逃げ場は一切なし。
芽瑠璃の件で裏で探偵が動いていることをようやく知った一華。これまでは甘い期待をしていたが覚悟が決まった。はっきりと相手のことを敵だと認識すると腹をくくる。
橋田からに連絡が入り、ようやく探偵と会えることになった。
一方親族側、麻百合と芽瑠璃の仇をとるために壬流古(長男)と牟太(次男)が動き出す。亜謄蛇が雇った殺しやも探偵に防がれ、娘の紗霧を呼んだ。そして、天后。下巻はこの四人を中心に一華は狙われる。
探偵の名は、千曲川光。性別は男、心は女、性的指向は同性愛。ついにお目見えした名探偵の姿に一華は困惑した。
紹介が済み、すぐさま橋田と何やら相談を開始した。家政婦としての彼女しか知らない一華。古い友人と謳う名探偵と対等以上に話している姿に素を感じ、橋田の正体に疑問を感じるようになる。
そして、下巻へと続く。
感想/まとめ
面白かった。これほどタイトル通りな小説もなかなかないでしょう。今まで読んだことがないタイプの小説で新鮮さが目立った。事件を未然に防ぐ、、、最強の探偵として具現化した感じですね。表紙もいいですよね。上下巻をくっつけるとひとつの絵となる、それも2パターン。
一華の友人たちも巻き込まれるのではないかとヒヤヒヤしてた。下巻も何事もなく終わることを願っていますよ。
西尾維新さんの忘却探偵の早さなら負けていませんのでおススメですよ。
似て非になるものですが。