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月原渉さんの「首無館の殺人」を読んでみた 感想

今回紹介するのは月原渉さんの「首無館の殺人」です。没落した貿易商、宇江神家。その館で異様な連続首切事件が始まる。明治の名家、記憶喪失のお嬢様、孤島、連続殺人、切断された首、使用人探偵等、引きつけられる舞台設計満載のミステリー。

 首無館の殺人

横濱の祠乃沢という地にある宇江神家。創始から明治まで貿易商として繁栄していたが、息子・和意の代になって没落した。跡取りにも恵まれず、子どもは一人娘の華煉のみ。息子のふがいなさを嘆いた前当主の宇江神和一郎は、後妻を迎え入れた。だが、子を成す前に死去。残された若妻は、主家夫人と呼ばれるようになる。

 

記憶を失った宇江神華煉が目覚める所から物語はスタートする。華煉の世話たのために新しく使用人・栗花落静(ツユリシズカ)(以後シズカ)が雇われた。

主家夫人の宇江神玲ヰ華。

当主の宇江神和意。

執事の九条。

使用人の守原。

従弟の伊勢五郎。

記憶ない家族に若干の違和感を感じながらも、体の快復を第一に考えて過ごしていた。

 

▼首無事件

夕食の席では全員が揃うまで待つのが習慣であったが、主家夫人の玲ヰ華が一向に姿を現さなかった。使用人が呼びに行ったが、鍵が掛かっており、返答がない。全員で彼女の部屋に向かい、ドアの前で呼び掛けるがやはり反応がない。これだけ反応がないのを見ると、ただごとではない。大きな斧を手にしたシズカが主人の返事を待たずに、扉に打ちつけていく。

室内に踏み込むと異臭が漂っていた。そして、寝台の上に首を切断された姿で横たわっている主家夫人がいた。部屋の中に見当たらなかった首が意外な形で現れた。

露台から見える中庭は濃霧が立ち込めており、視界が悪い。その合間に奇妙なものが浮いていた。主家夫人の首だった。空中を浮遊して漆黒の闇の中へと消えていった。中庭には幽閉塔と呼ばれる塔がある。先代の時代に誰かを閉じ込めていたり、夜になると琴の音が聞こえてくるなどの噂が今も残っていた。その塔へこっそり食事を運んでいることを知っていたシズカは和意を問い詰めると、我が家に縁のある人物を幽閉しているとしぶしぶ認めた。

 

顔のない使用人の死体が発見された。首無死体の膝には主家夫人の首が添えられていた。死体は守原であり、彼女の首は持ち去られていた。首のある、顔のない死体の出現。家人全員の無事が確認された。このことにより第三者の存在が明らかになる。

シズカが家人の前で再三唱えた可能性。それを否定する形で現れる死体。ただ、最後の死体を見た和意が不可解な動揺をしたことで何かを掴んだ様子を見せた。

 

切断された首なし死体。浮遊する首。入れ替わり。物事には全て意味がある!

使用人としてここまで導いてくれたシズカ。真実が待つ幽閉塔に踏み込んで、抱きついてきた女性。その瞬間にお嬢様はすべてを思い出したのだった。

 

感想/まとめ

面白かった。入れ替わりネタをそんな風に料理するなんてあっぱれです。

使用人のシズカさん最高ですね!世話人としても完璧で探偵スキルも申し分ない。一家に一人欲しいですね。ただ、仮説を立てるにしても荒唐無稽な発言と回りくどい話し方で彼女の意図が掴めずに、僕みたいな読者は簡潔に頼むと願い出たいところですけどね。

 

この小説シリーズ物だったんですね。いつか続きを読みたいですね。