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道尾秀介さんの「カエルの小指」を読んでみた 感想

今回紹介するのは道尾秀介さんの「カエルの小指」です。「カラスの親指」から10年後、当時のメンバーはそれぞれの道を歩んでいた。ところが謎の中学生との出会いを発端にふたたび大がかりなペテンを仕掛けることになる。あの衝撃のどんでん返しが甦る、待望の続編!

カエルの小指

詐欺師から足を洗い、まっとうに生きる決心をした武沢竹夫は実演販売士として第二の人生をスタートさせていた。そんな武沢の仕事っぷりを遠くから眺めている中学生がいた。たびたび仕事場で見かける以外、特に無害そうなのでほっといたのだが、その日は商品の実演中に介入しちょっかいを出してきた。思うような成果を上げられなかったその日の帰り際に、再び現れ、実演販売を教えてほしいと頼み込んできた。

ある事情でお金が必要となり、天才キッズを発掘する番組に実演販売のパフォーマンスで出場して賞金を稼ぎたいと話す。妙なことに巻き込まれるのはもう御免だと断るつもりで冷たくあしらうが、引く様子が見られない。それならばと、これから出題するなぞなぞを答えることができたなら教えてやると条件を出した。

 

五人家族の中で、ほかの全員と円滑な関係もつくれれば悪い関係もつくれてしまうのは誰だ?

 

そのなぞなぞに見事正解し、キョウと名乗った中学生に武沢流の実演販売のやり方を教えることになった。だがキョウが置かれた境遇は想像以上に厳しいものであった。理不尽と不公平さを背負わされたキョウのために、かつてのメンバーと共に大がかりなペテンを仕掛けようと動き始めた!

 

さて作中では10年が経過したわけですが、武沢と共同生活を送った当時のメンバーの現在はというと、まひろは31歳になり、ファーストフード本社勤務。貫太郎はマジックグッズ製造メーカーで働いており、37歳のやひろは専業主婦。二人の間にはテツという子供までいる。小学生ながら動画投稿でお金を稼いでいる現代っ子であり、ネット関連の技術も大人顔負け、いやそれ以上である。今作のペテンでは手先の器用さ、ピンチ時に機転を利かせるファインプレーで大活躍する。両親がある意味ポンコツであるため、祖父のテツさんの才能が受け継がれているのでしょう。ちなみにテツさんがまひろとやひろの父親だと言うことは武沢しか知らない秘密で未だに守られている。

 

依頼人であり、厄介事を持ち込んだ中学生のキョウから語られた一部始終。

母親がナガミネという詐欺師に金を騙されてしまう。もう用無しと姿を消して音信不通になったナガミネを必死に探しだして居場所を突き止めることに成功したのはいいが、口論の末に包丁で刺してしまった。そのことを全てキョウに打ち明けたあとに、飛び降り自殺を図る。その瞬間を通りすがりの一般人が撮影した映像がネット上にアップされて、今も視聴することが出来てしまう。刺殺してしまったと母親は思い込んでいたようだが、実はナガミネは重傷を負ったものの、生きていたのだ。身を隠したナガミネを探し出そうと、キョウは番組の賞金で探偵を雇うつもりでいた。

キョウから打ち明け話を聞かされていた武沢は15年前の出来事を思い出していた。橋から飛び降りようとしていた寺田未知子と遭遇し結果的に助けることになる。実は妊娠中であり、結婚するつもりでいた男に逃げられて、おなかの中の赤ちゃんと心中するつもりでいたことを当時おなかの中にいたキョウが目の前で明かした。この世に生まれてきたことであなたにも責任があると、言い包められて実演方法を伝授することになる。

 

ところが武沢が二人組の男に襲われ、雇った探偵にはナガミネは死亡したと嘘の報告をされ、アパートには盗聴器が仕掛けられるなどどこからか妨害が入る。とうとうブチ切れた武沢はナガミネ相手に大がかりなペテンを仕掛けるつもりでいた。相手はグループなのでこちらもグループ対抗する。それにはまひろ達の協力が必要不可欠。墓に眠るあの人の元を訪ね、もう一度だけペテンを仕掛けると誓った。

 

感想/まとめ

面白かった。

まさか続編が読めるなんて思いもしなかったので嬉しい誤算であった。

前作には及ばなかったけど、どんでん返しは健在。全てキョウの手のひらの上で踊らされていたなんて。この小説に出てくる子どもたちは賢すぎますよ。

 

この世のどん底は味わい尽くしたので、後は這い上がっていくだけ。

これからどこへ旅立っていくのかが大事である。

 

 

キョウの性別が女子だと判明するp62のシーン

男の子は、母親に恋人をつくってほしいなんて思わない

納得してしまった。