早坂吝さんの「犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー」を読んでみた 感想
今回紹介するのは早坂吝さんの「犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー」です。前作で苦汁を飲まされた賢くて可愛いAI犯人の以相の大反撃が見られるシリーズ第二弾!
犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー
~前作の振り返り~
人工知能の研究者である合尾創(あいおつくる)によって開発された相以と以相は双子の人工知能である。妻の死を調べるために仮想空間で《犯人》の以相が事件を起こして、《探偵》の相以が解決する。《探偵》と《犯人》として相互対戦を繰り返して成長していた。
そんなある日、世界転覆を企むハッカー集団『オクタコア』が合尾教授を殺害し、《犯人》の以相が誘拐?された。『オクタコア』に協力するふりをした以相は、現実世界で事件を起こして相以と対決するが二連敗。
そして今作。復讐に燃える以相は、完璧な共犯者を造り上げて、相以に挑戦状を叩きつけるのであった。
オタクコア事件以来、度々お世話になっている左虎刑事から依頼を受けた相以と輔。その依頼の内容とは、前作でも登場した公安捜査官の右龍司法(うりゅうかずのり)も関わっており、彼の母親が日本初女性総理こと右龍都子(うりゅういくこ)であること、また息子が三つ子だと明かされる。
三権分立にちなんだ名前で、衆議院議員の右龍立法(うりゅうたつのり)、外務省官僚の右龍行政(うりゅうゆきまさ)、公安捜査官の右龍司法(うりゅうかずのり)とそれぞれの舞台で活躍している。
今回は立法が依頼主で、AI戦略特別委員会のリーダーとして将来的にAIに警察業務の一部を代行させる法律を立案したいと考えており、事件解決の実績のある相以と輔がサポート役に指名されたのだ。
輔は金銭目的で、相以は謎目的で、それぞれの欲望の為迷うことなく協力することになった。
長崎の壱岐で起きた事件の捜査の為にさっそく現地へと向かった。事件の詳細は、漁業協同組合の組合長・坂東が自宅の裏庭で倒れているのが発見された。後頭部を殴られて殺されており、付近には血まみれのスコップとナイフが落ちていた。それらから指紋が検出されたが、関係者の誰とも一致しなかった。では外部犯による犯行説を考えるが侵入した形跡もないし、どこから侵入して撤退したのか、不明である。現場はある種の密室であった。さらに韓国の硬貨が残されており、対馬で起きたもう一つの事件との関連性が疑われた。
もう一つの事件とはゴムボートに乗せられた射殺体が対馬に漂着した殺人事件ことを指した。被害者はなんと右龍総理の息子である行政であった。また、壱岐の事件現場から発見された指紋が行政のだと判明し一気に事件への関与が疑われますが、韓国に出張中であったことから、殺害するには時間的に不可能であった。
また行政の遺体を載せたゴムボートが対馬に漂着した同じころ、司法は対馬に配属され、立法は壱岐の反対に位置する原発を訪ねていた。三つ子の三人が同時に集結したことから何者かの意志が働いているのではと警戒するが、親元の本拠地である首相公邸内で殺人事件が起きてしまう。
連鎖する不可解な事象を紐解けるのは相以しかいない。だがその先に待ち受けていたのは復讐に燃える以相の仕掛けた恐るべき計画であった。
感想/まとめ
面白かった。
序盤にネットを泳ぐイルカをぼこってうっ憤を晴らす以相にニヤニヤ。やはり双子なのか相以と通じるものがあるので憎めないキャラである。《犯人》の以相のネット上の反応が面白すぎる。美少女だと判ると手のひら返しする心境がよく分かる。
司法さんのマザコン度。ここまでくると逆に清々しく最後までそのキャラを貫いてほしい。
トロッコ問題、ロボット三原則。ここら辺はよく目にするので覚えておこう。