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乙一さんの「夏と花火と私の死体」を読んでみた ネタバレ/感想

今回紹介するのは乙一さんの「夏と花火と私の死体」です。無邪気な殺人者によってあっけなく殺された少女。その死体を巡る、幼い兄妹の悪夢のような四日間を描いた冒険小説。

 夏と花火と私の死体

九歳の夏のある日のこと。わたし(五月)と弥生ちゃんは木に登り、枝に腰かけ、おしゃべりしながら弥生ちゃんの兄・健くんのことを待っていた。村の風景を眺め見下ろしながら、話題は健くんのことになる。健くんはおばさんの娘・緑さんのことが好きらしい。そして弥生ちゃんは兄・健くんのことが好き。健くんと違う家に生まれておにいちゃんではなく健くんと呼びたかったと不満を漏らしていた。このまま気持ちを隠すのは不公平だと感じ、実はわたしも健くんのことが好きなんだと告白した。

 

そうこうしているうちに健くんの姿が見えたので、わたしは手を振って合図を送った。すると、背中を押されたわたしはバランスを崩し、落下して死んでしまった。大きな音がして駆けつけた健くんはわたしの死体を発見して立ち止まる。泣き叫びながら腕にしがみつく弥生ちゃんをあやして何があったのか聞くと、いつものようにおしゃべりしてたら滑って落ちちゃたと嘘の説明をする。事故なら仕方がないとお母さんに知らせに行こうとする健くんを嫌だと引き留める弥生ちゃん。また泣き始めてその場を動こうとしない妹の気持ちを汲み取って、健くんはわたしの死体を隠すことを決めた。

 

水路用の溝に一旦わたしを隠して家に帰った。その夜にわたしのお母さんがやってきて五月が帰ってこないこと心配して村中を捜し回っていることを知った。最近の誘拐事件でいろいろと物騒だしこのまま見つけることができなければ警察に届けることも視野に入れていた。わたしのお母さんがこれから森を捜すと聞いて動揺する健くんと弥生ちゃん。わたしが死んだ痕跡は二人して消したが、見つからない片方のサンダルの行方が気がかりだったからだ。

 

警察や大人たちからの追及を寸前のところでかわしていく健くんと弥生ちゃん。次々に訪れる危険を顧みず、わたしの死体移動を進めていく。そして、迎えた花火大会の日。どさくさにまぎれて石垣にわたしの死体を隠そうとするが、浴衣姿の緑さんに見つかってしまう。二人がわたしの死体を隠そうとしていたこと知っていたと語り、死体となったわたしの処理まで手伝ってくれた。実は誘拐事件の犯人は緑さんであり、彼女が働いているアイスクリーム工場の倉庫に、こどもたちの死体が保管されていたのであった。

 

感想/まとめ

面白かった。

殺された五月ちゃん視点と俯瞰視点で物語が進むのが新鮮で楽しめた。時には死体なった五月ちゃんがジョークでなごませて?くれるので、変に重くなくサクサク読めるホラー小説でしたね。

犯人の弥生ちゃんは嫉妬が動機?で一応理解はできたのですが、黙々と死体移動をこなす健くんとガチの誘拐犯人である緑さんが不気味でした。お互いに心酔している様子から同族の匂いでも感じ取っていたのでしょうかね。

 

同時収録の「優子」も面白かった。