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綾辻行人さんの「暗闇の囁き」を読んでみた 感想

今回紹介するのは綾辻行人さんの「暗闇の囁き」です。囁きシリーズ第二弾!

暗闇の囁き

大学生の悠木拓也は、卒論の下準備のために伯父が所有する別荘を訪れた。子供の時に一度だけ遊びにきただけのあまり馴染みのない土地だが、10年という年月に思いを馳せていると、円城寺実矢(えんじょうじみや)と麻堵(まど)兄弟と出会った。美しさが際立つ兄弟は、あっちゃんという子と遊んでいたらしいのだが、周囲にそれらしい子は見当たらない。二人に尋ねてみてもはぐらかされてしまう。あまり触れられて欲しくない空気を感じ取った拓也は、怪我をしている足に目を向け、二人を車で送り届けることにした。

 

円城寺家の別荘には実矢、麻堵兄弟の他に

兄弟の父・円城寺隼雄(えんじょうじはやお)

兄弟の母・円城寺香澄(えんじょうじかすみ)

隼雄の妹・雅代(まさよ

雅代の息子・克之(かつゆき)

祖母の円城寺ハツ子

家庭教師の滝川遙佳(たきかわはるか)

管理人の佐竹周三、邦枝夫婦が滞在している。

 

ところであっちゃんという子供のことについては、円城寺家では禁句のようでいくら尋ねても誰もが口を閉じてしまう。これ以上他人の家庭の秘密に首を突っ込むべきかと逡巡するが、拓也自身も十年前、ここを訪れた夏の記憶が夢の中で甦り、他人事では済まされないような気分である。腹をくくって小説家の伯父の力を借りて調べてもらうと、確かに円城寺隼雄、香澄夫妻には円城寺亜希(えんじょうじあき)という息子がいたことが判明した。

亜希は問題のある子、変わった子どもとしていろいろな噂が流れており、現在は行方不明になっているらしい。その経緯というのが夏休みの林間学校で起きた事件である。亜希を含む数名の生徒がグループからはぐれてしまい、その後、彼らの惨殺死体が山奥で発見された。死体の状態は凶暴な動物に襲われでもしたかのような惨いものだったが、いくら捜索しても、亜希だけは見つからなかった。

拓也の推理では、その後亜希は生きて一人で帰ってきた。ところが円城寺隼雄は生還を喜ぶよりも亜希こそが事件の犯人なのではと恐怖を抱いた。彼は、このまま行方不明のまま真実を闇に隠して、亜希を別荘の屋根裏部屋に幽閉した。夜な夜な誰かが屋根裏部屋を訪ねていることを目撃している遙佳の証言もここで裏付けられる。

 

 

遥佳の前任者で朝倉かをりの死体から切られた黒髪。

克之の死体からえぐり取られた眼球。

雅代の死体から剥ぎ取られた爪。

そして、人魚の涙。

謎めいたほどに美しい兄弟の周囲で次々と起こる奇奇怪怪な事件。遠い記憶の闇の中からわき上がってくる囁きが呼び覚ますものとは何か。そして、兄弟があっちゃんの正体をひた隠す理由とは。

 

感想/まとめ

面白かった。

亜希のことをどうするか。両親と兄弟の評価のズレが生んでしまった悲劇。

個人的には緋色の囁きの方が好きでしたね。それでもラストのゾクッとする終わり方はどちらも引けを取らない。美しくも悲しい物語の世界観にどっぷり入り込むのもいいですね。

 

林間学校の事件が他の作品とリンクしているらしいので、忘れないうちに是非読んでみたいですね。