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知念実希人さんの「レフトハンド・ブラザーフッド」を読んでみた ちょっとネタバレあり/感想

今回紹介するのは知念実希人さんの「レフトハンド・ブラザーフッドです。双子の弟の左手には事故で亡くなった兄の魂が宿っていた。周囲の人間には精神障害を疑われて逃げるように東京へとやってきた。だが、その先で殺人事件と薬物事件に巻き込まれてしまう。

 レフトハンド・ブラザーフッド

岳士の左手には事故で亡くなった双子の兄・海斗の魂が宿っていた。病院では『エイリアンハンドシンドローム』という診断を受けていた。左手首より先が『海斗の支配領域』になり、普段岳士は動かすことができない。海斗が権利を放棄することで両手を自由に使うことができるのだ。その症状を説明しても、だれも海斗の声は幻聴だと信用してくれない。最終的に精神障害を疑われて強制入院されそうになり、隙をついて東京へ逃げてきたのだ。

 

橋の下で休もうとテントを張っていたが、河川敷に住みついていたホームレスに絡まれるアクシデントが発生。そこは海斗が機転を利かして場を収めてくれたので一安心だ。完成したテントで休んでいるとうめき声がしたと起こされた岳士は、外の様子を窺うと死体発見してしまう。不用意に現場に証拠を残してしまったことから警察に追われるようになってしまった。逃げる前に盗んだ免許証から被害者が早川壮介という男だと知った二人は真犯人を見つけるために動き出した。

 

早川の自宅は荒らされていた。そこへ留守電から機械的な声で逃げろとメッセージが届けられた。急いで犯人に繋がりそうな資料を持ってその場を離れると、乗りこんできた警察と鉢合わせすることなく、間一髪逃げることに成功した。その後は他人の身分証を使用してウィークリーマンションを借り、そこを今後の活動拠点とすることにした。

 

持ちだした封筒には柄の悪い連中の隠し撮り写真と目薬の容器に入ったブルーの液体が入っていた。それはサファイアと呼ばれるもので合法ハーブ、ドラッグの類であった。その後トラブルに見舞われていた隣人の桑島彩夏を助けたことで仲良くなった。彼女からの情報でサファイアが取引されているクラブへ訪ねてみると傷のある男と出会った。

 

カズマと名乗った男の下で働きだした岳士は、仕事後に番田という警察官に捕まってしまう。サファイアのことを追っている彼からスパイにならないかと持ちかけられた。そして、あの殺された早川は番田の情報屋だったことが判明。海斗の指示で協力関係を結ぶことにした。手始めにカズマを逮捕させて、自然と後釜に座ることに成功した。組織の幹部であるヒロキにも力が認められて、内部を探るにはうってつけの位置に収まることができた。

 

家族の死という境遇が似ていることから彩夏と急接近する。兄の死に己の深い罪の意識を未だに引きずっている姿を見兼ねた彩夏はサファイアを使えば解放されると甘い誘惑で近づいてきた。口づけで甘い液体を流し込まれた岳士は負の感情から解放されて久しぶりに心から幸せな気分に浸ることができた。その流れでそのまま彼女と体の関係を持ってしまう。

 

サファイアにはレシピが存在しており、錬金術師と呼ばれる人だけが調合方法を知っていることが分かった。岳士は一度味わってしまったサファイアの魔力に取りつかれていた。海斗の忠告も完全無視で、呑みたい衝動が抑えられなくなり奴隷化しつつあった。その後遺症なのか左手首だけだった海斗の支配領域がいつの間にか広がっていた。

誰かに監視しているという妄想が岳士を襲うようになる。彩夏は被害妄想だと、サファイアを呑んで忘れようと勧めてきます。言われるままに飲みほして成の果てまで溺れていくことになる。

 

カズマが釈放されて、岳士が番田と協力してハメたことが組織にバレてしまった。ヒロキを中心に痛めつけれて絶体絶命の中、隙をついて何とか逃げることに成功した。頼みの番田にも早川殺しの容疑者だということがバレてしまい、逃亡生活に逆戻りとなってしまった。サファイアを完全に断つために強引な手で自分自身を監禁したのだった。

 

禁断症状から回復することができていよいよ物語はクライマックスへ向かっていく。

ホームレスからサファイアのレシピを手に入れた岳士。

俺が殺したと犯行を認めた海斗。

組織に攫われた彩夏を罠だと分かっていても助けに行く岳士。

左手首の切断。

この後の展開は是非とも読んでみてほしい。

 

 

感想/まとめ

面白かった。けど、どうしても岳士のキャラが受け付けなかった。ストーリーのために一度薬物で落とす必要があったのかもしれませんが、ちょっとイライラ感が強い。高校生で思春期真っ只中の岳士にはお姉さんに誘われてはいちころでしょう。

好きな人を知らない間に取られて、それを言及するためにバイクで走りだした際に起きた事故。それでも事故のことを攻めない兄の優しさがより苦しめたのかもしれないですね。劣等感が強い岳士には尚更のこと。

それでも最後の締めは素晴らしく、海斗からの手紙は号泣もの。そこに綴られていること安易だが感動したし、兄弟愛も捨てたものではない。

 

 

結論、、、薬物は絶対だめ。ミステリーと共に依存性の恐ろしさを教えてくれた小説でしたね。