西村京太郎さんの「殺しの双曲線」を読んでみた 感想
今回紹介するのは西村京太郎さんの「殺しの双曲線」です。西村さんと言えばトラベルミステリーのドラマで有名な方ですよね。今作は「そして誰もいなくなった」のオマージュ。双生児トリックを使用していると宣言しており、読者に対してフェアを掲げている。面白い要素満載でワクワク。さっそく本編へいってみよう。
殺しの双曲線
この推理小説のメイントリックは、双生児であることを利用したと宣言している。
ノックスの十戒の十番目
「双生児を使った替玉トリックは、あらかじめ読者に知らせておかなければ、アンフェア」
と書いているからである。
あくまでフェアで挑戦したいと掲げており、あらかじめトリックを明かしてくれているのです。
実際読んでみるとそれ以上の驚きがあるのでお楽しみに、、、
▼あらすじ
序盤に一卵性双生児の双子が犯行を決意する描写が書かれている。
連続強盗事件が発生。顔を隠すことなく、同じ服装、同じ捨て台詞を残しておりモンタージュ写真の作成もスムーズにいったことから当初は犯人逮捕も容易だと考えられていた。ただ、手袋は一度も取らず指紋は絶対残さない徹底された用心深さが議論の対象になっていた。
モンタージュに似た男は被害者たちの証言により小柴兄弟に絞られたが、二人は一卵性双生児だったためどちらが犯行を行ったか証明できずに警察は逮捕できずにいた。
一方、宮城県K町・観雪荘の主人から招待状を受け取った戸部京子と森口克郎。同じように招待された太地亜矢子、矢部一郎、五十嵐哲也、が合流し、ホテルの主人早川が出迎えた。
翌日宿泊客の一人矢部一郎が部屋で死んでいるのが発見された。鍵の掛かった部屋での首つり。自殺かと思われていたが、壁には〈かくて第一の復讐が行われた〉メッセージが残されていた。とにかく警察に通報しようしたが電話線が切られ、交通手段であった雪上車も何者かに壊されていた。
田島信夫がスキーで助けを呼びに行くことが決定。疲れを取っていざ行こうとした翌日、スキー用具が無残にも叩き折られていた。追い打ちをかけるようにここにいる田島は偽物で俺が雪上車を壊したと白状した。
周囲から距離を置いて、いつの間にか消息を絶った田島が谷底に落ちて死んでいるのが発見された。部屋に〈かくて第二の復讐が行われた〉メッセージが同じように残されていた。
「そして誰もいなくなった」のインディアン人形が一体ずつ減っていくように、今作ではボーリングのピンが一本ずつ減っていく。
森口が頭を強く打ち死亡、五十嵐が背中にナイフが刺さり死亡。また同様にメッセージが残されていた。
なぜか復活した電話で早川が警察へ通報、救援要請することができ一同に安堵感が生まれた。安心したのもわずか、早川が血の海のダイニングキッチンで倒れていた。残された二人はお互い相手が犯人だと疑心暗鬼になる。京子は、これまでの経緯を手紙に残した。
小柴兄弟は銀行強盗に失敗、逮捕されてしまう。一人の少女が拳銃で、、、
差出人不明の犯行計画を元に強盗を働いていたと自供した。兄弟交代での犯行だと。
警察や記者、関係者がホテルに到着。亜矢子の死体と〈私が間違ってました。太地亜矢子〉一枚の便箋がテーブルの上に残されていた。
ホテルの裏に6つの墓。掘り起こすと5人の顔をつぶされた死体とボーリングのピン。なぜかきれいな京子の死体。状況から亜矢子が犯人か?
連続強盗事件を捜査している警察本部へ〈かくて全ての復讐が終った〉とメッセージが届けられた。
一体誰が何のために?
感想/まとめ
面白かった。トラベルミステリーのイメージしかなかったので、驚きです。
初めての西村先生の作品を読んだがこれを選んで正解でした。トラベルは種類が多すぎて正直悩みすぎた。
すっかり冒頭の双生児トリックに騙されてしまった。
最後の追い詰める言葉は一生忘れないでしょう。
もちろん「そして誰もいなくなった」は読んでみてくださいね。
おススメミステリーとして誰もが挙げる名作ですから!