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桜木紫乃さんの「ホテルローヤル」を読んでみた 感想

今回紹介するのは桜木紫乃さんの「ホテルローヤルです。今は役目を終えてひっそりと佇んているラブホテル「ホテルローヤル」とそこに関わっていた者たちの歴史を辿っていく連作短編集。

 ホテルローヤル

▼シャッターチャンス

短大を卒業してから13年スーパーの事務職をして働いている加賀屋美幸は、中学時代の同級生で同スーパーで働いている木内貴史と付き合っていた。ある日、美幸はカメラを趣味にしている彼からヌード写真のモデルを頼まれた。短期間での減量で彼が求めるラインをクリアするには辛いものがあった。

撮影は廃墟となったラブホテル「ホテルローヤル」の一室で行われた。指示されたポーズをベットの上で形にする。

撮影が終えた後、帰宅する車の中で彼が語った将来の言葉に美幸は何を感じ取ったのか?

 

▼本日開店

寺に嫁いだ設楽幹子は、寺を維持していくためにしきたりで夫以外の相手と関係をもたなければいけなかった。介護助手の仕事をしていた幹子は、老人との行為は介護の延長線上に考えており、特に苦にはしていなかった。

しかし、ある時に奉仕ではなく快楽を感じてしまった幹子は、、、

 

▼えっち屋

ラブホテル「ホテルローヤル」を管理していた雅代。廃業するために出入り業者に連絡し、引き取ってもらった。後は業界でえっち屋と呼ばれているアダルト関係の道具販売の営業担当宮川に在庫を引き取ってもらうのみとなった。

終わりを迎え新たな始まりの日、雅代は宮川相手に残った道具を使って遊ぼうと提案したが、、、

 

▼バブルバス

ラブホテル「ホテルローヤル」を利用したある夫婦の物語。

 

▼せんせぇ

野島広之は、担任をしている女子生徒・佐倉まりあに絡まれていた。野島もまりあも問題を抱えており、行先不明の旅に出かけようとしていた。

 

▼星を見ていた

ラブホテル「ホテルローヤル」の掃除屋として働く山田ミコ。夫が働いておらず、ミコが朝から晩まで稼ぐしかなかった。夫婦の間に子供が三人いるが、中学卒業後に家を出て行った限り何をしているのか分からない。それでもミコは心配していなかった。

ある日死体遺棄事件の容疑者として息子の次郎の名がニュースで報道されるが、女将さんやパート仲間は明日もよろしくと変わらずに接してくれるのだった。

 

▼ギフト

一世一代の勝負をラブホテル「ホテルローヤル」にかけようとしている田中大吉。周囲の人間には反対されているが、団子屋の看板娘・るり子だけは味方になって応援してくれていた。

るり子が妊娠していることが判明して、覚悟を決めた大吉は妻と別れてラブホテル「ホテルローヤル」の経営に乗り出すのだった。

 

感想/まとめ

面白かった。ラブホテルの歴史を辿っていく連作短編集。現在から過去にさかのぼっていく形式も良かった。舞台がラブホテルだけに官能的な雰囲気と人間模様も深く重なって伝わってくる。

 

心中事件って▼せんせぇの二人のことなのかな?