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鳥海嶺さんの「僕の未来だった君へ」を読んでみた 感想

今回紹介するのは鳥海嶺さんの「僕の未来だった君へ」です。春の訪れと共に現れた雪女と語る女性と出会った僕。過去の傷心を癒してくれたひと時。そして、冬の訪れと共に姿を消してしまった理由とは。ちょっと不思議な恋愛小説です。

 僕の未来だった君へ

春の季節、桜並木の下で不思議な女性と出会う。彼女は笹目雪の名乗り私、雪女なんです、気軽に雪ちゃんと呼んでと自己紹介をしてきた。高専に通う僕こと高垣直樹は、フレンドリーな対応に押されながら雪ちゃんと呼ぶことになるが、あまりアブナイ人なら関わらないようにしないと内心慎重な構えだった。

彼女は、冬将軍の兄と喧嘩して置いてかれたと不思議ちゃん全開モード。だが、ふざけているようにも見えない。こっちで普通の人間っぽい普通の生活をしたいというので、人手不足で困ってる馴染みの商店を紹介してあげた。

 

彼女は冬の国から来たというが僕はそういう設定なんだと、まだまだ信じてはいなかった。紫陽花見にこうと遠出したり、写真展に出かけたり、お祭りに行ったりと彼女の行動に振り回されていた。そんな傍若無人な彼女に心を開いている僕がいた。

 

弟の名乗る北風小僧の寒太郎が登場して冬の国はホントにあることが判明、さらに周囲は慌ただしくなる。彼女がこっちで過ごす時間は残り少なくなっていることを教えられ言いたいことがあるなら今のうちだからと言い残し去って行った。

久しぶりにふたりで出かけた最後の時間。

さよなら、私の未来だった人と言い残し僕の前から姿を消してしまった。

彼女を探しまわり、辿りついた冬の国で答え合わせ。

直樹は約束を守ることができたのか?

 

▼過去の傷心

小学校の頃、同じクラスの佳苗という女の子と似た境遇から仲良くなる。家庭環境のせいで二人でいることが多かった。ある時、佳苗が名前の由来調べてきて僕のことを私の未来なんだよと自然の笑顔を見せてくれた。その笑顔と何より特別という言葉の響きが嬉しかった。父親から暴力を受けている佳苗をいつか助けてあげることが使命とばかりに約束をした。しかし、彼女は交通事故で亡くなってしまい、約束を守ることは永遠に叶うことはなかった。隣の席がぽっかりと穴が開いたように欠けて、ただ感情がないロボットのように学校生活を送っていた。進路を考える時期なり母親と言い争そうようになり、佳苗のことがきっかけで険悪な関係になった。最終的に選んだ進路は、進学と同時に家を出てることで一人暮らしを始めたことだった。今でも彼女のお墓参りは欠かさないでいる。その約束は今でも呪いのように苦しめていた。

 

感想/まとめ

面白かった。

言葉ひとつひとつに花があり、読んでいて飛ばされる感じがまさしく風花でしたね。みんなが救われる物語で良かった。

タイトルが何より素晴らしい。一方通行ではなくて、二人にとってお互いが未来だったという返しも印象深く残った。

 

美芳ちゃんとの関係ですが、彼女がぶれることがなく強く真っすくな人過ぎてフラグなのか判断しずらい終わり方でしたね。