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山田悠介さんの「僕はロボットごしの君に恋をする」を読んでみた 感想

今回紹介するのは山田悠介さんの「僕はロボットごしの君に恋をする」です。AIが進化した未来。タイトルの込められた意味とラストに待ち受ける衝撃とは。

 僕はロボットごしの君に恋をする

現在よりもAI技術が進化している未来。人間としか見えない人型ロボットが街中に紛れ込んでいた。2060年、三度目のオリンピック開催が迫る東京で、研究所と警察庁が合同で治安維持のためロボットを使用したプロジェクトが開始していた。

 

大沢健が所属する『AIロボット技術研究所 運用部警備課』でロボットを遠隔操作する捜査官として犯罪を防ぐため目を光らせていた。人とは違ったロボットの長所を生かした働きに皆期待しているのだ。

 

しかし、捜査する側の健には危なっかしいところがある。ヒーローに憧れており後先考えない行動で暴走することもしばしば。ヒーローになりたいが大人しく気も小さく、理想像は程遠いものだった。昨日も火災現場に突入してロボットを破損して帰ってきたのだ。もちろん上司に怒られた。警備ロボットの正体は一般人には極秘にしている。怪しまれたバレる確率も上がる、健は担当エリアを変えられた。

 

エリート研究員で幼なじみの天野陽一郎だけはいつも頑張りを擁護して助けてくれる存在だ。小さい頃からスポーツ万能、ルックスも良く、人気者だった陽一郎。健とは大違いだ。陽一郎には咲(妹)がいる。健の片思いの相手だ。担当エリアを変えられてしまったことは残念だが、そのおかげで咲の勤め先を警備することができるのだから嬉しく、会えるかもと期待もする。

 

意外な事に研究所に陽一郎を迎えに来た咲とばったり会えたのだ。ロボットごしだが、、、咲には家族でもロボットのことは秘密。3号のことを佐藤翼と紹介した。両親を亡くしている二人は仲が良すぎて、傍から見ればカップルでも通じるだろう。翌日買い物に出かける二人が気になって、健は仕事だと自分に言い聞かせて後をつけた。

しかし、爆発事件に巻き込まれて3号はバラバラ。またも上司に怒られた。今度はやばいかもしれない。陽一郎はまた庇ってくれたが、どうなることやら。

 

クビを覚悟した健に新たな辞令が渡された。テロ予告を受けた企業の極秘警備、咲が勤めているスポーツメーカーアテナ社だった。陽一郎の推薦と咲を守ることに全力を尽くし健は新しいロボット4号と共に向かった。

 

さっそく初日にトラブルがあった。会社で咲がストーカーに絡まれる現場を目撃して4号を操作して撃退させた。お礼といてアテナ社の社員の方々と食事をする機会を設けてくれた。咲との関係は進展することもなく、終えた。

 

オリンピックが迫る中、新たな任務が追加された。本社だけではなく、外出する社員にも同行して警備にあたれとのこと。これで任務と名目して堂々と咲と一緒にいることができると心の中でガッツポーズ。

この一週間咲に同行して仕事を見て回った。ほんとにスポーツが好きなんだなと感心するほどだ。咲の出身大学に同行した際、何故か競争することになった。なんでもいうことを聞くというご褒美に釣られ、また調子に乗ってヒヤヒヤする場面も迎えたがデートする約束を取り付けた。今度は正真正銘二人っきりの遊園地デート。しかしまたトラブルに見舞われる。この時期だ、テロとの関係も疑われるがはたして。

 

これ以降二人の仲は急接近することになる。恋人と呼べる関係ではないが、それに近い関係であることは間違いなかった。しかし、健は素直に喜べなかった。彼女が惚れているのは僕ではなく、あくまで佐藤(4号)だ。このままでは永遠ロボットごしの君に恋するだけだ。悩んだ末、咲に正体を明かすこと告白することを決意した。

 

女子マラソンで不審な男の存在が目に入った。あの男は3号が巻き込まれた爆発事件でぶつかった男ではないか。警戒するよう男をマークを向けた。そして先頭集団が折り返し地点に差し掛かった瞬間、投げ込まれたリュック。何かあると咄嗟に男の確保よりリュックを優先すうよう指示を出した。その直後爆発音が鳴り響いた。

 

職務違反を破り、懲戒解雇では済まされない。これは犯罪だ。それでも現場へと向かった健。いても立ってお居られない理由、咲が巻き込まれてしまったからだ。ロボットごしでは伝わらない覚悟も必要だ。直接数年振りに会った咲に真実を話、これまでのことを説明した。泣き崩れる咲を起こし、この場を離れる二人。

車に戻り、かけっぱなしで流れていたニュースで『この爆発事件はテロと断定。容疑者を大沢健と特定した。今現在人質を取って逃走中、指名手配されて検問が始まった』と報道されていたのだ。

 

こうして逃亡が始まった。誰かが僕を陥れようとしているのは間違いない。テロの首謀者、真犯人にはいったい誰なんだ。そして陽一郎の口から語られた衝撃の真実とは。悲しい結末だが、決して悲劇ではない。

人とロボットの恋は成熟することはあるのか?

 

感想/まとめ

面白かった。

 

幼なじみのポジションをアドバンテージとして、片思い中の相手にロボットで繋がり、楽しいひと時を過ごす。後に正体がばれて、一旦は関係が悪化する。しかし最終的に気持ちが伝わり、ハッピーエンドで終わる小説だとタイトルから想像していたが良い意味で裏切られて楽しめた。

 

感情を持つロボットは怖いかも。人間社会をいつか反逆して侵略してしまうのではないか。映画のような話が遠くない未来くるのではいかとマイナス面ばかり考えてしまった。人手不足が騒がれている昨今でこれだから、出生率に関わる人とロボットの恋愛もいつか障害になってくるのか不安になる。

 

そいうのは抜きにして恋愛ものミステリー?として純粋に楽しめたのでよかった。