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宮部みゆきさんの「英雄の書 上」を読んでみた ネタバレあり/感想

今回紹介するのは宮部みゆきさんの「英雄の書」です。兄を救うために妹は立ちあがる壮大なファンタジー小説

 英雄の書

主人公は小学五年生の森崎友理子。ある日、友理子の兄である大樹が同級生をナイフで刺して逃走するという事件が起きてしまう。当たり前のように感じていた暮らしが壊されてしまったの事実を幼いながらも感じた友理子。マスコミから逃れるためにホテル暮らしをしていた森崎家だが世間が落ち着いてきたので久しぶりに帰宅した。十日経ってもいまだに兄の行方は分かっていなかった。

兄の部屋でうとうとしているとある記憶が甦った。深夜に偶然兄の部屋を覗いたら、冠をかぶった大きな人影に向かって深く頭を下げていた現場を目撃した。あれはいったい何だったのかと考えていると、「嬢ちゃん、嬢ちゃん」と、どこかから声が聞こえて来た。声を辿っていくと正体は一冊の本だった。その本から、兄は英雄に魅入られてしまったから事件を起こしたと教えられた。信じられない友理子は本を叩きつけてしまった。事件後登校した学校ではいじめられて居場所がなくなりつつあり、話し相手はしゃべる一冊の赤い本だけになってしまった。その本と和解して、兄を捜すため、本の仲間がいる大叔父さんの別荘へ向かうことになった。

 

大叔父さんの名前は木内一郎。

別荘の図書室で数々の本と出会い、赤い本はアジュという名前の辞書であった。兄はここからエルムの書(英雄について書かれた写本)を持ちだして、英雄の最後の器となってしまい封印が解かれたと教えられた。英雄は、私たちは考える輝く善なるものと、暗く淀む悪なるものが存在しており、表裏一体である。さらに、輪(サークル)という人の世よりも広大な領域があり、この世界もその中のひとつであった。

英雄を封印している無名の地(物語が生まれ、回収される場所のこと)を訪ねて、守人をしている無名僧から兄の手がかりを得られる可能性が出て来た。さらに英雄を追跡する狼と呼ばれる者がおり、味方になってくれるかもしれないという。ここまで説明を受けても友理子の頭では完全に理解することはできない。しかし、兄の手がかり求めて旅立つ決心をした。賢者と呼ばれる本から額に印を受け「印を戴く者(オルキャスト)」となった友理子は無名の地へと旅立った。

 

最後の器となっている兄を英雄から解き放たないといずれ世界は崩壊してしまう。それを無名僧から聞かされ自信をなくす友理子だったが、輪の中に在る数多の書物や狼が味方をしてくれるという。

英雄を封印していた「英雄の書」今は空っぽで「虚ろの書」と呼ばれる書物を見て何故かうろたえ驚く無名僧。さらに暗闇から子供のような無名僧(ソラ)が現れ、友理子の従者だから連れて行ってくれと懇願した。

無名の地での説明を受けた友理子は元の世界に戻る前に無名僧から授かった守護の法衣を身に付けて、これからはオルキャストのユーリと名乗ることになる。

 

別荘の図書室に戻り、書物たちに報告をした。

守護の法衣にはさまざまな能力が備えられており、ユーリの助けとなってくれる。魔法も行使することができるようになったが、知識がないので発動することができない。そこで、旅には辞書であるアジュも同行することになった。

 

どうやら兄が起こした事件の背景にはいじめが関わっているかもしれない。そこで、兄が通っていた中学校へ情報収集のため向かった。胸騒ぎを感じて、叫び声が聞こえた図書室に駆け込むと女子生徒が窓から飛び降りようとしていた。

救助を試みてひとまず落ち着かせる。そして彼女は乾みちると名乗り、大樹の同級生だった。みちるがいじめられていると知った大樹は、辞めるよう訴えて助けることに成功したが、今度は逆に自分がターゲットとされてしまう。誰にも相談できずに一人で立ち向かうことに限界を感じて、英雄の書を求めてしまったのだ。

 

もうそこには小学生の友理子はいない。未熟だがオルキャストのユーリとして兄を救うため、英雄を封印するために迷いなく立ち向かっていく。

 

波乱の下巻へと続く。

 

感想/まとめ

面白かった。兄を捜すために妹は仲間を連れて冒険に出るファンタジー物語。

ちょっと単語がややこしく理解するのが辛かったかな~

友理子ちゃん別人のようにたくましくなりましたね。下巻にも期待したいです。