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宮部みゆきさんの「英雄の書 下」を読んでみた ネタバレあり/感想

今回紹介するのは宮部みゆきさんの「英雄の書 下」です。

 英雄の書 下

上巻のラストで闇の中から出現した化物に襲われるユーリ一行。初実戦でオルキャストとしての戦い方がわからないユーリは手も足も出ないでいた。そこに颯爽と現れた男にピンチを救われます。全身を黒いマントで包んで異様なオーラ放つ男の正体は、灰の男と呼ばれる狼だった。ユーリは、彼のことをアッシュと呼ぶことにした。

 

アッシュは「エルムの書」に詳しく追跡しているというのでここから共に行動することになる。彼は、作り話のなかの存在で架空の人物だという。その物語の世界となるヘイトランドへ向かった。

 

そこは、寒く、貧しく、小さな国の村だった。常に争いが絶えない国で、ずっと内戦、内乱状態であることを教えられた。さらにこの地の歴史を一通り説明した後、本題であるエルムの書の詳細について語り出した。

 

エルムの書は一人の英雄・オルタイオスの偉業を記録した歴史書のことだった。戦争兵士不足を解消させるため禁忌の魔法に手を出し、死んだ兵士を蘇らせ、不死の軍団をつくることで戦争に勝利することができた。この魔法を研究していたのがエルムという名の魔導師でしたが、けっして護国の魔法ではないと指摘していた。戦争が終結したものの、残された不死の者を恐れ国は荒れていく一方。不死の魔法を解除するためにエルムは処刑され、書物は焼き捨てられた。

しかし、書き写しが存在していてキリクという若者に渡った。エルムの魔法を進化させて、心を持たせずに蘇らせた。その浅はかな考えで彼もまた始末しきれずに、キリクも亡くなった。

この経緯をまとめたものが英雄の書であり、木内一郎が手に入れて、あの図書室から森崎大樹へと渡ったのだ。

 

王都へ向かう前に、手がかりがあるカタルハル僧院跡へ向かうことになる。その深奥に木内一郎がいたのだ。闇に覆われて良く見えないが、老人であることは確かだ。おまえの兄がエルムの書に魅入られてしまったのは私の責任だと詫びから語り出した。そして、待ち望んでいたエルムの書の手がかりをつかむことができたが、木内一郎は化物の姿に変貌してユーリは意識を失ってしまう。

 

目を覚ましたユーリを待っていたのは黒い手に襲われている王都だった。キリクの亡骸が埋葬されている可能性があり、いそいで王都へ向かった。辿りついた王都は大混乱しており、城が飲みこまれて地面へと消えたという。残されたのは大きな穴。その穴を潜っていき、エルムの墓で英雄と対峙する。ここで無名僧(ソラ)の正体も明らかになります。

 

無名の地へ戻ったユーリに真実が語られる。

英雄を封印するためには最後の器の力を削ること。その役割は同じ血を持つオルキャストにしかできない。最後の器を解放して、オルキャストがここに帰還すると「虚ろの書」から「英雄の書」へと戻る。

ユーリの旅の本当の目的は、無名僧(ソラ)を浄化させることにあったのだ。真実を伏せられ嘘をつかれた形だがみんなの真意を汲み取った。

そして、ユーリの旅は終え、みんなと別れた。

 

エピローグ

引退する狼から引継ぎを頼まれた。

友理子、、、いやユーリの物語は続く?

 

▼主な登場人物

森崎友理子:主人公。オルキャストのユーリとしてアジュ、アッシュ、ソラと兄を捜して旅に出る。次回作は狼のユーリが誕生か?

森崎大樹 :いじめのターゲットにされて、誰にも相談できずに一人で立ち向かうことに限界を感じて、英雄の書を求めて最後の器となってしまった。

アジュ  :赤い辞書。

アッシュ :灰の男と呼ばれる狼。物語のなかの存在で架空の人物。

ソラ   :こどもの無名僧。ユーリの従者となる。

 

感想/まとめ

面白かった。兄との別れは悲しい結末となってしまいましたが、妹としてもこれで一区切りすることができたのでは。事情がさっぱり分からず、五里霧中状態だった両親も少しは納得、安心することができたのかな。狼となったユーリの物語も是非読んでみたいですね。

 

友理子ちゃん、ご苦労様でした!