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似鳥鶏さんの「叙述トリック短編集」を読んでみた 感想

今回紹介するのは似鳥鶏さんの「叙述トリック短編集」です。この短編集はすべての章で叙述トリックが使われていますと堂々と宣言しているので期待が高まり、挑戦してみたくなるので早速読んでいきましょう。

 叙述トリック短編集

▼読者への挑戦状

読者へ向けて叙述トリックとは何かを丁寧に説明してくれるお話しである。

ひとりだけすべての話に同じ人が登場していると言う点、各話のヒントまで載せてしまう(文章太字)少々やりすぎにも思える重要な点まで教えてくれるほどだ。

あくまでフェアにこだわる姿勢をつらぬいた、そう親切過ぎる本なのは間違いないでしょう。

さっそく本編へといきましょう!

 

▼ちゃんと流す神様

ある会社の女子トイレが詰まって大騒ぎ。業者を呼んで直してもらうことにしたが、状況確認のため再度トイレに行ったところ、なぜか便器のつまりが解消されて、床もきれいになっていたのだ。トイレを利用する人たちに確認を取ったが、だれもやっていないという。ほんとにトイレの神様が存在しているのか?というお話し。

▼感想

やられた。この騙され方はきもちいい。個人的には今回の短編集の中で一番好きです。

あやしげな探偵?マニア?も登場。この人がすべてのお話しに絡んでくるのかな。

 

▼背中合わせの恋人

SNSを通じて、平松詩織さんという女性のことが気になりだした大学生の堀木輝。同じ大学と知り、会ってみたい気持ちが溢れだしてきた。一方、あることがきっかけで同じ大学の先輩に一目ぼれをした平松詩織。二人の恋の物語は、いかに。

▼感想

やられた。二人の視点がミソでしたね。甘い青春もの、ごちそうさまでした。

 

▼閉じられた三人と二人

人里離れた山荘で閉じ込められていた内の一人が死体となって発見されたというミステリーではお馴染みのシュチュエーション。

▼感想

やられた。まったく気がつかなかった。

 

▼なんとなく買った本の結末

あるバーでバーテンダーとアルバイトがミステリー小説の真相を当てるゲームをしていた。アリバイトリックを巡るお話しだが、真相はいかに?

▼感想

本屋さんはタイムマシンいい言葉ですね。いつか僕も昔は~だったんだよと語る日がくるのだろうとしみじみ感じました。

 

▼貧乏荘の怪事件

破格の家賃で苦学生には人気のある裕明荘。日本人の他に中国、韓国、タイ、セネガルインドネシアと多国籍な住人が存在している。ある日、中国人李君の海参が盗まれる事件が発生してしまう。一体誰が犯人なんだ。

▼感想

しっかりとしたミステリーでしたね。個人的には名前がネックになり、躓いたのが悲しかった。海参の正体が、、、

 

▼ニッポンを背負うこけし

ある地方のシンボルである巨大こけしの警備を任された探偵と助手。完璧な監視が敷かれていたのにもかかわらず、いたずらをされてしまった。いったい犯人はどこから現れて、消えてしまったのか。

そして、すべての真相が明らかになる。

 

感想/まとめ

面白かった。叙述トリックに真っ向勝負を挑んだ作品。手に取った時点で作者の術中にはまっていたのですね。真相を見抜いてやろうという気持ちは薄く、何となく読んで騙されて楽しい時間を過ごすことが出来ました。

ただ、ひとりだけすべての話に同じ人が登場していると言う点。度々登場して探偵役のあの人だろうと思っていたが、まさかの人物で悔しかった。これは見抜きたかった。

しかし騙されることがこんなに嬉しいとは、小説の賜物ですね。