宮部みゆきさんの「ペテロの葬列」を読んでみた 感想
今回紹介するのは宮部みゆきさんの「ペテロの葬列」です。杉村三郎シリーズ第三弾。本業とは別で事件に巻き込まれ続けた杉村の人生に転換期が訪れます。まさかあんな形をラストに持ってくるとは驚くばかりです。
ペテロの葬列
今多コンツェルン会長室直属グループ広報室「あおぞら」の編集部は、社員三名に準社員一名、アルバイト一名のこじんまりした所帯である。会長・今多嘉親の娘・菜穂子との結婚条件として、この職場へと移ってきてもう十年になろうとしていた。
「誰か」「名もなき毒」に引き続き今回もトラブルに巻き込まれた杉村三郎。
事件を通じて人間の本質を知った彼に人生の転機が訪れることになる。
杉村三郎は編集長の園田瑛子と取材で房総半島を訪ねた帰り道、拳銃を所持した老人によるバスジャックと遭遇する。三人の人物の名前を挙げて、連れてきてほしいと要求するが杉村と連携して突入した警察により事件はあっという間の解決で幕を閉じた。
老人は拳銃で自死した。孤独な老人によるバスジャック。被疑者死亡で書類送検。事情聴取も終えて捜査本部も解散。
たまたまバスに乗り合わせた運転手、乗客に対して慰謝料、迷惑料という形で後にお金を送りますとの言葉が未だに離れない。
マスコミ、ネット上では慰謝料の話題が取り沙汰されて、非難と擁護の声が飛びまわった。しかし、最終的には世間も彼らに同情する声が多数を占め、次第に忘れ去られていくことになった。
事件後、編集部に顔を出さない園田のことを杉村は心配していた。
本調子が戻らないらしく、療養が長引いていた。らしくない姿に戸惑いを覚えるが日常は待ってくれない。編集部内でセクシャル・ハラスメント問題が浮上し、代理として杉村が対処することになる。
さらに前作でお世話になった、今は亡き私立探偵の北見一郎に以前調査の依頼を頼んでいた人物が容疑者になってしまう事件が発生する。
周囲が慌ただしくなる中、バスジャック事件の人質仲間の一人からお金が届いたと連絡が入る。一度集まって相談すべきだとまとまり話し合いが行われることになった。そこで、まだ警察に届けないで、我々に出来る限りでお金の出所と素性を調べることに決まった。もちろん事件慣れしている杉村が主導して引っ張る。
老人が挙げた三人の人物を調べていくうちに、老人の素性も明らかになっていく。
終盤へと向かうなか、意図しなかった新たな事件が発生。
疑問が解消された人質仲間はどんな答えを出すのか。園田瑛子の不調の原因とは何か。
そして、杉村自身にも転機が訪れる。様々な意味で衝撃を与えたラストに注目です。
感想/まとめ
杉村三郎シリーズ第三弾。
イライラ、ムカムカするラストで読後感最悪です。感想を書くのに一週間冷静になる時間を設けたほどです。罵詈雑言を浴びせる、並べてしまうと心配になった。禁止用語もピー。
ふう、いったん落ち着こう。
とりあえずもう、今多家関係の人物は出てこないで結構です。お願いしますね。
世間(ネット)の反応がリアル。
▼慰謝料前
運転手に激励、応援する声が殺到
▼慰謝料後
講義の電話、メールが殺到
騒ぎたいだけの人たちに目をつけられたら大変ですもんね。
癒しになったのマスターとの会話
「杉村さんの次の勤め先の近所に行こうかなあ。うちの日替わりランチ、食いたいだろう?ホットサンドも恋しくなるよ」
出番はあるのか楽しみにして、次回作を待ちたい。
父の病状を見守るために、故郷へと戻ることになった杉村さん。
いや、出発なのかもしれないですね。
私立探偵の北見さんの跡を継いで探偵として活躍する物語が読みたい。
続編はもう発売しているらしいが、一切情報は絶っているので楽しみだ。
色々ありましたが、次も期待しています。