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貫井徳郎さんの「さよならの代わりに」を読んでみた 感想

今回紹介するのは貫井徳郎さんの「さよならの代わりに」です。プロローグの会話で言及されているタイムスリップ+ミステリーが合わさった物語。貫井さんの小説の中では珍しいタイプに分類されるかな?

 さよならの代わりに

~プロローグ二年後~

茶店で智美さんと和希が久しぶりに会い、近況報告など会話を弾ませていた。お互い本好き(和希は読むようになった)でもあり最近読んだ本の感想を述べ合っていた。

SFの話題になり、智美さんがそう言えばと2年前変わっている女の子の話をしてくれたけどその後はどうしてるのと振ってきたけど曖昧な笑みで返答した和希。

強い印象を残して去って行ったその女の子を懐かしさを覚えるまでの期間が過ぎた。さてどう切り出そうか悩む和希。

 

ここからその女の子が登場する本編へと移行する。

 

劇団《うさぎの眼》に所属している和希は、新作公演が近づいて来たある日、萩村祐里という女性と出会う。彼女は《うさぎの眼》主催者の新城雅哉の大ファンだった。劇団筋金入りのファンらしく端役の和希のことも知っており、思わず嬉しくなる。

もちろん祐里がかわいい女性であることは確かだがこの時は下心はまだなかった。絶賛片思い中の智美さんがいましたからね。

その智美さんから以前からデートに誘っていた返事にオッケーとの連絡が入った。彼女とは同じ店のアルバイトで知り合った。下心丸出しの男どもを玉砕している姿を目も当たりにしても、住む世界が違うと知りながらも、めげずにアタックした成果が現れてなんとか二人で会うまでにこぎつけた。

そんなウキウキ気分のデートの最中好意はありがたいがきっぱりと恋愛対象ではないと断言され、さらに今度見合いをする予定だと聞かされる。幸せな時間と絶望のどん底に突き落とされた時間を同時に味わい、その日はやけ酒締めで寝てしまった。

 

無事初日公演が大成功を収めた翌日、祐里から電話で目を覚ました。観ましたよ、良かったですと公演の感想をいただき、あそこが良いここが良いとふたりで盛り上がった後、実は、、、お願いがりましてとおもむろに言いだした。

楽日だけ劇団ナンバー2の江藤佳織さんの控え室を見張って欲しいとのこと。詳しい理由も話せない、信じないと一切詳細は話さなかったが祐里の真剣さに負けて後日理由を話すことの約束に要求を受けた。和希の出番のときは同期で仲の良い剣崎に頼むことにした。

 

しかし、剣崎がトイレに行った数分間のうちに佳織さんは殺されてしまった。

殺されることを知っていたような予知疑惑にとうとう和希も我慢が出来なくなり問い詰めてみたら思いがけない答えが返ってきた。

「実はあたし、未来から来たのよ」

新城雅哉の孫でこの事件の犯人として逮捕される祖父の冤罪を晴らすためにこの地へやってきたのだという。

信じられないと思わず呟いてしまうほどの衝撃。

 

こうしてふたりは真犯人を見つけるために奮闘していくが、、、

 

~エピローグ二年後~

プロローグの続きなのでここでは省略。

読んでみてくださいね。

 

感想/まとめ

貫井さんの小説では「慟哭」のイメージが強く苦手な僕は遠慮していたのですが、恋愛、SF、ミステリーを含んだ今回の小説は好みだったのでまた読みたい意欲が湧いてきた。

 

祐里の猫を被った演技に騙されながらも協力する和希は純粋ですね。読んでいてうわ~と思いつつもいつの間にか素の祐里の方がイイねと受け入れていた。

祐里の正体は実は妻や未来の娘だと勝手に期待していたのですけどね。祐里の複雑なタイムスリップ設定ではハッピーエンドにならない?のかな。

それでも~エピローグ二年後~を見る限り諦めていないようなので希望の持てるエンドで良かった。

タイトルの意味もここらか取っていたのですね。ジェットコースターの表紙絵もいい味出してます。

 

もし出会うことができたら2031年祐里が21歳、和希が51歳、ギリギリいけるのか?