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最後の一文でぶっ飛ぶ西澤保彦さんの「殺意の集う夜」を読んでみた 感想

今回紹介するのは西澤保彦さんの「殺意の集う夜」です。嵐の山荘を舞台に、最後の最後まで息つく暇もなく怒涛の展開を見せるミステリー。最後に一文で唖然とすること間違いなし!

 殺意の集う夜

▼殺人の~

M大学生である六人部万理と四月園子は、台風接近中の悪天候にも関わらず車を走らせてとある別荘に向かっていた。別荘の主人であり、二人が在籍している大学で講師をしている一日宮和徳助教授と休暇を過ごすのが目的である。奥さんがいるのにも関わらず、入学時から園子は、この和徳先生に熱をあげていた。資産家の御曹司であり将来を約束された社会的地位に魅力を感じたんだろう。周囲の迷惑を顧みない園子のなりふり構わないアタックに学生及び職員はうんざりしていたが、本人はどこ吹く風といった様子だった。

 

そんな熱意とは裏腹に肝心の成果の方は、不発に終わっている。どうしてなんだろうと相談を持ちかけられた時は、滑稽だと密かに笑っていた。それもそのはず、園子の知らない所で万理と和徳先生は深い仲になっていたのだ。それなのにあたしを差し置いて魅力が劣る園子を別荘に誘っていたことに怒りを通り越して困惑していた。

 

さらに別荘まで送ってよと厚かましい要求までしてくる。唖然としながらも抵抗するが結局、粘り強い園子に押し切られてしまう。それならば二人っきりで過ごす夜を邪魔してしまえばいいと開き直って別荘に居座るつもりでいた。

こうして台風接近する中、万理と園子はそれぞれの思惑を持って別荘へと向かって行くのであった。

 

別荘について出迎えてくれたのは和徳先生ではなく五百棲と名乗る学生だった。別荘の留守番のバイトで一週間ほどここに滞在する予定でいると語った。肝心の和徳先生がいないんだったら一旦出直すことを考えていると次々と訪問者が現れた。

七座:刑事

八重原家(三名):初老の男。その妻。義父

二野瓶:ホテル送迎運転手

彼らの情報で、土砂崩れがおきて道が塞がってしまいこの別荘から上がれない降りられないことが判明した。一応家主代理の五百棲が皆さん泊っていってくださいと提案し、緊急事態ですから和徳先生も許してくれるでしょうとフォローもあり、逡巡していた訪問者たちはその提案に甘えることにした。

 

こうして台風の中、見知らぬ訪問者たちと別荘に閉じ込められてしまった万理と園子。深夜、訪問者の一人に襲われそうになった万理は不可抗力で相手を殺してしまう。それも一人ではなく、ドミノ倒しのように連鎖して園子以外全員を。とにかく現状を説明して助けてもらおうと園子の部屋へ逃げ込むと園子も死体となっていた。

 

園子を殺したのは誰なのかを推理する。そしてその犯人に、あたしが殺した六人のうち五人分の罪をかぶせて、もう一人は正当防衛でやむをえず殺してしまったと、道が復旧し、救助と警察が到着したの際に披露するシナリオを用意していた。

摩訶不思議な惨劇の後始末をしながら今夜起きた事実関係を整理始めた万理。

一体誰が園子を殺したのか?驚愕のラストまでの怒涛の展開を刮目せよ。

 

▼もうひとつの殺人~

刑事の三諸は、以前聞き込みにいったホステス・九十瀬智恵のマンションを訪ねようとしていた。一体何のために向かっているんだと引き留める理性とは裏腹に三諸の足はスムーズに智恵の部屋に向かっていた。そして、不法侵入した部屋で男が智恵を殺そうとしている瞬間を目撃してしまう。刑事としての本来の務めを果たそうとするが、動くことができない。先ほどとは打って変わって理性と身体の立場は逆転していた。

 

智恵殺しの捜査を担当することになった三諸は、刑事としてあるまじき行為から得た(不法侵入したことや殺害を防ぐことができなかったこと)情報(公にできない)を抱えながら聞き込みを開始した。何としてでもあの男を捕まえたいと張り切っていた。それは正義感とは真逆であの男に獲物を横取りにされたという腐敗した願望のためでもあった。

 

二つの殺人が交差する時、事件の全容が明らかになる!

 

感想/まとめ

面白かった。またひとつとんでもない作品に出会ってしまった。

「七回死んだ男」が大好きな僕でも今作は賛否両論なのはうなずける。無理がある点を勢いでカバーする。それでも充分楽しませて読みましたけどね。

六連続過失って言葉だけで笑えてしまった。

 

最後の一文と聞いて下記を想像しますが、比べるとインパクトは弱かったかな。

lbookneet.hatenablog.com