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望月拓海さんの「透明なきみの後悔を見抜けない」を読んでみた 感想

今回紹介するのは望月拓海さんの「透明なきみの後悔を見抜けない」です。幽霊を見ることができる大学生の開登。人助けが趣味だという彼は、成仏できずに彷徨っている幽霊たちとコミュニケーションを図り、心残りな後悔を探し出していく!衝撃と感動と恋愛がまじりあった青春ミステリー!

 透明なきみの後悔を見抜けない

第一話「熱血漢な野末一樹の後悔」

静岡市の中心にある公園・駿府公園で目を覚ましたぼくは記憶を失っていた。家族構成も、生い立ちも、仕事も、自分に関することさえ思い出すことはできない。ましてや何故こんな場所にいるのかも忘れてしまっているぼくがただ一つだけ、ほかの誰かのために『やらなくてはいけなかったこと』があると本能が訴えていた。

そんな記憶を失ったぼくに声をかけてくれたのは、不思議な雰囲気を漂わせた大学生・百鬼開登(なきりかいと)だった。迷い犬の柴犬(ちゃんこ)を連れた彼は、実は人助けが趣味なんです。困ってそうな人にこうしてよく声をかけているんですと人を惹きつける笑顔で話す。第一印象で彼なら自分に起きていることに真正面から向き合ってくれると思い説明した。

開登は僅かなヒントから職業を教師だと見抜き、指摘されたぼくの記憶は次々と蘇った。ぼくの名前は野末一樹、この近辺の学校で中学二年生のクラスを受け持っていた。そして『やらなくてはいけなかったこと』、、、うちのクラスで不登校になっている瀬戸五百里(せといおり)を助けたかったことを思い出したのだ。教師として彼女の為にと交換日記をコミュニケーションツールとして使用し、少しずつだが胸の内を明かしてくれるようになっていった。しかし、ある日を境に交換日記は終わりを迎え、ぼくも異動してしまい現在どうなっているのかはわからないと語った。

彼女の現在を確かめるために開登が代理として会いに行くことになったが、まさかぼくにあんなことが起きていたとは信じられなかった。

 

第二話「負けず嫌いな海老原実果の後悔」

開登が発見した今度の幽霊は海老原実果(えびはらみか)一八歳。同年代の女の子四人でダンスチームを組んでいたが、彼女の運転する車でドライブ中に交通事故に遭い、死んでしまったそうだ。事故直前にメンバーとの意見対立でごたごたしていた実果。その仲直りのためにと出かけたドライブでまさかの死。彼女の後悔はみんなと仲直りしたいってことで決まりなのだが、意地っ張りな性格と負けず嫌いが邪魔をして素直になれないでいた。そんな彼女に効果抜群の名案とは何だろう?

 

第三話「さみしい相沢可子と佐良薫の後悔」

大学生・相沢可子(あいざわかこ)二十歳と出会った。死を自覚している彼女の後悔を探すお手伝いをすることになった開登は、ひょんなことに彼氏役を引き受けることになった。慣れないデートに悪戦苦闘しながらも、一応彼氏役として隣にいるのだからできるだけ楽しい時間を過ごしてもらおうとアクションを起こしていく。

そんな初々しい?デート中に別の幽霊、佐良薫(さがらかおる)と遭遇してしまう。開登と行動を共にしている柴犬(ちゃんこ)の飼い主でもある彼女の後悔探しを先に済ませることになった。大切なものを履き違えてしまい、失って初めて大切だったことに気づくこともある。そんな彼女の後悔とはいったい何だろう?

 

第四話「透明なきみの後悔を見抜けない」

第三話で衝撃な事実が判明し、語りは相沢可子にバトンタッチ。

クライマックスに向けて、別角度から物語は再開する!

 

感想/まとめ

面白かった。

幽霊が見える主人公が頑張るお話し。息をするように幽霊助けをする百鬼開登を軸に物語は進み迎えた第三話からの反転。第四話では語り手・相沢可子の胸の内が明かされる。それまでの苦しみをぶつけて、殻を破り、生まれ変わった彼女。解決への道筋を辿っていくとその先にいたのは開登だった。人の輪は一本線に繋がっており、見ず知らずの彼女にまで影響を与えていた。

二人が出会ったことで意味を見出すことができて、ホントに良かった。