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古宮九時さんの「死を見る僕と、明日死ぬ君の事件録」を読んでみた 感想

今回紹介するのは古宮九時さんの「死を見る僕と、明日死ぬ君の事件録」です。人の死を予告する幻影を見る力がある僕。予告された死は防ぎようがないと諦めていた僕が、死を予告された彼女と出会い、協力して運命に抗おうとする物語。

 死を見る僕と、明日死ぬ君の事件録

入学して一ヶ月で大学に行かなくなり、家に引きこもっているわけでもない。そんな中途半端な生活を送っている僕にもたった一つ明らかに他人と違う点がある。それは、人の死を予告する幻影を見ることができることだ。僕にしか見ることができない透けた人影の「彼ら」。どこにでもいる「彼ら」について分かっていることは三点ある。

 

▼自分の死の瞬間を、何度も繰り返している

▼姿が濃くなると、死の瞬間は近い

▼死の運命からは絶対に逃げれない。

 

もちろん僕もただ黙って人の死を見過ごしていたわけではない。この力を使って、助けたいと思っていた時期もあった。だがその希望が無情にも砕かれるたびに落ち込み、打ちのめさせられた。今ではすっかり諦めており、極力「彼ら」を直視しないように心がけて生活していた。

 

ある日のこと、気分転換に出かけた散歩で瀬崎鈴子という女子大生と出会う。彼女もまた死を運命づけられた「彼ら」であった。しかし、今まで見かけた「彼ら」と違って、穏やかで静かに公園のベンチに座る彼女に不思議な懐かしさを感じて、僕は周囲で起きたことを話しかけていた。そんな彼女の存在に救われ、支えられていた僕はご本人登場で冷静さをかけてしまい、「君は、もうすぐ死ぬんだ」と咄嗟に声をかけてしまった。初対面の人にそんな事を言われたら気味悪がるのは経験済み。恐る恐る彼女の返事を待っていたが、予想とは違って「それ、ホント?」と初っ端から全否定ではなく、純粋な疑問。それだけなのに嬉しくて、荒唐無稽な僕の話にも耳を傾けてくれた。

一人では「彼ら」の運命を変えられないのであれば、二人で協力すれば運命を変えられる。彼女に自由奔放な性格と強引さに押される形でもう一度、「彼ら」から助けることを決意した僕。それは彼女自身を救うことにもきっと繋がるはずだからと期待も込めていた。

 

僕と彼女は「彼ら」の運命を変えるために動き出す。通り魔事件に巻き込まれた過去。穴だらけの記憶と欠如。記憶に眠る僕を助けてくれていた「彼」の存在。刻一刻と迫る彼女の死と僕の記憶が甦った時、物語は反転する。

 

感想/まとめ

面白かった。ただ残念ながら文章はちょっと僕には合わなかったですね。

二度読み必須の帯から色々な結末を考えていましたが、そこには辿りつかなかった。再度読んでみると、そういうことかと思える文章もちらほら。小説ならではのテクニックに脱帽です。

予想に反して鈴さんがアグレッシブ過ぎて驚いた。表紙からおしとやかな女性だと想像していたのに。そのおかげで楽しく読めたのもあるかな!