井上悠宇さんの「誰も死なないミステリーを君に」を読んでみた 感想
今回紹介するのは井上悠宇さんの「誰も死なないミステリーを君に」です。死が見える少女と彼女が悲しまないようにと救おうと奔走する青年の物語。
誰も死なないミステリーを君に
相手の目を見るとその人の死の運命が分かってしまうという特異体質を持っている遠見志緒。視線を合わせると死線が見えてしまうといった具合である。ただ死線は回避可能だ。自殺、他殺、事故死といった形のみ死線は現れる。寿命で死ぬような回避不可能な死には死線は現れないのだ。そんな彼女が悲しまぬよう、体質を知る一人として死を回避させるのが佐藤こと僕の役目なのだ。
ある日、志緒は大学で秀桜高校文芸部の卒業生四人同時に死線を見てしまう。そこは僕の母校でもあり、在学中に起きた屋上から飛び降りて死んだ生徒の事件へとつながっていく。二人は実際に秀桜高校を訪れて見分を行い、改めて事件の整理をしてみた。それでも事件に迫るのには限界があり、さらに四人の死線をどうように回避するのかも難題となっていた。
そして、二人が考え抜いて思いついた方法とは意図的にクローズド・サークルを作ることだった。何らかの事情で外界との往来が断たれた状況下で事件が起きることを指し、ミステリー小説ではお馴染みである。僕たち関係者だけを集めて、僕たちでいかなる問題にも対処する、安全なクローズド・サークルの出来上がり。後はみんなを集める無人島も資産家の娘である志緒が父親に頼んで障害はクリアされた。
こうして舞台は整った。
屋上から飛び降りて死んだ生徒の事件と無人島で志緒の独断行動。さらに僕が描いていたストーリーとは別に予期しなかった出来事が起きてしまう。各々が飛び降りた生徒の事件に何を思っていたのか。志緒が抱えていた悩みとタイトルに込められた意味とは。
最後は、みんなが救われる優しい結末が待っていた。
感想/まとめ
面白かった。ミステリー小説ではお馴染みのクローズド・サークルを自らが作るという発想がすばらしく、物語にものの見事に引き込まれていた。ライト系が好きな方にはおススメしたいですね。
振り返って見ると伏線が散らばっていましたね。僕は回収できずに終えてしまいましたが。まさか名前が鍵となっていたとは。彼等の調味料は料理には欠かせないし、脇役として偉大な力を発揮して、僕たちの毎日の栄養分となっている。何を語っているのか分からなくなってしまったが、とくかく素晴らしかった。
シリーズ化に期待したいですね。