宮ヶ瀬水さんの「三度目の少女」を読んでみた 感想
今回紹介するのは宮ヶ瀬水さんの「三度目の少女」です。生まれ変わりに悩まされる少女と否定することができない大学生の物語。超常現象や殺人事件もありますよ!
三度目の少女
この物語において、以下の条件を真とする。
「この世には、超常現象が存在する」
このような書き出しでスタートしますので、しっかりと頭の中にインプットして読み進めることをおススメします。現在が舞台ですが超常現象がありうる世界の物語なので素直に受け入れて楽しんで読んでいきましょう!
大学生の関口藍は(名前は女性っぽいが男性)人の話を否定することができないことで悩んでいた。過去のある出来事がトラウマとなり、魚の骨が刺さったように共に生きている状態だ。否定することを恐れるあまりどんな話でも信じてしまう体質。大学で法学を学んでいる最中ですが、今日も模擬裁判の授業で失敗していた。裁判は、人の話を聞いて判断して、異議を唱えたり、反論することで形成される場。否定することができない彼は、相手の主張に頷くばかりで裁判の勉強にならないのである。友人の佐多のフォローもありがたいが、将来を考えると焦ってしまう。
ある日、森田教授に呼ばれた藍は、伊藤杏寿という少女を紹介される。杏寿は、生まれ変わりをしていると言った。前世の記憶(都倉水奈)前前世の記憶(神山木綿子)を所持しており、私が死んでしまったら次もまた生まれ変わりが起きてしまう。この負の連鎖を止めたい、止める方法を探しているので協力してほしいと頼ってきた。森田教授は、トラウマを克服できるかも知れないし、苦しみを知っている藍にこそ協力者になってほしいと考えていた。信じがたい話でも否定できない彼は、素直に信じて協力に応じることになった。
「人生は、ひとりにつき一回よ。それ以外は蛇足だわ」
かっこいいお言葉を頂戴した。
木綿子が生前暮らしていた神山家に三人で向かった。木綿子は何者かに殺されており、そこが解決への糸口なるのではないかと杏寿は考えていた。
この神山家で藍たちは謎のポルターガイスト現象に遭遇。さらに当主の毒殺死体が発見された。現場には、神 山 木 綿 子と赤い塗料で書かれた壁文字が残されていた。杏寿に残された記憶だと父親に虐待されていた木綿子。
残された品から木綿子の霊が犯人だと騒ぎだすが、、、はたして真相は?
そして、二人は悩みを克服して新たな人生を歩むことはできるのか。
感想/まとめ
面白かった。
超常現象とミステリーが上手くマッチして混ぜ混ぜで終わらず、よくまとまっていた印象。二人の悩みを克服していく過程に心打たれるものがあり、よかったねと率直に言葉が出てきた。
杏寿推理シーンもなかなか味わえない過去消去法的追及な仕方で興奮した。
前世の記憶がある精神的に年上の雰囲気が漂う杏寿だが、子供っぽさもありギャップがくすぐったい気分。ところところで見せる幼さが良いですね。
次回作にも期待したいです。