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井上真偽さんの「その可能性はすでに考えた」を読んでみた 感想

今回紹介するのは井上真偽さんの「その可能性はすでに考えた」です。奇蹟がこの世に存在することを証明するために、人知が及ぶすべてのトリックを否定する奇蹟探偵が登場。

 その可能性はすでに考えた

探偵・上笠丞は、博識だし腕は確かな探偵だが変わり者だった。彼はこの世に奇蹟が存在することを証明するために探偵活動をしているのだ。なぜ奇蹟にこうも取り憑かれているのかというと理由があるのですが、それは小説でどうぞ。

あの有名なホームズのセリフ「不可能を消去して、最後に残ったものが如何に奇妙なことであっても、それが真実になる」を手本に彼は「あらゆる可能性を否定し、何も残らなければ奇蹟」だと信じているのだ。

 

東京にある探偵事務所に上苙と相棒?フーリン(彼が多額の借金をしている相手)の元に依頼人が訪ねた。女性は渡良瀬莉世と名乗り、私は人を殺してしまったかもしれない不思議な記憶がある。当時の事件の記憶を語りますから何が起きたのか推理してほしいと頼ってきた。上笠は依頼の可否は話を聞いてから判断しますと落ち着かせるように返答。納得した彼女はおもむろに語り始めた。

 

母親に連れられて小学生のリゼは、とある宗教団体の村で生活を始めた。周りが高い壁に囲まれている山奥にある村。周囲をセンサーで監視されており刑務所みたいな場所であった。教祖や信者大人組みを除くと子供はリゼとドウニ(堂仁)の二人だけだった。子供だからと言って特別扱いされず大人と同じように仕事が与えられていた。寂しくないよう引っ張るお兄ちゃん的な存在で幼いリゼはよくなついていた。

ドウニはこの村から脱出を計画していた。おいていかれる子供のような表情をしていたリゼに優しく微笑みもちろんリゼも一緒だよと計画について話していた所に地震が発生してしまう。

その影響で地形が変わり滝が消滅。これを教祖はこの世の終わりだと予兆した。ダイナマイトで唯一の出入り口を爆破で封鎖してしまい、閉じ込められてしまった。

 

地震から数日後、拝殿で儀式が行われた。その場で教祖が信者の首を次々と斬り回る姿を目撃してしまう。リゼの番寸前でドウニに助けられて何とか脱出に成功したが、外に出て目に飛び込んだ光景は火の海だった。お姫様だっこで運ばれている記憶を最後に気を失ってしまう。

 

次に目を覚ましたら祠だった。ドウニの生首と胴体が転がっていた。

リゼとドウニ以外、外から施錠された拝殿で遺体となって発見された。当時のリゼには重くて扉は動かせない。後の監視映像から村には教祖関係者しかいないことが分かった。切断に使用されたギロチンもリゼには使用不可。運搬も地震の影響で骨折しており無理だった。

数々の条件がリゼには犯行が不可能だと証明していたのだ。

 

リゼには祠に運ばれる最中にドウニの首を抱いていて記憶があるという。そんなことないですよねと否定する彼女を即否定。常識や先入観を捨てて見聞きを受け入れることが重要だ。これは奇蹟の物語の可能性があると依頼を受けることになった。

 

そして数週間後、依頼人・渡良瀬莉世を前にして調査報告をした。

これは奇蹟でしたと。

どうやってそれを私に信じさせてくれるのか当然の疑問を口にしたところ、人知の及ぶあらゆる可能性を全て否定できれば、奇蹟を証明できると演べた。それをまとめた報告書を手本に説明へ移ろうとした矢先、新たな人物が登場する。

 

奇蹟なんて存在しないと上苙に異を唱える者達が現れた。

奇蹟の証明なんて不可能だ。無限にある可能性の中から指摘して、ただの可能性だけで論破してしまうことができるのだ。こちらは事実や証言に基づいて反証しなければならない。俗に言う「悪魔の証明」だ。

そう圧倒的な不利な状況でも信条を曲げないのが上苙探偵。

最終的な判断として依頼人である渡良瀬莉世に判断を仰ぎ、彼女もどんな可能性も否定できる上笠の言葉を確かめたいと了承が出たことで証明バトルが始まることになった。

難敵が立ちはだかる中、次々と証明していく。

そして、ある人物が裏で糸を引いていることが判明するが、、、

 

感想/まとめ

面白かった。文章や描写にちょっと苦戦したが楽しめた。

摩訶不思議な事件に始まりそこから推理バトルへと移っていく展開。圧倒的不利な状況からの逆転に読んでいる側としては燃えっぱなしでドキドキわくわくしながら最後まで読むことができた。ラストも納得できる物語を証明(奇蹟)してくれたので蟠りもなくなってよかった。

そしてラスボス。やっぱり何か隠しているなと感じていたがそう繋がっていたのか。

登場人物も個性や濃いキャラ達で推理バトルに上手くマッチしていましたね。

なんだかんだで協力してくれるフーリンさん頼もしい。ニヤニヤしてしまう。

続編も是非読みたいですな。