~読んできた本の足跡~

~のんびりまったり日々読書~アニメや雑談も~

石持浅海さんの「君の望む死に方」を読んでみた 感想

今回紹介するのは石持浅海さんの「君の望む死に方」です。碓氷優佳シリーズ第二弾。殺したい者、殺されたい者、物語の核となる二人の思惑がひしめく中、危険な香りをいち早く察した優佳。事件を未然に防ぐために手段を選ばない悪魔のような手口をご覧あれ。

 君の望む死に方

ソル電機社長の日向は、膵臓ガンに侵され余命六ヶ月の宣告を受けた。還暦を過ぎ人生の下り坂を迎えた身体が悲鳴をあげたが、死のイメージが湧かず絶望感に泣き崩れるといった大げさな反応は見せなかった。

身体が動けるうちにやり残したこと、やっておきたいことは何があるのだろうと自問自答すると一つ思い浮かぶことがあった。

社員の梶間。

日向には、ソル電機創業仲間だった境(梶間の父親)を殺した過去があった。

十分生きた人生。どうせ死ぬなら、君の望む死に方をしてあげよう。

そう考え、ある計画を立てたのだ。

 

優秀な人材、幹部候補生を対象とした研修が熱海の保養所で開かれた。

社内でもこの研修は、社長から直々に経営陣の心得を伝授されると噂されていて有名だ。

肯定も否定もしない日向だが、社員には内緒で研修期間内でカップルが成立することを願って「お見合い研修」と呼び、研修の目的の一つとしていた。

さらに今回だけ特別に個人的な思惑として殺されることが今までの違う点になるが、、、

 

今回も優秀な若手男女2名ずつを集め、もちろん梶間も含んでいる。

梶間に殺されようにも社長と一社員では近づくチャンスがなかなかない。しかしこの研修中ならば身近で会話ができる。殺害される環境を自ら作り出したのだ。

また梶間の将来、会社の将来を考えて関係者に殺人犯を作らせない形が望ましい。

だから保養所内に凶器になりえる仕掛けを随所に施している。チャンスさえあれば梶間が日向を殺せるようにと。もちろん罪にあたらにように、もっともな理由付けの細工を加えるのも忘れない。

日向は殺される準備万端だ。

 

一方梶間も死に間際の母から聞かされた日向の罪。父の死後、長年に渡った経済的な支援に感謝の念を持ちつつ、怒りが芽生えていた。復讐心が灯り、殺害する道を選んだ。

当たり前だが殺しは初心者。殺害機会に悩んでいたところに降って湧いたのが今回の研修だ。自然に社長に近づくことができる。しかし当然ながらリスクを伴う。数人の社員しかいないのだから疑われる。だが外部犯の可能性や動機から追及が弱まるのではないかと期待していた。

あくまでチャンスがあればというスタンスを忘れないが、、、

梶間は殺す準備万端だ。

 

日向の思惑通り、計画通りに進むかに見えたが、何者かが明確な意図を持って仕込みを防いできた。

 

そう、日向の誤算はゲストにあの碓氷優佳を呼んでしまったことだ。

 

 

前作で伏見さん(犯人)をこてんぱんにやっつけた碓氷優佳が今回も大暴れ。

今回出番はなかったけど描写で伏見さんとちゃっかり恋人になっているし、、、押し倒したのかな、されたのかな?

社長いわく整った和風美人。飾らない姿勢、純粋な女の子の雰囲気が漂っていると評価していますが、、、

社長外見に騙されていますよ。

その女性、悪魔ですよ。

断言してもいいですよね。

 

社長が想定した仕込みを見破り、自然な行動で未然に防いでいく優佳。

椅子を移動したり、花瓶に花を生けたり、物を隠したり、相手を煽ったり、ドアを施錠したりと人として不可解な行動はとってないのです。特に研修目的を利用しての煽りは見事としか言いようがありません。手段を選ばない方法に悪魔という単語がピッタリ。

シリーズ追うごとに圧力が増しています。

優佳と敵対する側に思わず感情輸入してしまう。それぐらい怖いという感情が伝われば幸いです。

ドアストッパーでニヤニヤしたのは内緒。

 

感想/まとめ

「殺したい者」「殺されたい者」が対決する倒叙ミステリー。

すべてをコントールする碓氷優佳という女性にはぁ~(ため息)

最初のページで人が死んでいることは確定なので死んだのはどっちかな。相打ちの可能性もあるけどね。