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山口雅也さんの「生ける屍の死」を読んでみた 感想

今回紹介するのは山口雅也さんの「生ける屍の死」です。死者が蘇るという変わった設定で物語は進みます。この設定が上手く活かされたミステリーを存分に楽しんでくださいね。

また、最近新しく文庫本で発売されているのを見かけましたのでこの機会に是非読んでみるのをおススメします。

 生ける屍の死

アメリカで死者が生き返るという奇妙な現象が発生していた。

 

主人公はグリン。彼は、スマイル霊園のバーリイコーン家のお世話になっていた。スマイル農園はグリンの祖父のスマイリー・バーリイコーンがニューイングランドの田舎のトゥームズヴェルに創設し、スマイリーをはじめとする一族が運営している。

スマイリーの病気が悪化し、遺言状を作成。孫であるグリンにも遺贈されることになったので来てほしいと頼まれてこの地を訪れたのだった。

 

スマイリーが毎週土曜日の朝に行っているお茶会は、みな参加する決まりになっていた。その日も色々と議論がなされ、有意義な時間となった。その席で出されたチョコレートをグリンは持ち帰り、自室に戻り2粒ほど食べた。その後、グリンは死ぬことになる。

 

グリンは蘇り、遺産相続の問題に巻き込まれたのだと思い、死んでいることを周囲に隠し、真相解明に乗り出した。

スマイル霊園のハース博士だけには事情を話し協力を仰った。

 

その後も死者が出て蘇ることが頻繁に起きる。

生ける屍が徘徊する世界で誰が何の目的を持って殺人という行為に至ったのか。

そして、グリンは自分の肉体が滅びるまでの短い時間で真相を突き止めることができるのか。

 

感想/まとめ

長い小説でかなりの時間を要しましたが、その点を差し引いても読む価値は十分にあると思います。前半は、我慢して中盤から後半にかけて面白さがウナギ登りですので頑張ってください。死者が蘇って事件を追う。この説明文だけで妄想が広がり、僕は惹かれました。

 

アメリカが舞台なので人物を覚えるのに苦労しましたが、死に物狂いで登場人物欄いったりきたりして覚えましたよ。

「死」についての価値観が幾つも登場しますが。あなたはどう思いましたか?

 

死とは平等で怖さもある。その気持ちは今も変わらないが、今を全力で生きることが、死の怖さを抑える薬になるのかな。

 

それぞれの目的が絡み合って事件を壮大にしてしまった。

グリンの死の原因はまさしく設定を上手く使った方法で感心しました。

死者になってから特有の症状もプラスされ、ルールに沿った、違和感を感じさせない凄さを読み終えた今、改めて溢れかえってきました。

 

エピローグのグリンとチェシャの会話は泣けてきます。グリンさん、最高だよ。